あぁるぴぃ広島 11号
■情報コーナー■
2 「拡大読書器をご存知ですか?」その1
京都府 森田茂樹
<これは、わたくし森田の独断と偏見による一文です>
皆さん、拡大読書器をご存知ですか?お持ちですか?使っておられますか?読書
(読む事全般)をしておられますか?読書、つまり読むだけではなく、書く方にも
使っておられますか?その他、拡大読書器で出来る事を楽しんでおられますか?拡大
読書器でどれだけの事が出来るか、ご存知ですか?
実は拡大読書器をいまだにご存知ないかたが随分沢山おられます。次に持っている
方が或る割合でおられます。しかし、その持っているかたで満足に使っていない、使
えていないかたが殆どなのです。
先ず、ちゃんと選んでちゃんと使えば、途中で眼が悪くなられたかたは視力、視野
などの状態によって差はありますが読み書きなどが眼が悪くなる前の状態に近い速さ
で出来ます。また、機種によっては、制約はありますが、お化粧や編み物、刺繍、庭
に来ている鳥、高い位置にあるエアコンの表示、新しく購入した大きな家電製品の操
作部分、冷蔵庫の内壁に書いてある注意書きなどなど、生活の中で見たい、見えたら
助かるし、楽しいものを見る事が出来ます。
しかし、現実は先程書きましたが、まだご存知ないかたが大半で、持っていてもう
まく使えていない方が、これもまた大半なのです。そしてそれらの持っていて、うま
く使えていないかたからは拡大読書器について良い情報は出てきません。いわく、拡
大読書器は眼が疲れる、うまく読めない、長く読めない、字も書けない、結局役に立
たない。これらの低い評価の原因の最大のものは拡大読書器の情報の提供が大変不十
分、又は全くと言ってよいほど無い為です。これらのマイナスの評価は、先ず選び方
を誤り、更にその使い方の説明が無い為に、殆どのかたが最も眼の疲れる短時間しか
使えない、字の書けない使い方をしてしまっておられるのです。先ず拡大読書器はタ
イプも機種も沢山発売されている事、同じ価格帯のものでも、同じタイプでも、又タ
イプ間でもその性能、特徴は随分、又は恐ろしい程違うと言う事が全く説明されてい
ません。殆ど全てと言っても良いほどの当事者のかたが大変限定された情報しか持て
ずに機器を選んで、実は選ばさせられています。「売っている人に最初に話を聞いて
は駄目!」と私は常に言っています。更に「拡大読書器に関しては私も含めて『専門
家』は日本中どこにもいない」と言い続けています。「カッコつきの専門家」や
「メーカーや販売店などの売っているひと」に話を聞く事を私は次のような例え話で
ご説明しています。
<<例え話、ここから>>
これから自転車を購入する人と、もう自転車を持っているが乗れない人の為の講習
会が開かれ、自転車メーカーと販売店から担当者が説明に来ました。そして、彼らは
「このハンドルで方向を変えられます」
「このペダルをこぐと後輪に動力が伝えられて前に進めます」
「このブレーキでとまれます」
云々、云々そして
「この型が一番良く売れています」
「この型が一番新しい」
と説明が続きます。肝心の話が出てこないことに観衆の一人がじれて
「あんたらは自転車に乗れるんだろうな」
そうすると自転車メーカーと販売店の担当者は
「いえ、実は私たちは自転車に乗れないんです」
<<例え話、ここまで>>
これは笑い話ではなく、拡大読書器と私たちを取り巻く状況を表す決してオーバー
ではない例え話なのです。つまり重量や材質、寸法などは知っているが、乗れない、
使えない人が説明をしているのです。その説明を聞いて使えるようになる人ははたし
てどれだけいらっしゃるでしょうか。
では、自分のニーズを満たす事の出来る機種を選び、失敗しないでうまく使い、今
ある自分の視力、視野を疲労させずに最大限に活用する為には、一体どうすればいい
のでしょうか。
先ず
「これが一番いい」
「これが一番よく売れている」
「これが一番新しい」
これらの表現は必ずしも貴方にとっての「一番いい」を表しては、いません。乱暴
に言えば全て意味の無い言葉です。これらの雑音に惑わされずに最初は必ず非営利の
場所、施設などでみずから情報を集めて下さい。誰かからの待っていて向こうから
やってくる情報には、要注意です。補助具選びは自己責任です。ひとの情報を鵜呑み
にして補助具を選んでしまえば、貴方が一人不利益をこうむるだけなのです。当然、
私も含めた誰か、たった一人の意見だけで、補助具を選ばずに、出来るだけ沢山の人
から情報を集め検証し、自分で実物を見て、触れて、比べて、確かめて選んで下さ
い。
<その1 完>
次回は「小さいことはいいこと?」というテーマでオリンピアなどのコンパクトなタ
イプを「ぶったぎり」たいと思います。
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