あぁるぴぃ広島 21号
■巻頭言■
障害者職業能力開発校でのこと
広島県支部 副支部長
三次市 花田 敏文
私は昨年度広島宇品の障害者職業能力開発
校で一年間ソフトウェア科に在籍し訓練
をうけていました。
3年前に22年勤めた会社を退職し、しば
らくは家でのんびりしていたのですが、
ずっとのんびりしている訳にもいかず、ハロ
ーワークに通いながら仕事を探していま
した。
そんな時に訓練校を終了した知人からのア
ドバイスもあって訓練校を見学すること
にしました。
見学の日、教官は授業風景やソフトウェア
科の講義内容、そして寮も丁寧に案内し
てくださいました。授業の内容も充実してい
て将来のためになりそうだし、校舎も寮
も綺麗なここで是非学びたいとの意思表示を
しました。ところが、訓練校では過去視
覚障害の訓練生はいたが黒板も見えていたし
テキストも皆と同じものを使っていたと
のこと。私は黒板は見えないし、テキストは
拡大読書器を使わないと読むことができ
ません。私は持参していたパソコンで、スク
リーンリーダーを説明しワープロや表計
算、インターネットの操作を実演したり、拡
大読書器のことも説明しながら熱意を伝
えました。
3月の入校試験の日、機能検査は皆と一緒
でしたが、適性検査は私一人だけ別室で
した。
予め見え方を理解してくれていた訓練校関
係者が、拡大読書器と時間延長を許可し
てくれたのです。適正検査は、例えば「百人
一首」と「白人一首」百と白が違うので
答えの欄に間違えている文字の数を1と記入
するようなものでした。また別の図形の
問題では、左ページにある台形は右ページの
15個のどれでしょう。15個の図形は
正方形、長方形、ひし形、半円などが横を向
いていたり、逆さだったりで、バラバ
ラ。こんな問題を2,3分程度で何問できる
かと問われ、私は、拡大読書器に3から
5文字を写し、画面に顔を近づけて懸命でし
た。何とか運良く入校の連絡をもらい、
学生気分を味わう機会を得た時には、本当に
うれしく思いました。
クラスは、聴覚、移動機能、人工透析など
の障害をもった16名で、視覚は私だけ
でした。
しばらくしてクラスに皆が馴染んだ頃、私
がテキストを読書器で読んでいるのを見
て、クラスメイト全員でテキストをワープロ
してくれたこともありました。500
ページもあるテキストを分担して。おかげで
繰り返し聞くことができるようになりと
ても助かりました。
この3月までの1年間はあっという間でし
た。訓練校で一番勉強になったのはプロ
グラム言語で、今も時間を作ってはゲームを
書いています。
終了式後しばらくして、元クラスメイトが
介護保険関係の仕事で募集があることを
知らせてくれたおかげで、非常勤ではあるも
のの事務をすることが決まり、7月中旬
からは忙しくなりそうです。
最後になりましたが、訓練校に行ってみな
いかと言ってくれた車椅子の知人、訓練
校の教官や指導員の方々、クラスメイトのみ
んな、ボランティアで知り合えた方々、
そしてJRPSの皆様に励ましや助言を頂き
本当に感謝申し上げます。ありがとうご
ざいました。
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