巻頭言

7月の豪雨災害  東広島市  藤川レイ子






 7月6日から7日にかけての集中豪雨で、広島県南部ではこれまで考えられなかったほどの雨が降り、その雨が小雨になった7日の朝、私の家の前でも土砂崩れがおきました。
午前4時ごろから主人は近所の男性4、5人で道路に流れ出ている流木や溝につまった土砂のかたづけをしていました。
私も落ち着かないので起きて朝の仕度をしていた7時前、急に「どどどっ」という大きな音がしはじめました。
私は(あら、もう、重機がかたづけにきてくれたのかしら)くらいにしか思いませんでした。
音が私の家の前でとまったとき、主人があわてて家にとびこんできて土砂崩れがあったことを告げ、動画を撮ろうとスマホを持って うちまでこなければいいが、と言いながらまた外へ飛び出して行きました。
その間、外では男の人たちが緊迫した声で(おい、おい)などと声をかけている様子が聞こえていました。
幸い、人や家には大きな被害はありませんでしたが、団地の道路はあっという間に土砂でふさがれてしまったのです。
 それにしても山が崩れてくるあんなに大きな音を聞いたのは初めてでした。
トレーラーが目の前を通過しているような音に感じました。
その音にびっくりして団地のみなさんが集まりはじめ、みなさん茫然としてしまい、言葉がないという様子でした。
それからは団地総出でかたづけです。
たまたま重機が使えるかたがおられたので、2台で作業をはじめてくれ、夕方には道路は車1台が通れるようになりました。
東広島市では大小400箇所以上の土砂崩れがあったとかで、私たちの団地もまだ抜本的な復旧工事はされていません。
2次災害がでないようにと山の上から斜面に大きめの土嚢が並べてあるだけのようです。
あの日以来、私は大きな音に反応するようになってしまいました。
うちの上を飛行機が通るときの音、タクシーに乗っているときに高速道路の下で止まっているときの音など、つい何の音ですかと聞いてしまっています。
 でも、今回わかったことは、あの音がしだしてからでは家の中にいたんでは間に合わないということです。
ほんの1、2分の間のできごとでした。
速めの避難の大切さを改めて認識させられたのです。
避難については、高齢者等避難準備、避難勧告、避難指示と段階的にあるようですが、私はその都度近くに住んでいる娘達に相談しながらなるべく早めの避難を心がけようと思っています。

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