質問14
私の父方のお婆ちゃんは目が悪く、やつめ鰻を粉末にしたものを飲んでいたようです。父に症状を聞いてみると網膜色素変性症のようです。父と母に病気は出ていませんが、私は網膜色素変性症と診断されました。父方のいとこ3人がどうも同じ病気のようです。いずれも女のいとこです。1人は失明しています。2人は遮光メガメのようなサングラスをかけていますので多分同じ病気だと思います。祖父と祖母は同じ村で姓も同じだったそうです。父と母は隣村です。子供は2歳の男の子です。私の遺伝形式はどのタイプなんでしょうか? 
子供や孫も病気になるんでしょうか? 岩手県 36歳(主婦)


<回 答>
(回答者:順天堂大学 村上 晶先生・岩田 文乃先生)
今2歳のお子さんや将来のお孫さんが網膜色素変性になるかどうかご心配なのですね。次のお子さんについてもお悩みなのでしょうか。
このような疑問をお持ちの方は少なくないと思いますが、遺伝についてのご相談には「一般的にはこうです」という答えがなかなかできません。一人ひとりの状況が違うこと、ご家族の情報(家系図)の詳しい確認がないと正確な判断ができないこともその理由の一部です。このため、遺伝についてのご質問のあるかたは、遺伝相談(遺伝カウンセリングとも言います)をお受けになることをお勧めします。
遺伝相談(または遺伝カウンセリング)とは、遺伝についてさまざまな疑問や不安をお伺いして、診断と家系図をもとに医学的な情報をお伝えするだけではなく、「自分や家族の今の状態や今後の生活などについてどのように考えていて、今後将来をどのように生きていきたいのか」を、相談者(当事者)の方とともに考え、その過程をサポート(支援)させていただくものです。ですから、一度で終わることもありますが、何度かいらしていただくことも少なくありません。あわただしい外来では相談しにくいでしょうし、このような紙面でお答えできれば、小さなお子さんのいらっしゃる方やお忙しい方にも便利だと思いますが、遺伝相談はプライバシーの保護のもとでの完全なオーダーメードの相談なのです。
その一方で、何よりもまず大切にしなければならないことは、相談なさっているご本人が「何を」「なぜ」心配なさっているのかという本当に不安なことに対する理解と、日常生活や仕事などについてのケアだといえます。なぜなら症状や診断による変化に対しての精神面と現実面での広い意味でのケアが十分であるのか、あるいはご本人やご家族がその病気をどうとらえていらっしゃるのか、ご家族との関係はどうなのか、などにより遺伝についての情報が持つ意味合いが大きくかわることがあるからです。
現在おかかりの眼科で十分な遺伝相談が受けられれば問題はないのですが、それ以外の施設で遺伝相談の経験のある者による相談をご希望であれば、遺伝相談施設情報1)が京都大学病院遺伝子診療部の臨床遺伝情報網(いでんねっと)に載っています。地域によっては施設が多くないのが実情ですが、最寄りの施設へ問い合わせてみてはいかがでしょうか。いろいろなご心配がおありだと思いますが、どうぞお一人で悩まず、ご相談ください。
1)http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/idennet/DB/index.html



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