質問13
2003年6月14日付けの朝日新聞神奈川版の記事において、漢方薬の「しょうさいことう」「けいしぶくりょうがん」の服用が、網膜色素変性症に効果があると書いてありました。本当でしょうか?
(神奈川、男、58才)
<回答>
(回答者:富山医科薬科大学 眼科 早坂 征次
先生、山田 哲也 先生)
薬や治療法の効果を判定する場合、どのようにして判定するかが重要です。網膜色素変性では、視力、視野、網膜電位図(網膜に光刺激を与えた時に得られる電位変化の図)の変化を調べるのがよいと思われます。薬剤の投与前と投与後および投与しない人と投与した人でくらべた科学的客観的データで効果を判定する必要があります。
海外では、治療されていない網膜色素変性の患者さんの視力、視野、網膜電位図の変化を3年後に調べると、視力、視野は変わらず、網膜電位では変化が見られたとの報告があります(網膜色素変性では、視力、視野は3年間ではほとんど変わらず、5年・10年という長い経過で悪化すると考えられます)。そこで、我々は当大学の和漢診療部と協力し、患者さんの了解を得て、多数の網膜色素変性の患者さんに小柴胡湯や桂枝茯苓丸を3年間服用していただき、その効果を判定することを試みました。
しかし、副作用のため3年間服用することが困難な方がおりました。人数がかぎられたため、現在のところ我々は判定できません。漢方薬を服用する場合は他の薬と同様に副作用に注意しなければなりません。
【あぁるぴぃQ&A】