JRPSトップ > アイヤ会トップ > バックナンバー > 目次
匿名希望
最近、翻訳の世界に興味を持ちました。職業としての翻訳の世界をほんの少しでも知ると文献の世界も違った角度から知ることができ、とても面白いことに気が付きました。そのままでは通じない英語のもともとの意味を損ねないで適切な日本語の表現に置き換える技術はソフトウェアや辞書ツールでは限界があり、最終的には翻訳者のセンスに委ねられることを知りました。意味が合っていれば十人十色の翻訳結果があっても不思議ではないと思いました。
わが国の主要大学200校の英文サイトの約半数近くがスペルミスや文法ミスが存在しているという調査結果のニュースがありました。同様に企業も・・・。ただし、英文クオリティのレベルが高い大学も何校かあるそうです。そのニュースを聞いたとき、海外の英文サイトももしかするとスペルミスが意外と多いのではないかと思いました。
ウェブの翻訳サービス、辞書サービスは進化するいっぽうです。日本語のキーワードから英語・中国語・韓国語のページを検索できるサービスもあれば、検索窓に入力途中のスペルをもとにパソコンの「↓」キーを押すと候補となる英単語をいくつかのアルファベット順に表示するスペリングアシスト機能なるものが登場しました。使ってみましたがなかなか実用的でした。
幾つかの大学や公立図書館の英語の学術的文献を検索できるサーチエンジンはその後、検索結果に出版物のオンラインサイトが多くヒットするようになってきましたので利用していませんが、検索結果のWebページを高速で翻訳してくれるサーチエンジンは現在も利用しています。最近、専門用語を訳す翻訳サービスも登場してきました。ただし、どちらも翻訳される文字数に制限があります。
かくも翻訳の世界は進化著しいのですが、肝心の症候群の情報を入手するのは容易ではありません。今回はアッシャー・シンドロームだけでなく、シンドロームの世界も探ってみたいと思います。テーマはいつごろ、登場したのか?です。
シンドロームすなわち、症候群とは一つの疾患や障害で現れる一群の徴候のことですが、いつごろから伝来したのでしょうか。また、アッシャー症候群は?英単語は?ヒントが国会図書館にありました。サーチ対象は和図書・洋図書・和雑誌新聞・洋雑誌新聞・電子資料・和古書・博士論文などです。
わが国では1965年(昭和40年)に症候群辞典が刊行され、USHER症候群と英語混じりですが、すでに記載されています。その症候群辞典はわたくしの住んでいる街の図書館に存在しており、その「まえがき」には「既にわが国でも症候群辞典は2・3刊行されているが・・・」とありましたので、それ以前の古い辞典を探したことがあります。国会図書館の蔵書検索システム(NDL-OPAC)でサーチしてみますと症候群の辞典としてはこれがもっとも古いプレスであることがわかりました。従って、アッシャー・シンドロームはわたくしの知っている範囲内ではもっとも古い記録ではないかと思われます。では“症候群”のほうはいつごろから登場したのでしょうか。今回さらに調べてみました。タイトルの一部でも“症候群”の用語が使われている古い記録は博士論文として、1928年(昭和3年)の文献もありましたが、1925年(大正14年)の文献がわが国ではもっとも早い時期に登場していることがわかりました。
一方、“Usher syndrome”の英単語は1932.年に洋図書としての文献が存在しており、わが国ではもっとも早い登場ではないかと思われます。
※わが国ではsymdromeのキーワードでウェブをサーチすると、症候群の意味でヒットすることがありますが、スペルミスです。