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●バルデー・ビードル症候群

匿名希望


1866年、Laurence(1829-1870)とMoon (1845-1914)によって、色素性網膜症、知能発育不全、痙性対麻痺(けいせいついまひ)を持った患者の報告がされ、後に、ローレンス・ムーン症候群(LMS)と呼ばれるようになった。また、1920年にBardet、1922年にBiedlが報告した症例はバルデー・ビードル症候群(Bardet-Biedl syndrome=BBS)と名付けられる。この2つの症候群の関係は長年、不確定要素であった。1925年には、Solis-CohenとWeiss がローレンス・ビードル症候群(LBS)として、それらをひとまとめにしたという報告がある。ローレンス・ムーン・バルデー・ビードル症候群(LMBBS)および、ローレンス・ムーン・ビードル症候群(LMBS)は、その長い間の不確定要素の過程で登場してきたと考えられる。BBS(BBS 2)は間違ってLMBBSと呼ばれている(いた)という説もある。実際、PubMedのデータベースを検索してもLMBBSとLMBSの文献は現在ヒットしない。サーチしてもBBSの文献に振られてしまう。よって、LMBBSとLMBSは一般のWebではヒットするが、学術的専門用語としては死語であると断定できる。(わが国では使われているが)現在、バルデー・ビードル症候群は分子遺伝学的にBBS1〜BBS9の9つのBBS遺伝子が識別されている。遺伝形式は「3対立遺伝子の遺伝」という呼び名と「浸透度の変更遺伝子(または修飾因子)を持つ劣性遺伝」が提案されているように、今のところ9つの遺伝子座への連鎖を持ち、遺伝的に異種な疾患(または障害)である。

臨床徴候は、網膜ジストロフィ、多指症、知能発育不全、肥満以外にも腎臓の異常が高頻度にみられ、腎不全、肝線維症、糖尿病、網膜色素変性症などの報告がある。なお、バルデー・ビードル症候群(BBS)に聴覚障害および、難聴の(患者)報告例はない。

 また、BBSと似たような症候群として、ビエモン(Biemond)症候群II(虹彩コロボーム、性器発育不全症、肥満、多指症、および知能発育不全)があるが、学術的には区別されている。

※"Bardet-Biedl syndrome"のサーチ件数、約79,500 件(サーチ日2006/02/12)


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