RP−net川柳会 「川柳 もやい傘」
2019年までの[今月の秀句]




[更新日 : 2023年7月29日]



 本会は2011年5月に、RPの患者・家族などを中心に10数名で旗揚げしました。
徐々に会員が増え、現在会員は、埼玉県から沖縄県の、男性37名、女性38名の計75名
を数えます。
 私たちは、電子メールによって毎月川柳の句会を楽しんでいます。入会時はほとんどの
人が初心者でしたが、皆さんはだんだんと腕を上げています。
 選者には、NHK文化センター梅田教室の川柳講支で、「番傘川柳本社」でも選者
をやっておられたベテランの川柳作家にお願いしています。
 皆さんも川柳をやってみませんか! 川柳に興味をお持ちの方のご参加をお待ちして
います。初心者の方には川柳を学べる資料を差し上げます。なお、入会費も会費も
一切不要です。

★お問合せ・お申込み先: 山本 進(堺市)
 рO72−255−9007

☆本会の選者をお願いしている吉道航太郎さんとあかねさんが2012年4月に、私
家版の川柳句集『すぷりんぐ』を上梓されました。メール版を
RP−net川柳会の会員に差し上げています。



[今月の秀句](2019年)


■12月
題:「握る」 (内藤憲彦 選)
(人の句) 見つめ合う代わりにギュッと手を握る  兵庫県 平井啓一
(地の句) 願い事握った小銭初詣  大阪府 山中 敦
(天の句) 過去の恥握り潰してしまいたい  沖縄県 田中愛子 

題:「写真」 (柴田桂子 選)
(人の句) 悲しみが写真に残る戦争史  愛媛県 松浦常子
(地の句) こんなんじゃなかったはずの青写真  和歌山県 北口 豊
(天の句) 絶妙に時代切り取るカメラマン  福岡県 三小田静男 

題:「写真」 (大谷忠正 選)
(人の句) 黒枠にあなたの笑顔似合わない  大阪府 能勢良子
(地の句) 一枚の古い写真がつなぐ縁  宮崎県 高田澄代
(天の句) 悲しみが写真に残る戦争史  愛媛県 松浦常子 

題:「大胆」 (山本 進 選)
(人の句) 嫁という仮面剥ぎたい時もある  大阪府 桂 ふみこ
(地の句) わたくしの弱さを全てお見せする  京都府 高橋レニ
(天の句) 画用紙をはみ出しそうなママの顔  福岡県 廣渡憲峰 



■11月
題:「ポイント」 (航太郎 選)
(人の句) ポイントをずらせば違う世界見え  兵庫県 濱田すゑ子
(地の句) 電話からワンポイントで母の味  大阪府 青田和代
(天の句) 服選びポイントはまず着痩せです  兵庫県 曽余田かずよ 

題:「ポイント」 (会員による互選)
(人の句) ポイントをずらせば違う世界見え  兵庫県 濱田すゑ子
(地の句) 電話からワンポイントで母の味  大阪府 青田和代
(天の句) 女から母へポイント切り換える  大阪府 山本 進 

題:「歯」(歯車の歯) (あかね 選)
(人の句) 歯痒くてすぐに手を出す口も出す  大阪府 山本正美
(地の句) ゆるやかな川が歯車狂わせる  兵庫県 南 美千代
(天の句) 沢庵をポリポリ噛んだ昭和の歯  大阪府 吉田禮子 

題:「歯」 (小野里 進 選)
(人の句) 黄色い歯で噛まれた小指洗ってる 京都府 高野末次
(地の句) 白い歯が花の如くに咲く笑顔 兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) 愛し子が乳房に立てる歯の痛さ 埼玉県 湯澤廣美 

題:「磨く」 (進 選)
(人の句) 喧嘩後は仇のように鍋磨く  大阪府 岩城豊恵
(地の句) これ以上磨くと友がいなくなる  福岡県 廣渡憲峰
(天の句) 若者よ男を磨く気はないか  京都府 高野末次 



■10月
題:「追う」 (航太郎 選)
(人の句) 知らぬ間に母の仕草を追っている  兵庫県 伊藤節代
(地の句) 令和の子トンボ追う日が来ますよう  大阪府 岩城豊恵
(天の句) 彼の追う夢が私の夢になる  兵庫県 曽余田かずよ 

題:「追う」 (松浦常子 選)
(人の句) 彼の追う夢が私の夢になる  兵庫県 曽余田かずよ
(地の句) 父の年追い越したのに父越せず  東京都 小野里 進
(天の句) 一番を追うのをやめて僕は僕  福岡県 小森 弘 

題:「偶然」 (あかね 選)
(人の句) 山道を案内顔して蝶が舞う  東京都 安藤幸雄
(地の句) 偶然と笑うヒーローインタビュー  和歌山県 北口 豊
(天の句) 父の名に偶然出会う古本屋  大阪府 山本 進 

題:「ポスト」 (進 選)
(人の句) 旅先でポストに入れる旅自慢  大阪府 山中 敦
(地の句) 届かない想いポストのせいにする  京都府 高橋レニ
(天の句) もう引けぬポストへ入れた片思い  兵庫県 山口昌彦 



■9月
題:「厄介」 (航太郎 選)
(人の句) 厄介な人のお手本トランプ氏  大阪府 橋本富雄
(地の句) 厄介なんですちっぽけなプライド  大阪府 田川里香
(天の句) 厄介を諭吉がちょいと片付ける  大阪府 吉川義男 

題:「飲む」 (あかね 選)
(人の句) 家で飲むビールの旨さ世界一  兵庫県 平井美幸
(地の句) 飲み込みは遅いが力貯めている  愛媛県 松浦常子
(天の句) カルテでは飲まないことになっている  沖縄県 田中愛子 

題:「船」 (進 選)
(人の句) いつからか私が舵を取っている  沖縄県 田中愛子
(地の句) 幸せの時間が止まる船の旅  東京都 中丸 仁
(天の句) 風船を手放すようにさようなら  京都府 高橋レニ 

題:「船」 (桂 ふみこ 選)
(人の句) 笹舟に遺影の友が蘇る  大阪府 熊内茂生
(地の句) 天寿終え三途の川をゆーらゆら  大阪府 三宅景子
(天の句) 宇宙船青い地球を見てみたい  大阪府 吉田禮子 



■第100回記念全国川柳大会(2019年7月13日)
  会場  北京料理「徐園」
  参加者  出句49名、他に、ガイドヘルパー等24名

兼題:「明日」 太田扶美代 選 (川柳藤井寺)
(人の句) 明日知れぬ病に喧嘩吹っ掛ける  大阪府 椿野紀子 
(地の句) 少年と明日を約束した夕日  大阪府 川端六点
(天の句) てるてる坊主明日のことは分からない  大阪府 能勢良子

兼題:「ほんま」 南野勝彦 選 (堺番傘川柳会)
(人の句) ほんまのことだけしか言えぬあかんたれ  大阪府 太田扶美代
(地の句) 文楽の人形ほんまに泣いている  大阪府 吉道航太郎
(天の句) やっと来たこれがほんまの御堂筋  福岡県 廣渡小夜子

兼題:「幸せ」(詠込み不可) 古今堂蕉子 選 (川柳塔すみよし)
(人の句) 交差点青を知らせる知らぬ声  大阪府 三宅景子
(地の句) 人生の午後に増えてる笑い皺  大阪府 吉道あかね
(天の句) 青い眼の孫を訪ねる旅仕度  大阪府 堀切艶子 

兼題:「のんびり」 澤井敏治 選 (川柳塔さかい)
(人の句) のんびりとしてるが無職とは言わず  福岡県 廣渡憲峰
(地の句) 渓流の竿は釣れても釣れんでも  大阪府 川端六点
(天の句) 叙情歌にのんびり自分取り戻す  大阪府 吉田禮子

兼題:「見える」 吉道あかね 選 (柳都川柳社)
(人の句) おほほほほ私いくつに見えますか  大阪府 川端六点
(地の句) 若く見えるその一言でお買い上げ  兵庫県 平井美幸
(天の句) ハルカスから西方浄土見えますか  大阪府 山本 進

兼題:「百」(字結び可) 吉道航太郎 選 (柳都川柳社)
(人の句) 百歳が笑って暮らす国であれ  大阪府 古今堂蕉子
(地の句) 百年も七日も変わらない命  大阪府 澤井敏治
(天の句) 百態の雲にわたしを遊ばせる  大阪府 山本 進



■7月
題:「ギャグ」 (航太郎 選)
(人の句) ギャグ一つ飛ばし和んで輪になって  宮崎県 高田澄代
(地の句) 言っている自分が寒い親父ギャグ  大阪府 横山益世
(天の句) 一発のギャグで天下を取りました  大阪府 山本 進 

題:「ごまかす」 (あかね 選)
(人の句) 笑顔では誤魔化しきれぬ歳になり  兵庫県 曽余田かずよ
(地の句) 食卓を手作り風に盛り付ける  兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) ごまかして鞭を打ってる老いの坂  大阪府 山本 進 

題:「ごまかす」 (廣渡憲峰 選)
(人の句) ごまかしを捨て清貧に今生きる   福岡県 小森 弘 
(地の句) あいまいに絵文字に最後語らせる  大阪府 松浦英夫 
(天の句) 病む母の視線はずして林檎むく   滋賀県 結城ゆかり 

題:「離れる」 (進 選)
(人の句) 天と地に離れて暮らす君と僕  大阪府 能勢良子
(地の句) 遠距離で育む愛のエピローグ  京都府 高野末次
(天の句) もう少し握っていたい子供の手  大阪府 中野町子 



■6月
題:「しっかり」 (航太郎 選)
(人の句) 里山を背負ってひとり田植えする  東京都 安藤幸雄
(地の句) しっかりと貯めて老後を迎え撃つ  大阪府 渡部ふみか
(天の句) しっかりとしすぎて今も一人です  東京都 中丸 仁 

題:「しっかり」 (吉田禮子 選)
(人の句) 言葉よりしっかり握る手が語る  兵庫県 曽余田かずよ
(地の句) 里山を背負ってひとり田植えする  東京都 安藤幸雄
(天の句) 頑として口を割らない貝である  大阪府 山本 進 

題:「和らぐ」 (あかね 選)
(人の句) 日にち薬に胸のしこりをほぐされる  大阪府 山本 進
(地の句) 飴配り過熱議論を和らげる  兵庫県 浅田美登里
(天の句) 旬のお茶飲んで和らぐ老夫婦  大阪府 小倉 英 

題:「かおる」 (進 選)
(人の句) バラ香る別れを暗示するように  大阪府 能勢良子
(地の句) 寂しさの募る香気が仏間から  大阪府 伊藤茂樹
(天の句)風薫る令和へ翼広げよう  大阪府 椿野紀子 



■5月
題:「ラスト」 (航太郎 選)
(人の句) 先頭を気にせずラストひた走る  福岡県 小森 弘
(地の句) 人生のラストにふっと笑えたら  兵庫県 曽余田かずよ
(天の句) あと少しラストスパートかけてみる  兵庫県 伊藤節代 

題:「ラスト」 (会員による互選)
(人の句) 薄れゆく視力に桜焼き付ける  兵庫県 曽余田かずよ
(地の句) たっぷりと朱肉を付ける離婚印  大阪府 山本 進
(天の句) 人生のラストにふっと笑えたら  兵庫県 曽余田かずよ 

題:「曇る」 (あかね 選)
(人の句) 虐待のニュースに心曇らせる  福岡県 廣渡憲峰
(地の句) 手を合わす心の曇り取りたくて  兵庫県 山口昌彦
(天の句) 見えないが曇っていない私の目  福岡県 小森 弘 

題:「軸」 (進 選)
(人の句) 子育てを終えて女に軸戻す  大阪府 山本正美
(地の句) 美容整形ちょいとずらした鼻の軸  兵庫県 南 美千代
(天の句) 長生きへ書き足していく時間軸  兵庫県 山口みゆき 

題:「軸」 (曽余田かずよ 選)
(人の句) 雑草の茎の強さを知る利鎌  福岡県 廣渡憲峰
(地の句) ギーギーと我が家の主軸油切れ  兵庫県 山田 明
(天の句) 長生きへ書き足していく時間軸  兵庫県 山口みゆき 



■4月
題:「余分」 (航太郎 選)
(人の句) 思い切り余分を捨てるお引っ越し  大阪府 山本 進
(地の句) 追伸に一言余分書き添える  愛媛県 松浦常子
(天の句) 修飾語省ける友と酒を酌む  兵庫県 山口昌彦 

題:「疑問」 (あかね 選)
(人の句) 贈らない指輪を妻は付けていた  大阪府 吉川義男
(地の句) 足りているのに再稼働する疑問  宮崎県 高田澄代
(天の句) 年齢を重ねて解けてきた疑問  大阪府 山本正美 

題:「疑問」 (松浦英夫 選)
(人の句) 一筋にポチに尽くして何故二番  滋賀県 結城ゆかり
(地の句) 自然界疑問も持たず桜咲く  大阪府 嶋村幸子
(天の句) 虐待が疑問残して子は犠牲  滋賀県 大谷忠正 

題:「逃げる」 (進 選)
(人の句) 文鳥に逃げた理由を聞きたがる  和歌山県 北口 豊
(地の句)  逃げるどころか動けない震度七  大阪府 福園多恵子
(天の句) 元気出せ明日が逃げて行かぬよう  大阪府 中野町子 



■3月
題:「宝」 (航太郎 選)
(人の句) 人生は宝探しによく似てる  兵庫県 平井啓一
(地の句) 他人にはガラクタわたしには宝  大阪府 山本 進
(天の句) お宝は無いが宝に囲まれる  福岡県 廣渡憲峰 

題:「宝」 (濱田すゑ子 選)
(人の句) 指にはめそっと包んで姉思う  愛媛県 高山潮美
(地の句) 五十年変わらぬ友は宝物  宮崎県 高田澄代
(天の句) 何よりも君の笑顔が宝物  東京都 中丸 仁 

題:「平気」 (あかね 選)
(人の句) 持ち前の鈍感力を楯にする  兵庫県 山口昌彦
(地の句) おばちゃんは平気で値切る特価品  兵庫県 浅田美登里
(天の句) 涙した数だけ打たれ強くなる  福岡県 廣渡憲峰 

題:「途中」 (進 選)
(人の句) 道半ば父の遺志継ぐ詠進歌  大阪府 中野町子
(地の句) 人生のまさかに出会う途中下車  兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) 挫折した私を許せないわたし  大阪府 椿野紀子 



■2月
題:「ウイルス」 (航太郎 選)
(人の句) おばちゃんのお口ウイルス撒き散らす  大阪府 山本 進
(地の句) ウイルスが長期休暇をくれました  兵庫県 山口昌彦
(天の句) ウイルスが待合室で獲物待つ  兵庫県 山田 明 

題:「重い」 (あかね 選)
(人の句) 背負っていた荷を降ろしつつ遍路道  大阪府 松浦英夫
(地の句) 重荷にはならぬつもりで生きている  兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) 重量感手で確かめる品定め  兵庫県 浅田美登里 

題:「血液」 (進 選)
(人の句) 採血で潜む病気を釣り上げる  大阪府 島尾政男
(地の句) 女子会は血液型で盛り上がる  大阪府 青田和代
(天の句) 血液を滾らせ読んだ資本論  大阪府 松浦英夫 

題:「血液」 (山口昌彦 選)
(人の句) 行列に血が騒ぐのは親譲り  大阪府 田川里香
(地の句) 緊張で血液の音聞かれそう  東京都 中丸 仁
(天の句) 老老の介護に悩む血の絆  大阪府 熊内茂生 



■1月
題:「空気」 (航太郎 選)
(人の句) 空気読み猫も部屋から逃げて行く  大阪府 吉川義男
(地の句) 精一杯やった空気が抜けました  大阪府 山本 進
(天の句) 空気読む才に長けてる次男坊  大阪府 松浦英夫 

題:「カラフル」 (あかね 選)
(人の句) カラフルな街で孤独が染みてくる  兵庫県 曽余田かずよ
(地の句) カラフルな美と鎮魂とルミナリエ  大阪府 松浦英夫
(天の句) カラフルな薬を飲んで元気です  大阪府 能勢良子 

題:「カラフル」 (松延太郎 選)
(人の句) また増えてカラフルになる薬箱  大阪府 桂 ふみこ
(地の句) カラフルな言語に頼る老介護  大阪府 熊内茂生
(天の句) カラフルなパフェがきたならまず写真  大阪府 岩城豊恵 

題:「煙」 (進 選)
(人の句) 集まって燻されている愛煙家  兵庫県 伊藤節代
(地の句) 甘やかす煙たい親になれなくて  大阪府 加藤ふき子
(天の句) 食い付いてくるかと狼煙上げてみる  和歌山県 北口 豊 




[今月の秀句](2018年)


■12月
題:「名前」 (航太郎 選)
(人の句) 刻銘碑一人ひとりにある無念  兵庫県 山口昌彦
(地の句) 名前負けそれはないよと奮起する  兵庫県 平井啓一
(天の句) こんな子になってほしいと付けました  大阪府 日本松啓二 

題:「名前」 (山田 明 選) 
(人の句) 旧姓を忘れるほどの時が経ち    福岡県 廣渡憲峰 
(地の句) 同じ名にちょっと気になり顔を上げ    兵庫県 高瀬静嗣 
(天の句) 花の名を教えてもらう散歩道    大阪府 濱田康子 

題:「曲がる」 (あかね 選)
(人の句) 誉められてしかめっ面のへそ曲がり  大阪府 橋本富雄
(地の句) 曲げられて大きくなっていく噂  兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) 母祝う紆余曲折の一世紀  滋賀県 大谷忠正 

題:「曲がる」 (会員による互選)
(人の句) 幸せの待っていそうな曲り角  大阪府 山本 進
(地の句) 都合よく真実さえも曲げる妻  大阪府 吉川義男
(天の句) 曲げられて大きくなっていく噂  兵庫県 濱田すゑ子 

題:「かばん」 (進 選)
(人の句) わくわくをいっぱい詰めた旅かばん  大阪府 能勢良子
(地の句) 鼻歌もかばんに詰める旅支度  大阪府 熊内茂生
(天の句) そこのけそこのけキャリーバッグのお通りだ  兵庫県 山口昌彦 



■11月
題:「呼ぶ」 (航太郎 選) 
(人の句) 夜間工事呼び合う声が澄み渡る  大阪府 中野町子
(地の句) これしきでまだ婆ちゃんと呼ばせない  滋賀県 結城ゆかり
(天の句) お父さんと呼ばれて気付くゴミ出し日  大阪府 橋本富雄 

題:「宿泊」 (あかね 選)
(人の句) スイートルーム一夜限りの夢を見る  兵庫県 浅田美登里
(地の句) 結局は我が家に勝る寝床無し  滋賀県 大谷忠正
(天の句) 大自然寝袋一つ星の宿  大阪府 吉田禮子 

題:「湯」 (進 選)
(人の句) お湯割りを少し濃い目に秋夜長  大阪府 松浦英夫
(地の句) 生かされて白湯一杯が身に染みる  滋賀県 結城ゆかり
(天の句) 湯豆腐ことこと優しくなれそうな  大阪府 能勢良子 

題:「湯」 (廣渡憲峰 選) 
(人の句) 湯気の立つ鍋を囲んで平和です   愛媛県 松浦常子 
(地の句) 湯けむりの里に忘れた恋ひとつ   兵庫県 平井啓一 
(天の句) 仮設の湯生きる力を呼び起こし   福岡県 松延太郎 



■10月
題:折句「さ・か・い」 (航太郎 選)
(人の句) さあさあと母さんいつも急がせる  愛媛県 松浦常子
(地の句) 鯖味噌が彼のハートを射たようだ  兵庫県 曽余田かずよ
(天の句) 騒がしい家族団欒いつまでも  大阪府 青田和代

題:「折る」 (あかね 選)
(人の句) 折り合いをつけて仲良く生きてます  福岡県 松延太郎
(地の句) 千代紙を折ってもてなす箸袋  大阪府 田川里香
(天の句) 私が折れて空気が丸くなる  大阪府 渡部ふみか

題:「折る」 (島尾政男 選)
(人の句) 折り畳み仕舞って置いた過去がある  兵庫県 濱田すゑ子
(地の句) 千羽鶴何を願って風に舞う  滋賀県 大谷忠正
(天の句) 仕舞風呂今日一日を折りたたむ  大阪府 松浦英夫

題:「こつこつ」 (進 選)
(人の句) 父の突く杖の音には威厳あり  福岡県 廣渡憲峰
(地の句) 努力家の君の確かな生きる音  兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) こつこつと老いていく音聞いている  大阪府 能勢良子



■9月
題:「腹の立つこと」(詠込み不可) (航太郎 選)
(人の句) 補助金で医師にさせちゃう文科省  兵庫県 南 美千代
(地の句) 新人に軽く見られているような  大阪府 能勢良子
(天の句) 負け犬になっても尻尾振るわたし  大阪府 山本 進 

題:「腹の立つこと」(詠込み不可) (伊藤節代 選)
(人の句) ささやきの差別言葉を聞き流す  宮崎県 高田澄代
(地の句) 尻拭いさせられ一人飲む番茶  和歌山県 北口 豊
(天の句) 堪忍袋一晩寝たら空になり  兵庫県 山口昌彦 

題:「ぼんやり」 (あかね 選)
(人の句) 黒白をつけずぼんやりさせておく  兵庫県 曽余田かずよ
(地の句) 釣り糸に暇をつるして日暮れ待つ  兵庫県 山口昌彦
(天の句) ぼんやりと雲を眺めている平和  兵庫県 濱田すゑ子 

題:「一歩」 (進 選)
(人の句) 姉ちゃんと八百屋に言われ一歩引く  兵庫県 中川由希子
(地の句) 残された時間楽しむ一歩毎  兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) また一歩冥途近づく誕生日  愛媛県 松浦常子 



■8月
題:「遥か」 (航太郎 選)
(人の句) この暑さ徒歩十分は遥か先  大阪府 橋本富雄
(地の句) 今もまだはるかな君が浮かびます  兵庫県 高瀬静嗣
(天の句) 遥かから呼ばれた声で目が醒めた  大阪府 高里道子 

題:「歌」 (あかね 選)
(人の句) 被災地に届いて欲しい応援歌  大阪府 熊内茂生
(地の句) 歌声喫茶みんな夢中に生きていた  大阪府 山本 進
(天の句) 我が名さえ忘れた母の子守歌  兵庫県 伊藤節代 

題:「使う」 (進 選)
(人の句) 嬉しさをみんなに分けて使い切る  福岡県 廣渡憲峰
(地の句) 堪らずにエアコン使う熱帯魚  滋賀県 結城ゆかり
(天の句) こざっぱり憂さを畳んで湯を使う  滋賀県 結城ゆかり 

題:「使う」 (田中愛子 選)
(人の句) おんぼろでもまだまだ使うこの体  兵庫県 山口みゆき
(地の句) 顔三つ使い分けます女です  大阪府 山本 進
(天の句) 鍬使う母の手太く温かく  大阪府 桂 ふみこ 



■7月
題:「強い」 (航太郎 選)
(人の句) 腕相撲握った途端強さ知る  兵庫県 曽余田かずよ
(地の句) 仲直り握手にもつい力込め  福岡県 宮崎俊幸
(天の句) もうひとりの僕は手強い敵である  大阪府 山本 進 

題:「強い」 (会員による互選)
(人の句) 古希になり鉢巻強く締め直す  兵庫県 高瀬静嗣
(地の句) ちょっとだけ強く言ったらパワハラに  東京都 中丸 仁
(天の句) おみくじが強気にさせたプロポーズ  福岡県 廣渡憲峰 

題:「足音」 (あかね 選)
(人の句) 体裁を捨てた足音弾み出す  滋賀県 結城ゆかり
(地の句) カラコロと下駄愉しげに湯を巡る  兵庫県 山口昌彦
(天の句) 玉砂利が静かに心取り戻す  滋賀県 大谷忠正 

題:「足音」 (松浦英夫 選)
(人の句) 足音もなくやって来た震度六  大阪府 渡部ふみか
(地の句) 下校時の急ぐ足音弾む声  東京都 小野里 進
(天の句) 小四の足音消した魔の地震  福岡県 伊豆明雄 

題:「待つ」 (進 選)
(人の句) ひたすらにただひたすらに拉致家族  福岡県 伊豆明雄
(地の句) まあだまだ沙汰に及ばぬ閻魔さん  福岡県 宮崎俊幸
(天の句) 玄関で梅雨明けを待つ夏帽子  大阪府 桂 ふみこ 



■6月
題:「願う」 (航太郎 選)
(人の句) 白杖と出かけた妻の無事願う  兵庫県 南 美千代
(地の句) 這ってでもトイレにだけは行きたいな  宮崎県 高田澄代
(天の句) ただ祈ることしかできぬ母である  大阪府 山本 進 

題:「願う」 (曽余田かずよ 選)
(人の句) 大谷に投げる大谷見たいもの  大阪府 松浦英夫
(地の句) 遺影から出てきてほしい笑い顔  大阪府 熊内茂生
(天の句) 願わくば僕より後に逝ってくれ  兵庫県 平井啓一 

題:「家族」 (あかね 選)
(人の句) 動物の家族に学ぶ親離れ  兵庫県 上田進久
(地の句) 家族になろうそう押し切られ決めました  大阪府 福園多恵子
(天の句) ふる里をラインで繋ぐ核家族  福岡県 伊豆明雄 

題:「狸」 (進 選
(人の句) 毎日がカチカチ山の狸です  和歌山県 北口 豊
(地の句) 頑なにセクハラ認めない狸  兵庫県 中川由希子
(天の句) 店先の狸に絡む酔っ払い  兵庫県 曽余田かずよ 



■5月
題:「危ない」 (航太郎 選)
(人の句) 危なさも魅力だったな若きころ  兵庫県 山田 明
(地の句) 危なさを遊びで知った良き昭和  大阪府 吉田禮子
(天の句) 寄り添って危なっかしい人といる  大阪府 山本 進 

題:「キッチン」 (あかね 選)
(人の句) キッチンが我が家の歴史知っている  大阪府 加藤ふき子
(地の句) コンビニをキッチンにする共稼ぎ  大阪府 山本 進
(天の句) 磨くほど気分も晴れる台所  大阪府 吉田禮子 

題:「邪魔」 (進 選)
(人の句) 邪魔だけはするなと妻に言われてる  大阪府 島尾政男
(地の句) 白杖の一人歩きは邪魔ですか  和歌山県 北口 豊
(天の句) 逝くまでは可愛がられる婆ちゃんで  宮崎県 高田澄代 

題:「邪魔」 (結城ゆかり 選)
(人の句) 青空が出てきて傘が邪魔だよな  愛媛県 松浦常子
(地の句) お邪魔虫頼りたいときそこにいず  兵庫県 上田進久
(天の句) 願うのは子の邪魔せずにマイウエイ  大阪府 加藤ふき子 



■4月
題:「影」(影響の影) (航太郎 選)
(人の句) 春の陽に影も一緒に立ち話  福岡県 廣渡憲峰
(地の句) 効果ありジムの帰りの細い影  兵庫県 高瀬静嗣
(天の句) 背伸びして頑張っている薄い影  愛媛県 高山潮美 

題:「支える」 (あかね 選)
(人の句) 人の文字お互いさまと支え合う  神奈川県 清水秀雄
(地の句) 強がりも意地も私の支えです  兵庫県 濱田すゑ子
(天の句) 一言が生きる支えになりました  福岡県 松延太郎 

題:「支える」 (小野里 進 選)
(人の句) 踏み台の妻を支える腕悲鳴  兵庫県 村上 守
(地の句) 支える手ちょっと隠して子の自立  兵庫県 山口みゆき
(天の句) 気持ちしか支えられんでかんにんな  大阪府 吉田禮子 

題:「ずっと」 (進 選)
(人の句) この足でずっとこのまま歩きたい  大阪府 高里道子
(地の句) 灰になるまで美しく女です  東京都 安藤幸雄
(天の句) 聞き役に回ると欠伸止まらない  福岡県 廣渡憲峰 



■3月
題:「頻繁」 (航太郎 選)
(人の句) 頻繁な推敲やがて振り出しに  福岡県 松延太郎
(地の句) 鍋の中たびたび覗く新レシピ  東京都 安藤幸雄
(天の句) 頻繁に貯金通帳眺めてる  大阪府 橋本富雄

題:「頻繁」 (能勢良子 選)
(人の句) 頻繁にドラマを運ぶ救急車  宮城県 小池トキ子
(地の句) 頻繁に手紙を書いた若かった  愛媛県 松浦常子
(天の句) 頻繁に変わりないかと電話する  大阪府 青田和代

題:「豊か」 (あかね 選)
(人の句) 一輪の梅に心を満たされる  兵庫県 濱田すゑ子
(地の句) 記念日をリッチに過ごすロゼワイン  大阪府 島尾政男
(天の句) 不便楽しむ自然豊かな暮らしです  沖縄県 田中愛子

題:「固まる」 (進 選)
(人の句) 固まって心ざわつくご縁談  福岡県 松延太郎
(地の句) がっぷり四つの議論をコーヒーでほぐす  大阪府 山本正美
(天の句) 風の子が固まっているこの寒さ  大阪府 渡部ふみか



■2月(第80回記念誌上大会)
題:「時計」 (濱田すゑ子 選  RP−net川柳会)
(人の句) 目覚ましに生きているぞと知らされる  大阪府 桂 ふみこ
(地の句) 針のない時計を持っている童話 大阪府 古今堂蕉子
(天の句) 春を待つ改札前の花時計  大阪府 青田和代 

題:「街」 (山口昌彦 選  RP−net川柳会)
(人の句) 巣立つ子が住む街そっと見て回る  大阪府 中野町子
(地の句) また来てや人情の街大阪へ  大阪府 日本松啓二
(天の句) この街でドラマ始まる若夫婦  鹿児島県 小野里 進 

題:「鐘」 (古今堂蕉子 選  川柳塔すみよし)
(人の句) 半鐘が全てを見てた過疎の村  滋賀県 大谷忠正
(地の句) 晩鐘にやっと伸ばせる農の腰  兵庫県 山口昌彦
(天の句) 子や孫に平和の鐘をバトントス  大阪府 松浦英夫 

題:「ファースト」 (澤井敏治 選  川柳塔さかい)
(人の句) キャッチした恋のファーストストライク  大阪府 山本 進
(地の句) 富豪にもホームレスにも射す初日  和歌山県 北口 豊
(天の句) ファーストでなくても良いと親心  鹿児島県 小野里 進 

題:「ジャンプ」 (吉道あかね 選  柳都川柳社)
(人の句) 合格発表ガッツポーズで飛び跳ねる  兵庫県 山口みゆき
(地の句) たんぽぽの綿毛ジャンプが決まらない  大阪府 能勢良子
(天の句) 春が来たホップステップ風になる  兵庫県 山口昌彦 

題:「譲れないこと」 (吉道航太郎 選  柳都川柳社)
(人の句) 七敗の力士同士の待ったなし  神奈川県 清水秀雄
(地の句) 譲れない線を踏まれる基地の島  兵庫県 山口昌彦
(天の句) 譲れないこと譲り合う老い二人  大阪府 堀切艶子 



■1月
題:「魚」 (航太郎 選)
  箸出せばピクリと動く生き作り  鹿児島県 小野里 進
題:「鳴る」 (あかね 選)
  除夜の鐘わたしの海が凪いでくる  大阪府 山本 進
題:「貧乏」 (進 選)
  貧乏を楽しむように子沢山  鹿児島県 小野里 進
題:「貧乏」 (小野里 進 選)
  貧乏のくせに気になる世間体  大阪府 山本 進 




[今月の秀句] (2017年)


■12月
題:「失う」 (航太郎 選)
  紛失の財布出てきて中身読み  大阪府 山中 敦
題:「武器」 (あかね 選)
  道開く白い魔法の杖を持つ  大阪府 三宅景子
題:「武器」 (山田 明 選)
  人柄が学歴よりも武器になり  鹿児島県 小野里 進
題:「背負う」 (進 選)
  ねんねこを羽織り歌った子守唄  大阪府 山本正美 



■11月
題:「ページ」 (航太郎 選)
  君を知り過去のページは紙吹雪  福岡県 伊豆明雄
題:「ページ」 (松浦英夫 選)
  三面が映す時代の息遣い  福岡県 松延太郎
題:「遅れる」 (あかね 選)
  終幕は妻にひと足遅れたい  滋賀県 結城ゆかり
題:「草」 (進 選)
  鉢植えの野菜を草が呑み込んだ  兵庫県 南 美千代 



■10月
題:「巻く」 (航太郎 選)
  終章へひと踏ん張りのネジを巻く  大阪府 山本 進
題:「バック」 (あかね 選)
  この背中付いて行こうと決めました  兵庫県 伊藤節代
題:「人気」 (進 選)
  人気者ふわり乗ってるしゃぼん玉  兵庫県 高瀬静嗣
題:「人気」 (伊豆明雄 選)
  人気者後ろ姿にある本音  大阪府 能勢良子 



■9月
題:「苦しむ」 (航太郎 選)
  夕焼けの中に苦しさ溶けていく  大阪府 能勢良子
題:「苦しむ」 (会員による互選)
  産み終えて優しい母の顔となる  兵庫県 山口昌彦
題:「落ちる」 (あかね 選)
  落日へ息を合わせる夫婦舟  兵庫県 山口昌彦
題:「落ちる」 (山口昌彦 選)
  落ちるリンゴ見ても私なら昼寝  和歌山県 北口 豊
題:「雲」 (進 選)
  そんなもんちっぽけだよと雲が言う  兵庫県 伊藤節代 



■8月
題:「猫」 (航太郎 選)
  不景気に両手を上げた招き猫  兵庫県 濱田すゑ子
題:「猫」 (山口みゆき 選)
  盆近しお墓参りも猫のため  三重県 小川明美
題:「石」 (あかね 選)
  石段の先の景色を共に見る  兵庫県 山口みゆき
題:「枕」 (進 選)
  核事故の未だ帰れぬ草枕  大阪府 熊内茂生 



■7月
題:「ペン」 (航太郎 選)
  真実に挑み続けるペンがある  兵庫県 山口昌彦
題:「同じ」 (あかね 選)
  今日もまた昨日と同じそれでいい  兵庫県 濱田すゑ子
題:「森」 (進 選)
  温厚な森の熊さん歌の中  滋賀県 結城ゆかり
題:「森」 (吉田禮子 選) 
  ちっぽけな悩みだと知る森の中    兵庫県 濱田すゑ子 



■6月
題:「紙」 (航太郎 選)
引っ張ればハトが出そうなティッシュ箱  兵庫県 濱田すゑ子
題:「手」 (あかね 選)
話せない母は握手でありがとう  福岡県 廣渡憲峰
(題:「手」 (島尾政男 選)
心地よいゴッドハンドのマッサージ  宮城県 小池トキ子
題:「柔らか」 (進 選)
初孫の産毛のなんと柔らかな  大阪府 松浦英夫 



■5月
題:「椅子」 (航太郎 選)
  食卓に小さな椅子が一つ増え  兵庫県 山田 明
題:「椅子」 (曽余田かずよ 選)
  春の海テトラポッドが僕の椅子   兵庫県 濱田すゑ子 
題:「きちんと」 (あかね 選)
  丁寧にきちんと生きていくつもり  大阪府 能勢良子
題:「つまずく」 (進 選)
  つまづいて人の優しさ知りました  兵庫県 伊藤節代 



■4月
題:「そのうち」 (航太郎 選)  
そのうちに楽をさせると言う息子    沖縄県 田中愛子 
題:「そのうち」 (会員による互選)
見守ってそのうち過ぎる反抗期  大阪府 嶋村幸子
題:「かたち」 (あかね 選)
頑張ってみようか杭のかたちして  大阪府 能勢良子
題:「信じる」 (濱田すゑ子 選)
信じ合う共に苦楽の二枚貝  兵庫県 山口昌彦
題:「信じる」 (進 選)
人間不信裏切られ裏切られ  宮崎県 高田澄代 



■3月
題:「ロマン」 (航太郎 選)
  ラブレター書いただろうか古代文字  兵庫県 濱田すゑ子
題:「結ぶ」 (あかね 選)
  生き延びるために鬼とも手を結ぶ  大阪府 吉川義男
題:「結ぶ」 (北口 豊 選)
  自分史を幸せ色で締めくくる  兵庫県 浅田美登里
題:「余裕」 (進 選)
  我が肺よ君のステージまだ3だ  福岡県 伊豆明雄 



■2月
題:「ショック」 (航太郎 選)
  愛犬にかまれたショックまだ癒えず  大阪府 中野町子
題:「ショック」 (能勢良子 選)
  意趣返し思いもかけぬ妻の乱  大阪府 島尾政男
題:「不思議」 (あかね 選)
  不思議にも親が笑えば子も続く  大阪府 吉田禮子
題:「迫る」 (進 選)
  迫られて結婚したとしておこう  大阪府 堀切艶子 



■1月
題:「ガラス」 (航太郎 選)
  宝です貴方がくれたガラス玉  福岡県 廣渡憲峰
題:「初」 (あかね 選)
  鶏のどこか陽気な初暦  大阪府 山本 進
題:「あなた」 (進 選)
  ほんとやもんほんとにほんと好いとうと  福岡県 宮崎俊幸
題:「あなた」 (山口昌彦 選)
  網膜に君の笑顔が生きている  大阪府 山本 進 




[今月の秀句] (2016年)


■12月
題:「人間」 (航太郎 選)
  ワンランク上を欲しがる癖がある  大阪府 島尾政男
題:「届く」 (あかね 選)
  親展で妻に届ける感謝状  福岡県 廣渡憲峰
題:「届く」 (能勢良子 選)
  親展で妻に届ける感謝状  福岡県 廣渡憲峰
題:「厳しい」 (進 選)
  声のない子供の悲鳴闇に消え  大阪府 渡部ふみか 



■11月
題:「切る」 (航太郎 選)
  切れそうな糸に縋って生きている  大阪府 吉田禮子
題:「切る」 (濱田すゑ子 選)
  生きている喜びなぞる手術跡  和歌山県 北口 豊
題:「生まれる」 (あかね 選)
  君と会うために生まれたこの世です  兵庫県 濱田すゑ子
題:「生まれる」 (会員による互選)
  仕事終え美女が生まれる更衣室  大阪府 山中 敦
題:「消える」 (進 選)
  皆消えて寂しくなったかくれんぼ  兵庫県 曽余田かずよ



■10月
題:「ぽつり」 (航太郎 選)
ピンチには目からぽつりと武器を出す  兵庫県 山口昌彦
題:「冷たい」 (あかね 選)
十五夜の風冷たくて燗にする  兵庫県 平井美幸
題:「しみる」 (進 選)
引き出せば母の香りの桐箪笥  兵庫県 濱田すゑ子
題:「しみる」 (能勢良子 選)
達者でな心にしみる父の声  大阪府 浜田康子 



■9月
題:「つなぐ」 (航太郎 選)
  つないだ手時々離し長続き  兵庫県 伊藤節代
題:「頭」 (あかね 選)
  父母の手の強さ優しさ知る頭  福岡県 伊豆明雄
題:「頭」 (山田 明 選)
  この辺で頭下げれば丸くいく  大阪府 能勢良子
題:「ペット」 (進 選)
  ペットにはならぬと今日も酒を飲む  大阪府 平井威史 



■RP全国川柳大会(2016年7月23日)
  会場  大阪市中央公会堂・大会議室
  参加者  出句39名、他に、ガイドヘルパー等25名
  お話  山本 進 「大川と中之島界隈〜文学と地理と歴史と私と」
席題:「橋」 (川端六点 選)
  広島にオバマが橋を架けた夏  兵庫県 南 美千代
宿題:「集まる」 (能勢良子 選)
  この指止まれ同じ悩みを持つとんぼ  大阪府 山本 進
宿題:「大阪」 (松浦英夫 選)
  あきまへんぼちぼちなのに倉が建つ  東京都 小柴恭男
宿題:「祭」 (島尾政男 選)
  残業に羨んで見る遠花火  兵庫県 山口昌彦
宿題:「水」 (吉道あかね 選)
  炎天下地蔵さんにも水あげる  大阪府 中村光夫
宿題:「焼く」 (吉道航太郎 選)
  夏の恋失せても残る日焼け跡  大阪府 平井威史 



■7月
題:「お菓子」 (航太郎 選)
  上品な和菓子へおちょぼ口になる  大阪府 山本 進
題:「お菓子」 (松浦英夫 選)
  じゃんけんでだれに行くのか菓子一つ  鹿児島県 小野里 進
題:「梅雨」 (あかね 選)
  梅雨晴れへ私を干しに街へ出る  大阪府 山本 進
題:「植える」 (進 選)
  ドングリを植えて茸の夢を見る  鹿児島県 西留保雄 



■6月
題:「老いる」 (航太郎 選)
  老いの眼に世間の機微がよく見える  大阪府 山本正美
題:「大きい」 (あかね 選)
  過去の傷包んでくれた大きい手  福岡県 伊豆明雄
題:「トップ」 (進 選)
  トップにはなれぬ同士の二重奏  大阪府 堀切艶子
題:「トップ」 (濱田すゑ子 選)
  男より男トップの男役  大阪府 山本 進 



■5月
題:「青」 (航太郎 選)
青臭い男を炒め物にする  大阪府 山本 進
題:「青」 (会員による互選)
青ですよその一声があたたかい  兵庫県伊藤節代
題:「白」 (あかね 選)
隊員が握るおむすびありがとう  兵庫県 南 美千代
題:「白」 (山口昌彦 選)
熱弁の袖に霜降る老教師  福岡県 宮崎俊幸
題:「黒」 (進 選)
鉛筆の芯から夢も生まれます  兵庫県 高瀬静嗣



■4月
題:「自由」 (航太郎 選)
  髪を切るちょっと自由になりたくて  兵庫県 山口昌彦
題:「自由」 (堀切艶子 選)
  自由の女神を悩ます自爆テロ  大阪府 能勢良子
題:「まさか」 (あかね 選)
  まさかから何も学べず再稼働  福岡県 松延太郎
題:「アップ」 (進 選)
  お賽銭運気が上がりますように  大阪府 日本松啓二



■3月
題:「おわび」 (航太郎 選)
  工事中おわびの太字威張ってる  大阪府 山中 敦
題:「残る」 (あかね 選)
  残り福でした優しい妻でした  大阪府 山本 進
題:「視点」 (進 選)
  盛り付けに葉っぱ一枚変わる味  兵庫県 山口みゆき
題:「視点」 (能勢良子 選)
  盛り付けに葉っぱ一枚変わる味  兵庫県 山口みゆき



■2月
題:「猿」 (航太郎 選)
  ボス猿の肩の辺りにある孤独  大阪府 能勢良子
題:「隠す」 (あかね 選)
  本心は握り拳に隠してる  大阪府 能勢良子
題:「隠す」 (松浦英夫 選)
  白杖を近所でそっと折りたたむ  兵庫県 南 美千代
題:「世界」 (進 選)
  ビール飲む世界のニュース苦く飲む  福岡県 伊豆明雄



■1月
題:「終る」 (航太郎 選)
  終章を私の色に染め上げる  大阪府 山本 進
題:「終る」 (島尾政男 選)
  エンディングノートに綴るエピローグ  大阪府 三宅景子
題:「靴」 (あかね 選)
  あの山に眠ったままの登山靴  大阪府 能勢良子
題:「波」 (進 選)
  さざ波はポニョの寝言も聞こえそう  和歌山県 北口 豊




[今月の秀句](2015年)


■12月
題:「やがて」 (航太郎 選)
渋柿も手塩にかけて甘くなる  京都府 廣瀬節子
題:「編む」 (あかね 選)
指文字を覚え人生編み直す  和歌山県 北口 豊
題:「編む」 (会員による互選)
自分史に嘘も本音も編んでいる  大阪府 島尾政男
題:「あいまい」 (進 選)
あいまいな杭一本に揺れている  大阪府 能勢良子
題:「あいまい」 (濱田すゑ子 選)
あいまいに出来ない事で角が立つ  大阪府 四辻美代子



■11月
題:「わくわく」 (航太郎 選)
  わくわくとワインも冷やしチャイム待つ  大阪府 渡部ふみか
題:「広い」 (あかね 選)
  山頂で広がる秋を独り占め  兵庫県 山田 明
題:「広い」 (小野里 進 選)
  広げたら世界が見える新聞紙  兵庫県 濱田すゑ子
題:「声」 (進 選)
  母さんと呼ばれる声が心地よい  大阪府 吉田禮子



■10月
題:「下り」 (航太郎 選)
  下り坂前後左右に友がいる  兵庫県 濱田すゑ子
題:「下り」 (濱田すゑ子 選)
  ふるさとへ稲穂色づく下り線  兵庫県 山口昌彦
題:「気分」 (あかね 選)
  秋風が君へ手紙を書かせます  兵庫県 濱田すゑ子
題:「繁盛」 (進 選)
  繁盛記語る屋敷に母一人  大阪府 堀切艶子



■9月
題:「刻む」 (航太郎 選)
  九条に刻んだ誓い揺れている  大阪府 山本 進
題:「パートナー」 (あかね 選)
  引っかけ橋で釣り上げましたパートナー  大阪府 山本 進
題:「表面」 (進 選)
  苦楽知る箪笥の色も味深く  兵庫県 山口みゆき
題:「表面」 (能勢良子 選)
  裏面に個性盛り込むカモメール  兵庫県 平井啓一



■8月
題:「すごい」 (航太郎 選)
  肩書きのすごさほどではない話  大阪府 松浦英夫
題:「動物」 (あかね 選)
  檻の中ゴリラヒト科の品定め  大阪府 松浦英夫
題:「動物」 (島尾政男 選)
  ジジババの暮らしを変えた迷い犬  兵庫県 山田 明
題:「遊ぶ」 (進 選)
  病院で遊び仲間とよく出会う  大阪府 橋本富雄



■7月 (第50回記念句会)
題:「傘」 (吉道航太郎 選)
  飲み会はビニール傘と決めている  沖縄県 田中愛子
題:「傘」 (濱田すゑ子 選)
  落下傘ふんわり探す夢の旅  大阪府 吉田禮子
題:「寺」 (山本 進 選)
  あれ以来猫山寺へ近寄らぬ  大阪府 川端六点
題:「寺」 (吉道あかね 選)
  あじさいが寺の石段軽くする  兵庫県 山田 明
題:「点」 (川端六点 選)
  母の手が社会と繋ぐ指点字  兵庫県 伊藤節代
題:「点」 (能勢良子 選)
  母の手が社会と繋ぐ指点字  兵庫県 伊藤節代



■6月
題:「完璧」 (航太郎 選)
  完璧な家族が築く砂の家  奈良県 西口尚美
題:「完璧」 (松浦常子 選)
  一ミリの誤差も許さぬプロの技  大阪府 堀切艶子
題:「睦まじい」 (あかね 選)
  関白が妻乗せて押す車椅子  大阪府 松浦英夫
題:「愚か」 (進 選)
  徳利が今日も黙って愚痴を聞く  兵庫県 山口昌彦



■5月
題:「避ける」 (航太郎 選)
  アンテナのおばちゃんいてる避けて行く  大阪府 玉水末子
題:「真っ直ぐ」 (あかね 選)
  言霊が真っ直ぐ響くみすずの詩  大阪府 山本 進
題:「踊る・躍る」 (進 選)
  デイケアで踊る手足が嬉しがる  広島県 佐藤行伸
題:「踊る・躍る」 (堀切艶子 選)
  初恋はフォークダンスで触れた指  大阪府 桂 ふみこ



■4月
題:「橋」 (航太郎 選)
  鉄橋も故郷の音で出迎える  大阪府  山本 進
題:「流れる」 (あかね 選)
  杭一本流れを変えてくれました  大阪府 能勢良子
題:「流れる」 (島尾政男 選)
  流されずオンリーワンの花咲かす  福岡県 松延太郎
題:「看板」 (進 選)
  白杖に二枚看板サングラス  大阪府 横山益世



■3月
題:「捨てる」 (航太郎 選)
  プライドを捨てれば風がやわらかい  大阪府 能勢良子
題:「捨てる」 (能勢良子 選)
  ネクタイを捨てて未練に幕を引く  大阪府 松浦英夫
題:「はっきり」 (あかね 選)
  延命の処置は要らぬと意思表示  大阪府 島尾政男
題:「答」 (進 選)
  頑張りの答えサクラを待つばかり  大阪府 吉岡ゆき子



■2月
題:「むずかしい」 (航太郎 選)
  難題か妻が笑顔でやって来た  兵庫県 山口昌彦
題:「むずかしい」 (会員による互選)
  晩酌を一杯減らす難しさ  兵庫県 高瀬静嗣
題:「モデル」 (あかね 選)
  白髪染めのモデルになってくれますか  大阪府 渡部ふみか
題:「へんてこ」 (進 選)
  きみまろにこきおろされて喜んで  大阪府 吉岡ゆき子
題:「へんてこ」 (濱田すゑ子 選)
  福袋中味知らずに大人気  大阪府 横山益世



■1月
題:「降る」 (航太郎 選)
  降る雨が雪に変わってほしいイヴ  大阪府 堀切艶子
題:「痒い」 (あかね 選)
  さすがだね孫の手よりも夫の手  奈良県 西口尚美
題:「痒い」 (島尾政男 選)
  山いものかゆみに耐えてすり下ろす  鹿児島県 小野里 進
題:「掃除」 (進 選)
  終活のまず手始めに掃除する  大阪府 中野町子




[今月の秀句](2014年)


■12月
題:「甘い」 (航太郎 選)
  ほどほどの甘さ残したいい夫婦  大阪府 能勢良子
題:「甘い」 (福園多恵子 選)
  生真面目な私にもある甘い過去  大阪府 椿野紀子
題:「壁」 (あかね 選)
 リビングの壁は家族の写真館  兵庫県 曽余田かずよ
題:「知恵」 (進 選)
  棟梁の知恵を学んだ鉋屑  大阪府 島尾政男



■11月
題:「目」 (島尾政男 選)
  大見得の団十郎の大目玉  福岡県 宮崎俊幸
題:「ニュース」 (能勢良子 選)
  特ダネだ息子彼女を連れて来た  大阪府 福園多恵子
題:「できる」 (進 選)
  できないわきれいな月が見てるから  大阪府 吉川義男
題:「できる」 (濱田すゑ子 選)
  何方にも気軽に出来るこんにちは  大阪府 渡部ふみか



■10月
題:「魔物」 (航太郎 選)
  愛憎の渦から生まれ出る魔物  兵庫県 濱田すゑ子
題:「目盛」 (あかね 選)
  店先で会話が弾む量り売り  兵庫県 曽余田かずよ
題:「目盛」 (堀切艶子 選)
  ブータンの尺度で幸福を測る  大阪府 山本 進
題:小説」 進 選)
  豆の木を植えてあなたに会いに行く  大阪府 能勢良子



■9月
題:「増える」 (航太郎 選)
  検査して心配の種一つ増え  鹿児島県 小野里 進
題:「増える」 (能勢良子 選)
  妻逝って増えた余白が埋まらない  大阪府 山本 進
題:「親しむ」 (あかね 選)
  親しみの笑顔下さる美智子さま  兵庫県 濱田すゑ子
題:「親しむ」 (会員による互選)
  病気にも親しむことを知る余生  愛媛県 松浦常子
題:「対抗する」 (進 選)
  負け戦分かっていても受けて立つ  大阪府 松浦英夫



■8月
題:「抜く」 (航太郎 選)
  トゲ抜きを使ってほしい人がいる  大阪府 堀切艶子
題:「迷う」 (あかね 選)
  迷い猫いつの間にやら我が家族  京都府 廣瀬節子
題:「着る」 (進 選)
  夏の浜ビキニだけでもよく似合う  三重県 小川明美
題:「着る」 (平井美幸 選)
  着飾った稚児の一太刀進む鉾  滋賀県 大谷忠正



■7月
題:「肩」 (航太郎 選)
  肩書をさらりと捨てて風の中  大阪府 能勢良子
題:「指」 (あかね 選)
  指鉄砲で天狗の鼻を狙撃する  大阪府 山本 進
題:「指」 (能勢良子 選)
  指鉄砲で天狗の鼻を狙撃する  大阪府 山本 進
題:「火」 (進 選)
  残り火にそっと吹き込む愛してる  兵庫県 平井啓一



■6月
題:「学校」 (航太郎 選)
  校舎背に拗ねた横顔セピア色  兵庫県 平井美幸
題:「学校」 (小野里 進 選)
  学校のチャイム頼りに野良仕事  大阪府 玉水末子
題:「すらすら」 (あかね 選)
  百歳で言える花の名野菜の名  大阪府 渡部ふみか
題:「点字」 (進 選)
  点字読む一文字呼んでうなずいて  福岡県 南里英治



■5月
題:「仲間」 (航太郎 選)
  一杯の水分け合った山仲間  大阪府 能勢良子
題:「若い」 (あかね 選)
  これからも若さの秘訣笑う事  大阪府 青田和代
題:「進む」 (進 選)
  食進み今日も幸せ感じます  兵庫県 山口昌彦
題:「進む」 (島尾政男 選)
  ハイハイで一歩進んで大拍手  兵庫県 伊藤節代



■4月
題:「こわい」 (航太郎 選)
  大人へと一段ごとに怖さ知る  兵庫県 平井啓一
題:「こわい」 (会員による互選)
  怖かった父をなだめて介護する  鹿児島県 小野里 進
題:「帽子」 (あかね 選)
  戴帽式ナイチンゲール目指します  大阪府 橋本富雄
題:「帽子」 (伊藤節代 選)
  帽子取る僕の額に春の風  兵庫県 山田 明
題:「帰る」 (進 選)
  里帰り行きは鼻歌口ずさむ  大阪府 中野町子



■3月
題:「幸せ」 (航太郎 選)
  窓ガラス拭く幸せの顔写る  大阪府 玉水末子
題:「幸せ」 (伊豆明雄 選)
  幸せを握って眠るもみじの手  大阪府 島尾政男
題:「鋭い」 (あかね 選)
  笑いつつ本音交えて杭を打つ  兵庫県 山口みゆき
題:「趣味」 (進 選)
  年に連れ趣味もなくなり墓参り  大阪府 福園多恵子



■2月
題:「簡単」 (航太郎 選) ※詠み込み不可
  年重ね磨きがかかる手抜き術  兵庫県 伊藤節代
題:「再生」 (あかね 選)
  留袖をドレスに仕立て披露宴  兵庫県 濱田すゑ子
題:「抱く」 (橋本富雄 選)
  赤ん坊抱いて日に日に母になる  大阪府 三宅景子
題:「抱く」 (進 選)
  赤ん坊抱いて日に日に母になる  大阪府 三宅景子



■1月
題:「越える」 (航太郎 選)
  それぞれの領空越えて鶴は来る  福岡県 伊豆明雄
題:「読書」 (あかね 選)
  古希過ぎた今なおアンに癒される  大阪府 吉岡ゆき子
題:「読書」 (渡部ふみか 選)
  魔法ですポッケの中の読書器は  愛媛県 西村眞理子
題:「ドラマ」 (進 選)
  ドラマだと分かっていても腹が立つ  三重県 小川明美




[今月の秀句](2013年)


■12月
題:「テーマ」 (航太郎 選)
  微笑みをテーマに今日を生きている  大阪府 能勢良子
題:「テーマ」 (島尾政男 選)
  愛するって何やろ胸が苦しくて  大阪府 山本 進
題:「店」 (あかね 選)
  いつの日か店を持つぞと皿洗う  大阪府 橋本富雄
題:「歩く」 (進 選)
  歩かずに走り切るぞと紐結ぶ  福岡県 松延太郎



■11月
題:「たっぷり」 (航太郎 選)
秋晴れへ洗濯物のパレードだ  兵庫県 濱田すゑ子
題:「たっぷり」 (会員による互選)
教育費たっぷりかけてフリーター  兵庫県 平井美幸
題:手紙「」 (あかね 選)
妻に書く遺書の最後はありがとう  大阪府 斎藤隆男
題:「短い」 (伊豆明雄 選)
終章へ加速度を増す砂時計  大阪府 山本 進
題:「短い」 (進 選)
こんにちは短くつなぐこんにちは  大阪府 渡部ふみか



■10月
題:「石」 (航太郎 選)
  しがらみの中に小石を投げてみる  大阪府 島尾政男
題:「古い」 (あかね 選)
  人生をすべて刻んだ古時計  愛知県 鈴木義視
題:「古い」 (嶋村幸子 選)
  古暖簾親父の汗と味にじむ  福岡県 南里英治
題:「煽る」 (進 選)
  だんじりが熱い男の血を煽る  兵庫県 濱田すゑ子



■9月
題:「食べる」 (航太郎 選)
  あの人の食べる仕草に心揺れ  東京都 中丸 仁
題:「食べる」 (平井美幸 選)
  カキ氷食べる孫の手ミツの色  福岡県 南里英治
題:「コピー」 (あかね 選)
  思い出をコピーし直すフルムーン  大阪府 斎藤隆男
題:「薬」 (進 選)
  指輪抜きちょっとお出かけ薬指  福岡県 伊豆明雄



■8月
題:「遥(はるか)」 (航太郎 選)
カルピスの味も遠くになりました  大阪府 能勢良子
題:「渦」 (あかね 選)
阿波踊り熱気の渦に酔いしれる  大阪府 嶋村幸子
題:「渦」 (濱田すゑ子 選)
野次馬がいつの間にやらド真ん中  兵庫県 高瀬静嗣
題:「挟む」 (進 選)
物臭が便利に使う足の指  大阪府 吉岡ゆき子



■7月
題:「深い」 (航太郎 選)
カレー皿深さ気に入り半世紀  兵庫県 平井美幸
題:「置く」 (あかね 選)
大切に置いて仕舞って忘れてる  兵庫県 伊藤節代
題:「ヒント」 (島尾政男 選)
ヒントから紡ぐ楽しい物語  大阪府 山本 進
題:「ヒント」 (進 選)
ヒントより答聞きたい崖っぷち  兵庫県 山田 明



■6月
題:「テープ」 (航太郎 選)
  ガムテープはがせば郷の香り立つ  兵庫県 濱田すゑ子
題:「テープ」 (巽 邦子 選)
  手に足にテープ糊付け奴凧  大阪府 山中 敦
題:「袋」 (あかね 選)
  出す人の心が見えるゴミ袋  兵庫県 山田 明
題:「袋」 (互選)
  出す人の心が見えるゴミ袋  兵庫県 山田 明
題:「もしも」 (進 選)
  野の花になれたら君に摘まれたい  兵庫県 濱田すゑ子



■5月
題:「映画」 (航太郎 選)
  感涙にポップコーンも濡れている  大阪府 島尾政男
題:「ふくらむ」 (あかね 選)
  大空へ夢がふくらむ鯉のぼり  大阪府 山本正美
題:「ふくらむ」 (廣瀬節子 選)
  円高でなおも膨らむふかしパン  宮崎県 高田澄代
題:「勝手」 (進 選)
  風の中気の向くままに生きている  大阪府 能勢良子



■4月
題:「二」 (航太郎 選)
  遅咲きの主人の良さに二度惚れる  大阪府 中野町子
題:「バリバリ」 (あかね 選)
  バリバリと殻を破ってハイジャンプ  大阪府 能勢良子
題:「付き合う」 (進 選)
  妻よりも付き合い長い肩のこり  兵庫県 山田 明
題:「付き合う」 (平井啓一 選)
  難病とうまく付き合い古希の春  大阪府 巽 邦子



■3月
題:「雑」 (航太郎 選)
  雑踏の中でも分かる君の声  大阪府 日本松啓二
題:「雑」 (中丸 仁 選)
  混雑で美人に踏まれ苦笑い  京都府 廣瀬節子
題:「丸い」 (あかね 選)
  丸まった背筋が伸びる梅開花    大阪府 巽 邦子
題:「便利」(進 選)
  家中の便利な機器がしゃべり出す  愛媛県 西村眞理子



■2月
題:「どたばた」 (航太郎 選)
  ナンセンスドタバタ劇にほっとする  兵庫県 平井啓一
題:「手術」 (あかね 選)
  ランプ消え医師の笑顔に胸撫でる  福岡県 南里英治
題:「手術」 (南里英治 選)
  怖がりが手術怖さに用心し  福岡県 松延太郎
題:「うれしい」(詠み込み不可) (進 選)
  高齢のなにはともあれ初暦  大阪府 嶋村幸子



■1月
題:「戦い」 (航太郎 選)
  戦いに敗れてホッとする不思議  東京都 中丸 仁
題:「選ぶ」 (あかね 選)
  お互いに選び選ばれ五十年  大阪府 吉岡ゆき子
題:「選ぶ」 (会員による互選)
  人相で選ばれました鬼の役  大阪府 島尾政男
題:「近いうち」 (進 選)
  近いうち待ってキリンの首のよう  東京都 中丸 仁
題:「近いうち」 (山田 明 選)
  近いうち付くはずの棚二年待ち  沖縄県 田中 愛子




[今月の秀句](2012年)


■12月
題:「道」 (航太郎 選)
  でこぼこの道も腕組む妻がいる  大阪府 堀切艶子
題:「道」 (三宅景子 選)
  歳取れど心ときめく散歩道  滋賀県 大谷忠正
題:「葉 (あかね 選)
  カラカラと落ち葉走って冬仕度  大阪府 能勢良子
題:「酒」 (進 選)
  祝酒またも出ました父の歌  福岡県 南里英治



■11月
題:「光」 (航太郎 選)
  網膜に届いた光iPS  大阪府 山本利江
題:「ドア」 (あかね 選)
  暗室のドア開く鍵iPS  大阪府 三宅景子
題:「ドア」 (山本正美 選)
  秋風が戸口を揺する侘び住まい  大阪府 山本 進
題:「とても」 (進 選)
  定年後とても寂しい発泡酒  兵庫県 山田 明



■10月
題:「流れる」 (航太郎 選)
  汗水をたらした新米が美味い  大阪府 山本 進
題:「昔」 (あかね 選)
  ナイスバディむかしむかしの物語  大阪府 三宅景子
題:「耳」 (進 選)
  ヒソヒソへ体全部が耳になる  兵庫県 濱田すゑ子
題:「耳」 (伊豆明雄 選)
  母の膝順番を待つ耳掃除  大阪府 椿野紀子



■9月
題:「山」 (航太郎 選)
  裏山で父の死悼む蝉の声  大阪府 山本 進
題:「山」 (齋藤隆男 選)
  マグマ抱くきれいな顔の富士の山  大阪府 山本正美
題:「海」 (あかね 選)
  母の海十月十日を慈しむ  大阪府 山本 進
題:「夏休み」 (進 選)
  好きになれなかった夏休みの友  沖縄県 田中愛子



■8月
題:「滲む(にじむ)」 (航太郎 選)
  人柄が滲み出ている手書き文字  大阪府 島尾政男
題:「スプリング」 (あかね 選)
  七日間命弾ませ蝉は鳴く  福岡県 伊豆明雄
題:「スプリング」 (義視 選)
  熱帯夜春眠の日を恋しがり  福岡県 宮崎俊幸
題:「半分」 (進 選)
  見つめ合うストロー二本ソーダ水  大阪府 三宅景子



■7月
題:「時間」 (航太郎 選)
  マイナスをプラスに変えて時早し  大阪府 小倉 英
題:「干す」 (あかね 選)
  物干しで風に舞ってる三世代  福岡県 伊豆明雄
題:「狙う」 (良子 選)
  梅雨明けを待って真夏の牙をむく  愛知県 鈴木義視
題:「狙う」 (進 選)
  胃カメラの狙いが恐く酒止める  大阪府 齋藤隆男



■6月
題:続く(航太郎 選)
  続きまた明日と絵本閉じる母  大阪府 椿野紀子
題:続く(忠正 選)
  人生のまだまだ続く泣き笑い  大阪府 山本正美
題:「旅行」 (あかね 選)
  旅に出て僕は詩人になりました  大阪府 山本 進
題:「ぶらぶら」 (進 選)
  骨抜きにされても足は妻に向く  愛知県 鈴木義視



■5月
題:「プロ(プロフェッショナルの略) (航太郎 選)
  それなりの美女に仕上げる美容室  大阪府 山本 進
題:「球」 (あかね 選)
  眼球の奥で闘志が燃え盛る  大阪府 山本 進
題:「球」 (政男 選)
  白球にかけた青春ど真ん中  大阪府 能勢良子
題:「開く」 (進 選)
  花開くように心も開きたい  大阪府 椿野紀子



■4月
題:「訪れる」 (航太郎 選)
  風の中春の訪れ頬で知る  大阪府 三宅景子
題:「賑やか」 (あかね 選)
  カーニバル踊りの中の人となる  大阪府 島尾政男
題:明るい」 (進 選)
  その笑顔明るさ増して春になる  鹿児島県 新村由紀子
題:明るい」 (伊豆明雄 選)
  明るさが春を呼び込む障子窓  滋賀県 大谷忠正



■3月
題:「底」 (航太郎 選)
  底力出して迎える老いの坂  大阪府 能勢良子
題:「底」 (良子 選)
  地獄から救い求める蜘蛛の糸  大阪府 山本 進
題:「寒い」 (あかね 選)
  寒がりの母の墓石の雪払う  大阪府 山本 進
題:「もうすぐ」 (進 選)
  スギ花粉もうスグ僕は引き篭もり  大阪府 島尾政男



■2月
題:「めでたい」(詠み込み不可) (航太郎 選)
  賑やかに八十路の春を祝う酒  香川県 溝渕哲哉
題:「新しい」(詠み込み不可) (あかね選)
  携帯を替えて始める次の恋  福岡県 伊豆明雄
題:「新しい」(詠み込み不可) (島尾政男 選)
  旅立ちを笑顔で送る母がいる  大阪府 椿野紀子
題:「お と そ」(折り句) (進 選)
  オーボエがとてもきれいな早春譜  大阪府 吉岡幸子



■1月
題:「忘れる」 (航太郎 選)
  韓流にはまり掃除機立てたまま  愛知県 鈴木義視
題:「クリスマス」 (あかね 選)
  仏壇にケーキ供えるクリスマス  大阪府 堀切艶子
題:「せわしい」 (進 選)
  割烹着がせわしく動く大晦日  大阪府 能勢良子
題:「せわしい」 (政男 選)
  せわしくも三度の食事抜かぬ妻  大阪府 齋藤隆男




[今月の秀句](2011年)



■12月
題:「収穫」 (航太郎 選)
  道の駅農家の顔が並んでる  大阪府 島尾政男
題:「収穫」 (邦子 選)
  山の幸笑顔と一緒しょい籠に  大阪府 吉岡幸子
題:「高い」 (あかね 選)
  天高く洗濯物の白い波  大阪府 玉水末子
題:「エネルギー」 (進 選)
  おふくろの愛底知れぬエネルギー  愛知県 鈴木義視



■11月
題:「もったいない」 (航太郎 選)
  もったいないと食べては高い薬飲む  大阪府 山本正美
題:「女」 (あかね 選)
  バーゲンに並ぶ女のたくましさ  大阪府 島尾政男
題:「女」 (良子 選)
  女から母へと軸足が動く  大阪府 山本 進
題:「きっと」 (進 選)
  ルルルルルきっとあなたのラブコール  兵庫県 伊藤せつよ




■10月
題:「月」 (航太郎 選)
  秋の夜満月連れて帰宅する  大阪府 島尾政男
題:「風」 (あかね 選)
  甘樫の丘で飛鳥の風になる  大阪府 山本 進
題:「虫」 (進 選)
  畦道で夏を見送るオニヤンマ  大阪府 椿野紀子
題:「虫」 (政男 選)
  揺れる穂に棚田を染める赤とんぼ  大阪府 巽 邦子




■9月
題:「記念日」 (航太郎 選)
  小雪舞う深夜に母となりました  大阪府 能勢良子
題:「記念日」 (俊幸 選)
  小雪舞う深夜に母となりました  大阪府 能勢良子
題:「蝉」 (あかね 選)
  八日目の蝉になったよあの人も  大阪府 山本正美
題:「晴れる」 (進 選)
  旅立ちを祝ってくれた日本晴れ  大阪府 島尾政男



■8月
題:「泣く」 (航太郎 選)
  悔し泣きリベンジ誓うアスリート  大阪府 島尾政男
題:「楽しい」 (あかね 選)
  ファッションを冨士で楽しむ山ガール  大阪府 島尾政男
題:「楽しい」 (東彦 選)
  ファッションを冨士で楽しむ山ガール  大阪府 島尾政男
題:「赤」 (進 選)
  夏祭り赤い鼻緒の下駄はずむ  大阪府 吉岡幸子


■7月
題:「雨」 (あかね 選)
  止まないで相合傘は遠回り  福岡県 伊豆明雄
題:「暑い」 (航太郎 選)
  愛犬がだれよりも知る風の道  福岡県 宮崎俊幸
題:「笑う」 (政男 選)
  薄紙を抜けた金魚の苦笑い  愛知県 鈴木義視
題:「笑う」 (進 選)
  年頃でないのに妻はよく笑う  大阪府 齋藤隆男


■6月
題:「作る」 (あかね 選)
  卒寿越え青い詩を詠む柴田トヨ  大阪府 西本東彦
題:「メール」 (進 選)
  風に乗って天まで届けこのメール  大阪府 能勢良子
題:「旗」 (航太郎 選)
  九条を守る日の丸血で染めぬ  大阪府 山本 進




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