[4月の課題]
〜山本進の「12句鑑賞〜
川柳塔さかい 2025年10月号より
十二句鑑賞 山本 進
ガザの地を思い捨てれぬパンの耳
飢餓に苦しむガザのことを思えばパンの耳さえ「捨てられぬ」。「
捨てれぬ」は「ラ抜き言葉で、文法の誤り。我々は心すべきである。
空耳か地球泣いてるこの暑さ
「猛暑」が続いた夏。気象庁は四十度以上に「酷暑」を用意してい
るそうだ。地球の泣き声が聞こえるようだ。人間も泣いているのだ。
炎天下ひまわりさえも目眩する
向日葵は太陽の動きにつれて回る、太陽が大好きな花だ。向日葵さ
えも炎天下では目眩いするという。人間が熱中症になるのも当然だ。
炎天下冷えたビールが目に浮かぶ
四十度になんなんとする酷暑。炎天下では人間も溶けてしまいそう
だ。汗が噴出する。幻影のように冷えたビールが目の前に浮かぶ。
自分にはとことん甘く生きている
人間には他人に厳しく、自分には甘くなる性癖がある。それも「と
ことん」自分に甘く生きている、という。一つの生き方だろう。
ルンルルン今朝は甘めの卵焼き
今日はデートの予定があるのだろうか。気分が弾んでいる。玉子焼
きもいつもより甘めに焼くという。上五の「ルンルルン」が効果的。
ブレーキも少し甘めが心地良い
プレーキの利きがよすぎるとぎくしゃくする。少し甘い方が滑らか
に心地よく止まる。甘すぎると咄嗟の時に危険が生じるかもしれない。
暴れてる心に童謡を聞かす
いらいらしたり、動揺した自分の心を持て余す。幼い頃に母親の背
中で聞いた童謡を聞けば、心も穏やかになるというものである。
耳鳴りも生きるリズムの応援歌
四六時中耳の奥で蝉が鳴いている。不快感極まりない。そんな耳鳴
りのリズムを人生の応援歌とは。私には真似のできない生き方だ。
耳鳴りが聞こえる夜の孤独感
耳鳴りは昼間は気にならないが、家族が寝静まった夜に、闇を支配
するかのように大きくなる。闇の中で孤独感に捕われる。実感句。
人の話よく聞くように耳二つ
人間に耳が二つあるのは、人の話をよく聞くためだったのか。諭さ
れているような句である。よく聞き流す私には大変耳の痛い話だ。
名も告げずポンと多額の義援金
匿名で多額の寄付。世の中にはスマートナ人がおられるなあ。私な
ら惜しくて惜しくて。寄付をしたら名前もちゃんと告げてくる。
(使用許諾を受けています。)
それでは、例によって上記の中から出題します。
■2026年4月(No.177)
題:「とことん」 (進 選)
題:「暴れる」 (常子 あせび 共選)
題:「ぎくしゃく」 (昌彦 選)
題:「酷い(むごい)」 (かずよ 選)
題:「四六時中」 (航太郎 選)
(各題2句出し)
◎今月の締切:4月24日(金) 正午必着
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