◇学術研究助成受賞者は今(第6回)

第6回 町田 繁樹(第5回、第14回受賞)
獨協医科大学越谷病院 眼科 町田 繁樹

2001年と2010年にJRPS研究助成を受賞いたしました。2016年で20回目を迎える歴史の中で、2回もお世話になったのは私だけだと思います。少し厚かましかったもしれません。
初回の研究費をいただいた時は、私はアメリカ留学から帰国したばかりで、日本での研究室の立ち上げのために研究費がどうしても必要でした。アメリカ留学中のボスだったSieving先生に研究費獲得の重要性を教えられ、留学中から応募することを勧められました。受賞した時にはSieving先生も喜んでくれたことを覚えています。テーマは「網膜色素変性症の動物モデルにおける網膜機能と形態の関係」でした。網膜色素変性のいろいろな動物モデルから網膜電図(ERG)を記録し、網膜組織所見との関連を研究しました。いただいた研究費で光学顕微鏡を購入し、網膜組織切片を一生懸命に観察しました。
2010年のテーマは「視細胞変性に伴った網膜中・内層の機能変化」でした。動物モデルで研究していて、視細胞が変性しても網膜中層あるいは内層の電気応答が保たれることに気づきました。三重大学眼科教授の近藤 峰生先生が開発 したウサギのモデルを使って、さらに詳しい所見を得ることができました。変性初期には網膜中層の感度が増加することが分かったのです。その後、網膜組織の研究が進歩し、視細胞が変性すると、シナプスのタンパクが変化することが報告され、我々のERG所見を裏付けてくれています。視細胞変性が起こると、網膜はいろいろと頑張って機能を保とうとするのです。
私の研究は、残念ながら網膜色素変性の治療に直接結びつくものではありません。しかし、網膜の変性過程で生じる網膜の変化を解明する上で重要な資料になると自負しております。
平成26年4月に岩手医科大学眼科から獨協医科大学越谷病院眼科に異動となり、新天地で仕事をしています。岩手医科大学とは異なり、網膜変性疾患を診断するための設備が十分ではありませんでした。しかし、着任1年目でERGなどの機器を整えることができ、診断能力は格段に向上しました。また、当院の眼科には、ロービジョンを専門とした視能訓練士が常勤しており、高いレベルで仕事をしてくれています。我々の診断力とロービジョンケアを組み合わせることで、良質の医療を患者さんに提供し、地域の医療に貢献したいと考えています。

(次回は、独立行政法人国立病院機構東京医療センター
臨床研究センター視覚研究部 ・角田 和繁先生です)

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