小沢 洋子先生(慶応義塾大学)

受賞テーマ:「iPS研究から発展した網膜色素変性に対する神経保護治療の開発」

今回は研究助成をいただきどうもありがとうございました。大変光栄に思っております。これを生かして、これまで治療法のあまりなかった分野に新しい可能性を開ければ幸いです。
ノーベル賞を受賞された山中伸弥博士が開発した人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、移植治療だけでなく、病気の研究にも使えます。私たちの研究室ではこれまでに、網膜色素変性患者様の皮膚細胞をいただき、山中因子を導入してiPS細胞を樹立しました。そして培養皿の中で作製した網膜色素変性の視細胞を用いて病気のメカニズムを解明する「疾患iPS研究」を行いました。そして、網膜視細胞が長生きするための候補薬剤を発表しました(Yoshida, Ozawa, Okano et al. 2014)。ただし、この時得られた結果は、培養細
胞での結果でした。実際に生体に投与しても効果があるか、安全であるかは未だ明らかではありません。
そこで、今回の研究では、これを発展させて網膜色素変性モデルマウスに投与し、効果や安全性を見ています。モデルマウスはすでにアメリカから取り寄せ、これに候補の薬剤を連日投与し、網膜電図(ERG)を取ったり、網膜のタンパク質や遺伝子の動きを解析したりしています。そして、網膜の変性が、薬によって抑制されるかどうかを研究しています。
私たちは、網膜を保護し続けるために長年使える薬剤を開発することが使命と考えています。また、網膜色素変性の原因はさまざまですが、iPS研究を応用すれば、それぞれの網膜色素変性の解明も進むことでしょう。今回私たちが行っている、まず先にiPS研究で明らかにしたことを、モデル動物に応用するという研究手法は、今後の網膜色素変性の研究を大きく発展させる第一歩にもなると思い研究を進めています。

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