第18回研究推進委員会(Wings)通信(20190129)

これまでインタビューした諸先生に、ご研究の進捗状況等をフォローアップ記事として随時ご寄稿いただいています。今回は高橋政代先生に2016年3月発行の『あぁるぴぃ121号』に掲載されたインタビュー記事をフォローアップしていただきました。

■Wings研究者インタビューフォローアップ寄稿(2)
「加齢黄斑変性の再生医療臨床研究からRPの再生医療臨床研究へ」
高橋 政代
(理化学研究所多細胞システム形成研究センター
網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー)

2015年11月に受けたインタビュー記事では、加齢黄斑変性に対する他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞(iPS-RPE)移植の臨床研究を予定していること、網膜色素変性に対する視細胞シート移植は3、4年後にすると書いてあります。どちらも予定通り進んでいることをうれしく思いました。
他家iPS-RPE移植は5例に行われ、1年の経過後の結果を論文にまとめているところです。その前の自家移植とともに、iPS細胞から作った我々の網膜色素上皮細胞が安全であることは確認されました。現在、細胞を効率よく病変部に生着させて効果を得るために、手術法の改良などより良い治療への研究が進んでいます。
視細胞シート移植についてはこれまでに様々な動物モデルを作成し、視細胞移植後の視機能回復を詳細に検討しました。今ではどこよりも詳しく徹底的に研究しデータを積み重ねてきているので、視細胞シート移植が効果を出すことは確信しております。これらの結果を受けて視細胞移植は来年度に臨床研究の申請をする予定であります。
ただし、移植するのは1mmあまりの小さな細胞シートなので、その効果も限定的であること、視野がわずかに回復する治療というイメージで考えていただくと良いかと思います。

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