あぁるぴぃ146号 目次

【巻頭言】今こそ支えあうとき(佐々木 裕二)    3

JRPSだより    4
新型コロナウイルス感染症について    4

年会費納入のお願い    46

月の相談予約のご案内    5

JRPSオンラインセミナー(第1回)開催延期のお知らせ    5

「世界網膜の日 in 滋賀」に関するお知らせ    5

新事務局長ご挨拶    6

第7回(2020年)定時代議員会 議案書    7
第1号議案 2019年度 事業報告(案)    7
第2号議案 2019年度 決算報告(案)    14
監査報告    18
第3号議案 理事・監事の選任    18
2020年度 事業計画    20
2020年度 収支予算書    25

都道府県JRPS 予定    27
岩手県……27 / 群馬県……27 / 栃木県……27 / 千葉県……27 /
東京都……28 / 神奈川県…28 / 福井県……28 / 岐阜県……28 /
愛知県……29 / 三重県……29 / 滋賀県……29 / 京都府……29 /
奈良県……30 / 大阪府……30 / 和歌山県…30 / 兵庫県……30 /
岡山県 ……31 / 広島県……31 / 香川県……31 / 徳島県……31 /
愛媛県……32 / 福岡県……32 / 長崎県……32 / 熊本県……32 /
宮崎県……32 / 鹿児島県…33 / 沖縄県……33

専門部会の活動予定    33
JRPSユース…33

2019年度 寄付者一覧    34

編集局より    37
広告ページ    37
編集後記    40

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研究推進委員会(Wings)通信(第22回)

■ゲノムとは何だろ

個人のゲノム情報に基づく疾患の治療、予防が可能となるゲノム医療への期待が高まっています。遠くない将来、遺伝子治療や遺伝子変異にあった薬物治療など、ゲノム医療の実現が期待されます。一方ゲノムやゲノム医療に関するわれわれ患者の理解はまだ十分とはいえません。そこでJRPSでは「遺伝情報と網膜ゲノム医療」に関する連続オンラインセミナーを開催することになりました。7月11日の第1回のテーマは「ゲノムとは何だろう」です。ご講演いただくお二人の先生に要旨を書いていただき増した。

■講演1「ゲノム ー 科学から人間全体を考えるには」
中村桂子(JT生命誌研究館館長)

あなたの始まりは受精卵、一個の細胞です。そこには46本の染色体があり、染色体を構成する中心はDNAです。46本の染色体のうち23本は母親の卵から23本は父親の精子から来ます。受精卵の分裂で生れるあなたの体細胞はすべて、この46本の染色体を持っています。その中にあるDNA、このすべてをゲノムと呼びます。ゲノムにはあなたの性質の基本をきめる遺伝子があります。
両親から半分づつ受け継ぎ、一生の間自分を構成する細胞の中ではたらき続けるゲノムについて知ることが重要なのは言うまでもありません。具体的には、そこにある遺伝子のはたらきを調べて病因を探ったり治療法を考えたりします。その時に、一つ一つの遺伝子のはたらきだけを見るのではなく、ゲノムが全体としてはたらいているのだということを考えることが重要なのです。
生きものは全体として生きているのですから。でも実際に遺伝子研究をしていると、つい生きものを機械のように見て部品直しを考えてしまいます。ここでゲノムという全体を考えることで、生きものを生きものとして見られるようになるのです。ゲノムの魅力は、科学を徹底的に進めながら、人間全体を考えられるところにあると言えましょう。
ところで、ここでゲノムですべてができまると思ったり、ゲノムがわかればすべてがわかると思ったら、それは大間違いということも指摘しておかなければなりません。ゲノムがどのようにはたらくかは、食べものも含めてさまざまな環境との関わりで考える必要があります。あなたがどのように生きるか、どのように生きたいかが一番大事だということが、ゲノムを知ることで更に強く感じられるようになるはずです。

■講演2「個人ゲノムを読む意義」
西川伸一(NPO法人:オール・アバウト・サイエンス・ジャパン代表理事)

ゲノムと聞いて頭に浮かぶのは、おそらくDNAのような物質だとおもいますが、ゲノムを媒介するものは物質でも、ゲノムは非物質的な情報です。だからゲノム情報の内容は、RNAでもDNAでも、さらには紙の上にも、コンピュータ言語でも書き写すことができます。物質でないからこそ、体の生死に関わらず情報として残しておけます。ただ、そのためにはDNAに書かれた情報を読み取る必要がありました。これが新しいタイプの解読機のおかげで、今や皆さんの全ゲノム情報を3万円前後で解読することができます。世界中の人が自分のゲノム情報を解読して保存することができる時代が来たのです。

では自分の全ゲノムを読んで何か役に立つのでしょうか?正直なところ、ほとんどの人にとって、ゲノムを解読したからといって、心配のタネは増えても、それが役に立つということはほとんどないと思います。また、私たちのゲノムは生まれてから死ぬまで変わりません。結局解読したとしても、自分のゲノム自体に対しては何もすることはできません。
それでも私は、自分のゲノムを読む意義は大きいと思います。この講義では、個人ゲノムの現状をお話しして、役に立つとか立たないとかに関わらず自分のゲノムを読む意義についての考えをお話ししたいと思います。

 

注:7月11日にオンライン・ライブ配信で開催予定であったこの2つの講演は、コロナウイルスの感染による都道府県を超えた移動が困難な状況のため、11月7日に延期が決定しております。

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あぁるぴぃ145号 目次

JRPSだより    3
新型コロナウイルス感染症について    3

「遺伝情報と網膜ゲノム医療」に関する連続オンラインセミナーを開催    3

4月の相談予約のご案内    4
「ピアサポート」電話相談のご案内    5

「世界網膜の日in滋賀」開催要項    5
日時と会場    5
当日のプログラム    5
併設イベント    6
会場への交通アクセス    6
懇親会参加費および宿泊費、ツアー参加費    7
参加の申込み方法    7

研究推進委員会(Wings)通信(第22回)    8
ゲノムとは何だろう    8

あぁるぴぃ広場 ~会員からの投稿~    9
大先輩の優しい一言が私を変えた(沖縄県 譜久島 環)    9
いきいきと生きる(奈良県 太田 徳昭)    10
MY KARAOKE(マイ カラオケ)(福井県 有若 由加理)    10
生きてきた(神奈川県 ウッチャン)    11
日本にはこんなにお城があるんだぁ(福島県 白? 謙一)    11

若い世代はいま    12
ブラインドスキーを通して得られた気づき(O.J.)    12
働く世代のセミナーに参加した感想(神奈川県 前田 真介)    13

QOL向上推進委員会(QOLC)通信    14
第9回 金融機関における視覚障害等への代筆等の対応    14

都道府県JRPS活動予定    16
北海道……16 / 宮城県……16 / 山形県……16 / 福島県……16 / 群馬県……17
栃木県……17 / 埼玉県……17 / 千葉県……17 / 東京都……18 / 神奈川県…18
新潟県……18 / 長野県……19 / 福井県……19 / 岐阜県……19 / 愛知県……20
三重県……20 / 滋賀県……20 / 京都府……20 / 大阪府……21 / 和歌山県…21
兵庫県……21 / 岡山県……22 / 広島県……22 / 香川県……22 / 徳島県……23
愛媛県……23 / 高知県……23 / 福岡県……24 / 長崎県……24 / 大分県……24
熊本県……24 / 宮崎県……25 / 鹿児島県…25 / 沖縄県……25
専門部会の活動予定    26
JRPSユース…26

編集局より    27     広告ページ    27     編集後記    32

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RIWC2020(世界網膜協会国際会議)の2年延期が決定!!

JRPS会員の皆様へ
今年の6月上旬にアイスランドのレイキャビックで開催が予定されておりましたRIWC2020 in Reykyavik (Iceland) は、コロナウイルスの大流行でWHOからパンデミックが宣言され、軒並み国際会議が中止されている状況に鑑み、何よりも参加者の命を守ることが優先されるという観点から、2年間延期という決定がアイスランド大会実行委員会でなされました。
具体的には2022年6月8日から11日の間になります。場所は、同じレイキャビックの会場(HARPA Concert Hall と Conference Centre)です。同時期に順延された北欧眼科学会との共催ということも変わりません。
せっかく予定をされていた方にとっては、残念ですが、こういう状況下では、やむを得ない選択であると考えます。

2022年開催予定であったRIWC2022 in Dublin (Ireland)は、どうなるのか、2024年に順延されるのが順当だとは思いますが、その点に関する発表はまだされておりません。

世界では、コロナウイルスが収束するのには、世界中の国、地域、人々が本気になって努力をしても、18か月必要であるというのが常識になりつつあります。我慢比べですね。

RIからのお知らせの英語版と山中伸弥先生が、京都大学やiPS研究所とはあえて別の、個人としても立場から立ち上げられた、国や自治体が何かをしてくれるのを待つ前に、一人一人がコロナウイルスと戦うために私たちができることや最新情報を発信してくださっているサイトをご紹介しておきます。ご参考にしていただければ幸いです。

[RIWC2020 in Reykyavik(iceland) が2022年6月8日-11日に順延されました」というRIからのお知らせ(英語版)

RIWC2020 postponed to June 2022

山中伸弥のコロナウイルス情報発信
https://www.covid19-yamanaka.com/index.html

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世界網膜協会RIWC2020アイスランド大会開催の行方

会員の皆様

来る6月4日から6日に開催予定のRIWC2020 in Reykyabik (Iceland) (総会は7日)は、今般の新型コロナウイルス(COV19)のヨーロッパにおける大流行の兆しに鑑み、開催日程を見直す可能性が出てきました。

今までに準備してきて決まっているプログラムは、以下のURLの通りです。
URL  https://www.riwc2020.is/programme/

しかしながら、今後の状況を見て、実行委員会が決めようということで、現在は注意深く見守るという姿勢です。東京オリンピック2020に対するIOCの姿勢と似ていますね。

ちなみに、ドイツ網膜教会(PRO RETINA)が、4月3日ー4日にポツダムにて、開催予定であった” he 15th PRO RETINA Research Colloquium “「網膜疾患の遺伝子治療などの欧米の最先端研究者が集まる国際会議)を取りやめ、1年延期を決めました。

RIWC2020 in Reykyabk に関しては、6月までにおさまってくれそうかどうかが問題です。厚生労働省のコロナウイルス感染に関するサイトによりますと、アイスランドでも、3月10日の段階で65名の、3月14日の段階で134名、3月19日の段階で250名の感染者が報告されています。幸いな音に、死亡例は0名です。日本および世界がパンデミックにおちいるかどうか、先行きは不透明というのが正直なところです。

 RIWC2020 in Reykyabik についての1回目の情報提供です。予定通り実施されるときには、ご参照ください。

(3月20日更新、国際関係担当理事:森田)

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働き続けるために JRPSがセミナー開催(2020年1月25日(土))

働き続けるために JRPSがセミナー開催

公益社団法人 日本網膜色素変性症協会 理事 神田 信

 公益社団法人 日本網膜色素変性症協会(JRPS、理事長・佐々木裕二)グループの3団体は、1月25日、東京・品川の「きゅりあん」(品川区立総合区民会館)で、働く世代のセミナー「働き続けるために」を開催した。主催は神奈川県網膜色素変性症協会(JRPS神奈川)で、共催は東京都網膜色素変性症協会(JRPS東京)と、16~35歳が対象のJRPSユース。網膜色素変性症の患者以外にも、視覚障害当事者や関係者ら約80人が参加した。

進行する症状
 眼の中で光を感じる組織である網膜に異常が発生する網膜色素変性症は、現在でも根本的な治療法がない進行性の難病で、数千人に1人の割合で発症するといわれる。症状にも進行にも個人差が大きいが、10~30代で夜盲などを発症し、20~50代で視野欠損や視力低下などの障害が現われるケースが多い。緑内障、糖尿病網膜症とともに中途失明の三大原因のひとつとされ、就職後に、夜盲や視野狭窄による通勤の困難や、徐々に進む視力低下に悩まされるケースも少なくない。

 JRPSは、網膜色素変性症とその類縁疾患の患者会だが、患者・研究者・支援者によって構成される三位一体の会で、「私たち自身で、治療法の確立と、生活の質の向上を目指す」ことをスローガンとしている。各都道府県の地域JRPSによる講演会・相談会・交流会・研修会などに加え、毎年、治療法研究に顕著な成果の認められた研究者に研究助成金を贈っている。

 今回のセミナー会場には、網膜色素変性症の当事者以外の参加者もいて、視覚障害者の就労に対する関心の高さがうかがわれた。参加者の年齢は30~60代までと幅広いが、中心は40~50代。音声パソコンの職業訓練を受けて就労している人が多く、就職活動中の求職者もいた。網膜色素変性症の患者には、進行し、変化してゆく症状に適応するための情報収集が欠かせない。参加者の傾向は、網膜色素変性症の患者が抱える課題のひとつを反映しており、このようなセミナーのニーズを示している。

 プログラムは、網膜色素変性症の当事者でJRPS東京の幹事である熊懐敬氏による「進行性疾患にどのように対応して働き続けるか」をテーマにした基調講演に続けて、当事者6人によるシンポジウム。また、株式会社ユニバーサルスタイル代表取締役で、やはり視覚障害当事者の初瀬勇輔氏が、視覚障害の就労の現状に関する特別講演を行なった。

早めの相談を
 基調講演を行なった熊懐氏は、視覚障害の就労を支援する認定NPO法人タートルの理事も務め、就労相談を担当している。銀行に就職したものの、視力の低下によって異動になり、外部講師を招くセミナーの企画担当として65歳まで勤めあげた自身の経験を披露しながら、働き続けるノウハウを語った。
 まず大切なのは「病気に向き合い、情報収集を行なうこと」、そして「同じ境遇の仲間との交流も大きな力になる」と熊懐氏。自分の症状を職場に伝え、配慮を求める際は、眼科医の意見書に必要な配慮を記載してもらうことに加え、より具体的な希望を自ら書面にまとめて提出することも有効という。
 熊懐氏は、音声パソコンや拡大読書器を無料で貸し出す機関、在職者訓練を含む職業訓練・自立訓練を実施する施設、障害者職業センター、実際に職場を訪問して支援や調整をしてくれるジョブコーチ制度についても説明。働き続けるには、よりよい人間関係を構築するための努力も非常に大切と説いた。
 タートルでは就労に関する相談を多く受けているが、退職後では選択肢が狭くなってしまうともいう。「ぜひ、困りごとが起きた段階で相談してほしい」と早期相談の重要性も強調した。

仲間や先生との出会い
 シンポジウムでも、網膜色素変性症の当事者が登壇した。就職後に障害が現われたものの就労を継続、もしくは再就職のために職業訓練を受けて働いている6人で、それぞれの訓練内容や訓練施設を選択した理由などを語った(氏名の後ろに訓練を受けた施設名を記す)。

田部雅一氏(国立職業リハビリテーションセンター)
 国立障害者リハビリテーションセンターを修了し、あはき免許を取得、ヘルスキーパーを経て独立開業した。そこで、パソコンスキルの必要性を感じ、国立職業リハビリテーションセンターの視覚障害者情報アクセスコースに入って訓練を始めた。ある特例子会社で働いていた時、同センターの卒業生のスキルがとても高かったので、自分もそれに近いレベルを身に付けたいと思い、同センターを選択した。

秋山孝幸氏(視覚障害者就労生涯学習支援センター)
 資産運用会社でファンドマネージャーを務める。業務には専用アプリを使い、スクリーンリーダーはJAWSを使用。職場適応のためにジョブコーチを受けることも視野に入れ、視覚障害者就労生涯学習支援センターの在職者訓練が良いとのアドバイスをタートルで受けた。訓練終了後は、同センターの井上英子氏がジョブコーチとして会社を訪問。専用アプリも音声で使えるように細かい設定をしてもらい、業務を継続している。

長谷川晋氏(視覚障害者パソコンアシストネットワーク)
 出版社で編集の仕事をしていたが、文字や色が見えにくくなり、人事系の部署に移った。Word、Excel等の基本ソフトを活用するため、スクリーンリーダーのPC-Talkerを学べる視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN)の在職者訓練を選択。SPAN理事長で全盲の北神あきら氏が自由にパソコンを操る姿に「見えなくなってもやっていける」と勇気づけられた。まだ視力があり、訓練には早いかと思ったが、受けてよかったという。症状の進行に合わせ、再度受講したいと思っている。

福島淑絵氏(東京視覚障害者生活支援センター)
 福祉の仕事に従事していた病院を、視力の低下もあって退職。障害者雇用で事務職として再就職したものの、視覚を補うスキルがなく退職した。ハローワークの紹介により、東京視覚障害者生活支援センターの就労移行支援で訓練を受けた。パソコンの訓練だけでなく、面接の指導では自分の障害を相手にわかるように伝える方法も学んだ。就職後もわからないことを教えてもらえるので、とても助かっているという。現在の職場は7年目、正社員としては2年目で、責任ある仕事を任されている。

石原純子氏(日本視覚障害者職能開発センター)
 もともと看護師として就労していた。視覚障害発症後も理解のある病院に勤務をしたが、限界を感じて退職。ハローワークで日本視覚障害者職能開発センターを紹介された。パソコンは全くの初心者だったが、訓練を通じて日商PC検定(文書作成3級、データ活用3級)や秘書検定2級も取得。現在は眼科病院に勤務し、患者向けITサポートを担当している。進化していくITについていくため、日々、勉強を続けている。同センターでの訓練終了後のフォローや、別途ジョブコーチ制度を活用するなど、状況に応じて支援を使い分けている。

伊藤つえみ氏(横浜市立盲特別支援学校)
 幼い頃から夜盲があり、上京して就職したものの、視力低下に伴い何度か転職。デパートで販売職に就いていた時に、当事者団体や支援制度を何も知らないまま仕事を追われた。ハローワークで盲学校に職業相談をするように勧められ、マッサージは全く考えていなかったが、横浜市立盲特別支援学校で3年間学び、あはきの免許を取得。ヘルスキーパーとしてやりがいのある仕事を得て、充実した毎日を送っている。仕事でパソコンも使うため、視覚障害者就労生涯学習支援センターで在職者訓練も受けたと語った。

 シンポジスト全員が口を揃えたのは、共に学んだ仲間との出会い、そして熱心に指導してくれた先生方への感謝であった。

雇用拡大の可能性
 シンポジストの一人、田部氏が「私は、目が悪くなったらあはき※1しかないと思い、免許を取ったが、会場の皆さんは、あはきを選択肢として考えたことがありますか?」と質問をしたところ、約4割の人が「考えたことがある」と回答。一方で、あはき免許の取得までには無給の期間が生じ、地方では事務職の求人も少ないが、「どうすれば良いか」という質問もあった。
※1:あはき師(按摩師、針師、灸師)
 それに対し、自宅やサテライトオフィスなどを利用し、時間や場所に縛られない働き方であるテレワークを選択肢の一つとして提示したのが、特別講演を行なった初瀬勇輔氏だ。
 視覚障害柔道家としても知られる初瀬氏が代表取締役を務めるユニバーサルスタイルは、障害者の就業・転職サポート、人材紹介などを行なっている。
 初瀬氏が就職活動をした時には、100社以上を受けて、面接まで進んだのは2社だけだったという。視覚障害以外の障害の人と比べられる障害者雇用の場で、「こういう配慮があればできる」という説明が不足していたと振り返り、自分の症状を言語化し、パソコンスキル等を具体的に示すことが必要だという。
 就職・転職を考えている人には「なるべく多くの人材紹介会社に登録したほうが良い」と初瀬氏はアドバイスをする。特にテレワークなどは全国的なネットワークのほうがヒットしやすいとする一方で、知人の紹介で就職する人もおり、様々な手段を活用することが肝心というわけだ。
 就労中の人には、配置転換や業務の調整について、会社と相談することを勧めた。会社側も困っていることがあるので、自分で情報収集し、どうすれば働き続けられるか、提案できるのが望ましいという。また、周囲の人とのコミュニケーションが欠かせない仕事の中で、合理的配慮も上手に求める必要があるとし、「社内で得意な分野を作っておくこと」も大切だと述べた。
 初瀬氏は「多くの企業が、社内に障害を負った人がいれば、法定雇用率の観点からもその人材を大切にしたいと考えている」という。2018年に発覚した中央省庁の「水増し雇用」への反省や、法定雇用率の引き上げ(2021年4月までに現行の国、地方公共団体2.5%、一定規模の民間企業2.2%から、各0.1%引き上げ)もあり、障害者雇用は上向いていくとの展望を示した。そして「視覚障害者を含め色々な人が活躍できるインクルーシブ社会を一緒に創っていきましょう」と講演をまとめた。

 セミナー終了後は、懇親会も盛大に行なわれ、参加者同士、貴重な情報を交換した。

公益社団法人 日本網膜色素変性症協会
 電話:03-5753-5156/メール:info@jrps.org

認定NPO法人タートル
 電話:03-3351-3208/メール:mail@turtle.gr.jp

株式会社ユニバーサルスタイル
 電話:03-5361-8455

出典 月刊視覚障害3月号

  シンポジウムの様子。中央奥に長机に向かって座った6人のシンポジスト、手前にはスクール形式で並べられた席に、長机に向かって座った参加者が写っている。

 

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あぁるぴぃ144号

2020年 年頭のご挨拶    3

JRPSだより        4

公益社団法人日本網膜色素変性症協会 「理事・監事」の選任に関する告示 4

2月の相談予約のご案内            4
「ピアサポート」電話相談のご案内       4

寄付に対する税制上の優遇措置について     5

JRPS富山より皆さまへ(牧野 清美)      6

研究推進委員会(Wings)通信(第21回)    6
ビジョン・ケア 高橋政代先生に聞く
~網膜再生治療確立に向けての決意~       6

JRPSワークショップ2019 in福岡 実施報告      7

リレーエッセイ ~網膜色素変性症と私[4]     9
見えなくなって出会えたマラソンに生きが  いを(岡山県 久保 眸)   9

あぁるぴぃ広場 ~会員からの投稿~           10
見えなくても楽しく生きよう!(山形県 富樫 靖子)    10
私の運の良かった人生(京都府 宮森 克己)        10
視覚障害でも楽しく(福岡県 金ヶ江 剣志郎)       11

若い世代はいま                     12
第2回 旅立ちの言葉                   12

[特別寄稿]JRPS群馬設立20周年            13
JRPS群馬とともに(小林 一男)             13

QOL向上推進委員会(QOLC)通信            14
第8回 視覚障害者の減災・防災教室 その5 「防災グッズ等」②   14
【特別リポート】ここまで来た!視覚障害者用ナビゲーションシステムの開発 16

都道府県JRPS活動予定       17
北海道……17 / 岩手県……17 / 秋田県……17 / 群馬県……17 / 栃木県……18
埼玉県……18 / 千葉県……18 / 東京都……19 / 神奈川県…19 / 長野県……19
福井県……19 / 岐阜県……20 / 愛知県……20 / 三重県……20 / 滋賀県……21
京都府……21 / 奈良県……21 / 大阪府……21 / 和歌山県…22 / 兵庫県……22
岡山県……22 / 広島県……23 / 香川県……23 / 徳島県……23 / 愛媛県……24
福岡県……24 / 長崎県……24 / 大分県……25 / 熊本県……25 / 宮崎県……25
鹿児島県…25
専門部会の活動予定         26
アイヤ会…26 / JRPSユース…    26

編集局より    27
広告ページ    27
編集後記     32

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研究推進委員会(Wings)通信(第21回)

■Wings研究者インタビュー 第12回
ビジョン・ケア 高橋政代先生に聞く ~網膜再生治療確立に向けての決意

 突然、理研退職のニュースが流れて皆さんを驚かせてしまったこと、申し訳なく思っています。皆さんにきちんと説明したいと思っていました。
今、色素変性を対象とする視細胞移植臨床研究の申請の準備を進めているところです。(註記:2019年11月15日のインタビュー後、12月9日に第一特定認定再生医療等委員会宛に申請書が提出されました)
臨床研究なので、ほんの数名にするだけで、その後は大日本住友製薬が治験をしてくれることになっています。
ただ、治験が終了するまでにはとても長い時間がかかります。そこを短縮できないかと考えて作ったのが株式会社ビジョン・ケアという会社です。少しでも早く、安く、安全にたくさんの方に網膜の治療を届けたいと思っています。大企業に任せていると時間もかかるし、コストもどんどん高くなっていく、それなら自分たちで作ろう、と思い、私が会社の代表取締役となりました。大きな会社も協力してくれる所があるので、今、たくさんの企業と私たちの会社が提携を進め、その体制作りをしているところです。
視細胞移植は、最初から視力が出る、というのではなく、どんどん改良し続けなくてはいけません。たぶん、20年くらいは改良し続けないといけないと思います。薬だと1回できてしまえばその効果は同じなのですが、再生医療は細胞だし、手術だし、それはどんどん改良を重ねて、20年くらいたってようやくこれでいいね、と言われるような治療となります。現在も、うちのラボではこの臨床研究の次の研究が始まっています。現在アイセンターの中にあるのは今は理研のラボですが、そこをアイセンターが借りることになります。アイセンターとビジョン・ケアはずっと組んでいくので、共通のラボを作っていくという感じです。でもここでは狭いので、1、2年くらいにもっと広い所も用意する予定です。
会社に移った理由はたくさんあるのですが、中でも理研のラボは私が引退したら閉じてしまうし、理研と契約が切れたスタッフはラボを辞めなくてはならないので、研究を一緒に続けていくためにその受け皿を作るという目的もありました。アイセンターを作る前からそれは分かっていたことで、アイセンターは4つの部門からなっていて、研究と眼の病院とNextvisionと会社を最初から作っていて、私はその4つの全部にポジションを持っていて、それは今も変わりません。生活は何も変わらず、軸足が変わっただけです。
今はアカデミアの仕事を減らして、治療を早く安くみんなに届けるための仕事に集中しているところです。今後そちらに集中するために患者会の講演なども減らしていかなければならない現状をご理解ください。ビジョン・ケアの利益はアイセンターや公益的なことがきちんとできるようにするためにも使われます。治療開発に専念するためにこれからもがんばっていきますので、皆さまのご理解とご協力をお願いします。

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林 孝彰先生からのメッセージ

林 孝彰先生

(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科)

受賞テーマ:「全身疾患に合併する遺伝性網膜ジストロフィの病態解明を目指した分子遺伝学的研究」

今回、「全身疾患に合併する遺伝性網膜ジストロフィの病態解明を目指した分子遺伝学的研究」という課題に対して、第23回JRPS研究助成金を受賞することができ大変光栄に存じます。私は長年網膜ジストロフィの専門外来・遺伝子研究に携わっております。目の前の患者さんの原因遺伝子を特定し、将来の治療法に結びつけたいという信念が私の診療・研究の信条でありミッションとなっています。最近のホットな話題として、iPS細胞からの再生医療に関して他家移植が成功し、いよいよ網膜色素変性の患者さんへの治療が期待される段階になりました。また、欧米で行われている遺伝子治療も日本でも行われる可能性があります。決定的な治療法がなかった遺伝性網膜ジストロフィに対する治療法の進歩・発展は目を見張るものがあります。
しかし、遺伝子治療の前段階として、原因遺伝子が特定されていることが条件となっています。網膜ジストロフィの中には、網膜異常に加え、眼外症状・全身的合併症を引き起こす病態が知られております。私たちはこれまでに先天黒内障に低身長、代謝異常症を合併した繊毛病(細胞の触覚と言われる繊毛を構成する遺伝子の異常によって発症する病気)の1つAlstrom症候群の新規ALMS1遺伝子変異(Katagiri et al, MolVis, 2013)を特定し早期の代謝異常に対する治療に結びつける役割を果たしました。また、先天黒内障とネフロン癆(小児期に腎不全になる疾患)を合併したSenior-Loken症候群に対して、病態解明につながる新たな原因として世界で初めてSCLT1遺伝子変異を特定しました (Katagiri et al Sci Rep,2018)。今回の研究では、小児科医、皮膚科医、電子顕微鏡専門研究者、分子生物学基礎研究者と連携し、希少疾患である繊毛病やライソゾーム病の病態解明に向け、これらの全身疾患に伴う遺伝性網膜ジストロフィの患者さんからDNAを抽出、次世代シークエンサを用いた全エクソーム解析を行い、原因遺伝子を突き止める研究を行います。この中で遺伝子変異と疾患表現型の関連性を明らかにし、酵素補充療法や遺伝子治療など将来の治療法へ向けた基盤研究に進展させたいと考えています。この度は、JRPS研究助成金を受賞でき、会員の皆さまに感謝申し上げます。

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研究推進委員会(Wings)通信(第20回)

■Wings研究者インタビュー 第11回
東北大学眼科西口康二先生に聞く ~網膜疾患のゲノム編集治療について~

西口先生は、ゲノム編集と呼ばれる手法を用いて治療することを目指しておられます。この方法を用いると、従来の遺伝子治療では困難であるとされる日本のRP患者に多いEYS遺伝子の変異も治療可能になるそうです。その研究に関する最新情報を伺う機会がありましたので、ご報告いたします。

皆さんは、ゲノム編集という言葉を聞いたことがありますでしょうか? 最近のニュースで、厚生労働省が特定のタイプのゲノム編集を行った食品に関しては流通販売をしてもよく、ゲノム編集食品であることの表示義務も課さないとの決定を下したことが報じられました。「特定のタイプ」と書きましたが、ゲノム編集には大まかに次の3タイプがあります。

1.特定の遺伝子を壊すもの
2.元々ある遺伝子の一部を書き換えるもの
3.種の壁を越えて外来の遺伝子を導入するもの

今回厚労省が許可したのは、1番と2番です。これらは、一般的に行われている品種改良と同等なものであるから、というのが許可の理由でした。3番に関しては、自然界には存在しない生物を作れてしまうので、対象から外されました。
西口先生が目指しておられるのは、2番の手法です。日本人で一番多く見られるEYS遺伝子の変異を正常な状態に書き換えようとしています。これを植物細胞のようにペトリ皿の上で行うのであれば、今の技術で難しくはないでしょう。しかし、先生の研究では、ゲノム編集を私たちの眼の中で行う必要があります。これは、とても大きなチャレンジです。生きた網膜の治療を行うには、ゲノム編集の技術のみならず、遺伝子治療を融合させなければなりません。遺伝子治療のノウハウを用いて、ゲノム編集に必要な遺伝子を特殊なウィルスの中に閉じ込めます。これを網膜に注射すると、ウィルスが視細胞に感染し、中に入っていたゲノム編集用の遺伝子が細胞内に放出されます。
ゲノム編集用遺伝子が働き始めると、元々ある病気遺伝子を切ったり貼ったりして正常な状態に書き換えてくれます。

文字にしてしまうと簡単そうに思えるかもしれませんが、これをヒトで試すには越えなければならないハードルがまだ残っています。困難はありますが、「本当にそんなことが可能なんですか!」と驚いてしまったほどの飛躍的な研究成果のお話も伺うことができました。今日明日に治療開始、とはいかないかもしれませんが、ここで大切なことは、私たち患者が先生を応援し、行政に働きかけるなどして後押しすることだと思います。更なる研究の飛躍を願いつつ、希望を持って待つことにしましょう!

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