RIWC2014パリ大会参加報告

【開催日】 2014年6月26日~29日〔4日間〕
【開催場所】フランス・パリ市内。ホテル名:プルマン・モンパルナス。大会議室、およびイベントルームにて開催。
【会議スケジュールと主な内容】
6月26日
RI総会(26ヶ国の正会員を含む、世界各国から参加者約70名)

・正会員に台湾、ベルギー、アイスランドが新たに加入し、準会員国としては、アルゼンチン、チリがそれぞれ承認されました。
RI会議については、すでに、2016年の台湾の台北で、台湾と香港の共同開催が決定していますが、2018年は、ニュージーランドのオークランドでの開催が決定しました。台湾、ニュージーランド双方からは参加呼びかけのプレゼンテーションがあり、とくに台湾は駐仏台湾大使や観光省の職員を動員して鼓や胡弓、合唱の演奏、人形劇等をまじえて熱い誘いがありました。
・RIの運営は、設立以来そのほとんどが事務局のボランティアにより現在に至っています。しかし今後、加盟国の増加、タイムリーな情報発信、各国との連携強化等これからの事務局の仕事量も増大することから、専用の事務局設立が提案されました。設立にあたっては、アイルランドが候補でしたが、審議継続となりました。

・役員体制につきましては、ファッサー会長が、満場一致で再選されました。
・理事国は、合計6ヶ国となりました。

・2012年~2013年活動報告、決算および2014年~2015年活動計画、予算案も満場一致で、承認されました。のRIメンバー、Fighting Blindness, Irelandが主体となり、初年度予算、約2000万円 を企業からの寄付で集める活動がスタートします。
・ユーロ圏としては、RIの下部組織としてRIヨーロッパという組織立ち上げをしたいという提案があり、承認されました。

6月27日 
講演会および森田理事によるプレゼンJRPSの歴史と活動に関する報告

1. 臨床試験の体験談発表
人工網膜臨床研究に参加した患者2名から、体験談が発表されました。
一人目は、26歳の時に完全に失明したMikka Terho氏(41歳、フィンランド人男性)。2008年11月に人工網膜を移植し、コンピュータ画面上の白線やLという文字、人の形、目の前にあるものなどを認識できた、とのこと。同氏がこの試験に参加したのは今後の研究の為であり、自分の生活向上が目的ではなかったので、とくにフラストレーションを感じたり、憂鬱になることはなかった、試験結果も満足できる内容であった、と語っていました。本人はどちらかと言うと先鋭的な性格で、とても前向きな人生を送っていると思いました。
二人目のCeline Moret氏(女性、RIスイ ス所属)の体験談は対照的で、劇的な効果は見られず、逆に手術の後遺症による血栓塞栓症を脚部に発症し、足を切断する危険にさらされ、とても大変な思いをしたとのことでした。

2. 講演 ニュージーランドの会長:臨床研究に患者として、どう向き合うか。
要旨としては、まず基本となる臨床研究とは何かをはじめに良く理解すること、それに協力する場合は、目的、成果だけではなく、そこに生じる、さまざまなリスクに関しても、担当医と納得行くまで話をし、疑問点を払拭してから望むべきで、またこれから沢山の臨床研究が始まる中、患者としては、こうした知識、心構えについても、学んでいくことが大事なことですと力説されていました。

◇ ファッサー会長との会談の予約が取れ、直接お話を伺うことが出来ました。
会長からは、JRPSに対する、期待と課題についての提言がありました。
一つは、近年アジア諸国においても活動が活発化している現状の中、JRPSの果たす役割はとても大きいと思うので、アジア圏との連携を図ってほしい。
次に、RI(レティナ・インターナショナル)としては網膜に関わる様々な疾患に関して活動を進めているが、JRPSは、網膜色素変性症とその類縁疾患のくくりで良いのか、世界的には、加齢黄斑変性症の患者が増大する中、この病気の患者との係わり合いをどうすべきか、将来の治療法が進む中、どうしていくのかも、検討すべきではないかとの提言もありました。

◇ 近隣諸国の状況について
イ、 香港(Vincent Kwan氏との会談)
会員数は2000名、活動内容には、若い視覚障害者の就学支援があります。視覚障害者が社会で仕事をし生活を営むためには、高い知識を身につける必要があり、奨学金を出し、若い人たちを支援しているそうです。
ロ、 台湾
患者、学術関係の先生との相互理解を深め、医療の現場においてのコミュニケーションが大事という発想から、今回は総勢40名以上の、患者と若い医学生が一緒に旅行をし、ドイツまで来ていました。こうした施策は医療の最前線においては、患者理解の面からもとても大事なことではないかと思います。
ハ、 中国(Jia Yang氏との会談)
日本の拡大読書機や活字文字読み上げ機器には、とても良いものがあると聞いているので、その点を知りたいとの質問がありました。一方では東洋医学について、現在いろいろと研究もしているので、今後情報交換もしていきたいとのことでした。ちなみに中国ではRP患者は40万人はいるだろうとのことでした。

◇ 全体を通しての所感
、 2014年に日本で開催される網脈絡膜変性国際フォーラムに対し、アジア諸国からの関心はとても高く、JRPSとの連携を強く望んでいることから、彼らの招聘を今後検討して参りたいと考えています。またJRPSがアジアで果たすべき役割の大きさを再認識しました。
、 2016年台北における、台湾・香港共同開催のRI会議については、JRPSとしていろいろな面で協力と交流を図るべきであり、検討を進めることが必要であると考えています。
、 欧米においては、人工網膜の開発や網膜関係の臨床研究が、すでに数件スタートしていますが、日本においても、近年人工網膜、iPS/ES細胞による網膜再生、遺伝子治療、点眼薬の臨床研究がめざましいスピードで進んできています。こうした状況に対して、臨床研究とは何か、どう関わっていくのか、その対応はどうすべきかなど、そこに発生するリスクや心理面におよぼす影響などを多角的に考慮し、患者会として早急な啓発活動の必要性も強く感じました。こうした点は次年度の活動として検討を進めていくように考えています。

最後にRI会議に個人エントリーとして、関東、東海、近畿圏からのグループも参加なさっていたこと、あわせてご報告いたします。

文責:国際担当理事 森田 三郎

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