研究推進委員会(Wings)通信(第25回)

■RPE65遺伝子補充治療国内治験開始     

RPE65遺伝子補充治療薬(LUXTURNA)の治験開始が公表されました。治験対象は、眼科検査と遺伝学的検査で、「RPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィ」と診断が確定した症例です。レーバー先天黒内障(LCA)というRP類縁疾患や常染色体劣性RPの一部が含まれます。
治療薬により正常なRPE65遺伝子を眼内に補充することで、病気の進行の遅延、また暗視機能の改善も期待できます。
北米・ヨーロッパ・中東・オーストラリアではすでに小児と成人の治療薬として承認されており、今回の治験は日本での販売承認を目指す第3相試験になります。
試験実施者はノバルティスファーマ、試験実施施設は東京医療センターです。詳細は下記URLを参照してください。

https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/jp?trial_id=JapicCTI-205455

長期にわたる基礎研究を経て、LCA患者を対象としたRPE65遺伝子補充治療の臨床試験の結果が米英の施設から発表されたのは2008年のことでした。
以来、多くの臨床試験が行われ、2017年12月、上記遺伝子治療薬が米国の食品医薬品局(FDA)により承認されました。
今回の試験は国内初の網膜遺伝子補充治療の治験となります。今後、RP類縁疾患のコロイデレミアやRPGR遺伝子変異が原因のRPの患者を対象とした遺伝子補充治療の国内治験も計画されています。
欧米より遅れていた遺伝子治療の臨床応用ですが、いよいよ日本国内でも治験実施が加速されそうです。
対象となる病態は限定的ですが、安全性と有効性が確認され、該当する患者のもとに届くことを期待したいと思います。

 

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