吉田 晶子(神戸アイセンター病院/京都大学)先生講演要旨

■「遺伝子検査の前に考えてほしいこと」

吉田 晶子(神戸アイセンター病院/京都大学)

最近、JRPS会員の皆さまの間でも、遺伝子検査について話題になることが多いのではないかと思います。当院でも、知り合いから遺伝子検査について聞き、ご興味をもって来院される方がおられます。神戸アイセンターでは、遺伝子検査をご希望の患者さんには、検査前に遺伝カウンセリングをご案内しています。なぜ、遺伝子検査を受けたいと思っているのに、そのような場が用意されているのか、疑問に思う方も少なくないと思います。
網膜色素変性の遺伝子検査において、原因の遺伝子が判明した場合、原因が突き止められると同時に遺伝のタイプも明らかとなります。
遺伝カウンセリングで話題になることの一つは、患者さんの原因遺伝子が判明した時に、血縁者の誰に影響があるのかについてです。もしかしたら、誰にも影響がないかもしれませんし、思いもよらないご親戚が話題にあがるかもしれません。ご自身としては、とくに心配がないと思っても、専門的な視点から検討し、患者さんのお考えをうかがいながら、遺伝子検査でどこまでのことがわかるのか、すり合わせていく話し合いが非常に大切です。この話し合いが行われなければ、予想していたものと違うという結末になる可能性もあるのです。遺伝子の情報と新しい研究や治療との関連性も検討事項となっていますが、だからこそ、遺伝子検査前の話し合いや検討が大切になってきます。
当日は、遺伝カウンセリングの流れを追いながら、遺伝子検査の前に考えていただきたいことをお伝えしたいと思います。

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