QOL向上推進委員会(QOLC)通信(第16回)

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近づく年金改正。自分の等級を再確認

社会保険労務士 辰巳 周平

来年1月1日を施行日(予定)として、障害年金における眼の認定基準が改正されます。このたびは政令の改正(およそ35年ぶり)であり、かなり細かな箇所まで変更が加えられますが、ここでは紙幅に制限があるため主だったものだけを取り上げ解説します。詳細をお知りになりたい方は厚生労働省のホームページをご覧ください。

<視力障害について>
現行の「両眼の視力の和」から「良い方の眼の視力」へ変更されます。現行では「両眼の視力の和が0.05~0.08」が2級と規定されていますが、改正後は「良い方の眼の視力が0.04~0.07」へ変更されます。この場合、たとえば両眼の視力がそれぞれ0.07の方だと、現行では両眼の視力の和が0.14となり2級には該当しませんが、改正後は2級に認定されます。つまり、これまで等級不該当として障害年金を受給できなかった方たちにも受給の可能性が広がることになるわけです。
今回の改正ではすでに受給している方たちの等級が落ちることのないよう細かな配慮がなされており、それは以下の視野障害の改正についても同様です。

<視野障害について>
今回の最大のトピックスといってもよいでしょう。視野障害のみで1級が創設されます。現行では視野障害のみでは2級が最高等級でしたから、改正後は極端なことを言えばたとえ視力が1.0以上見えていても重度の視野狭窄を呈していれば1級の受給が可能になります。また、これまでは原則ゴールドマン視野計を使用した検査が必要でしたが、改正後は自動視野計による検査数値も対象となります。

ちなみに両者の1級該当の条件は次の通りです。
ゴールドマン型視野計の場合は「周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下、かつ、両眼中心視野角度が28度以下のもの」、一方自動視野計の場合は「両眼開放視認点数が70点以下、かつ、両眼中心視野視認点数が20点以下のもの」です。
厚生労働省は眼の障害年金受給者(1級を除く)に対して11月中旬をめどに今回の改正についてのリーフレットを送付する予定としています。現在2級受給者で上記1級に当てはまりそうな場合は自ら額改定請求を行う必要があります。改定は診断書提出月の翌月からとなるため、1月1日に施行(予定)された場合は1月中に提出することがベターです。診断書には提出日より3ヵ月以内の検査日が記載されていればいいことから、準備段階として今年中に視野検査等を実施しておき、改正施行日以降に素早く提出することが望ましいでしょう。しかし診断書様式も一新(しばらくの間は猶予期間として現行様式の使用も可能。ただしその際は視野検査結果の添付必須)されることから、病院での混乱も予想され主治医とのより密な連携が必要となりそうです。
この機会に自身の症状をいま一度確認し、請求漏れのないよう情報の共有・拡散を通じて全員が適正な障害年金を受給できるよう協力しあいましょう。

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