第26回研究助成受賞者からのメッセージ①

富田 洋平先生(慶應義塾大学医学部/ボストン小児病院)
受賞テーマ
網膜色素変性による黄斑浮腫の病態解明と治療薬の開発

この度は第26回JRPS研究助成金を賜り大変光栄です。JRPS理事ならびに会員の皆様方には深く感謝致します。私は今までたくさんの網膜色素変性の患者さんを診察させていただきましたが、有効な治療薬がなく、ただフォローアップをするだけという現状に非常に歯がゆい思いを抱いて参りました。
私は2018年にアメリカに渡り、一つ一つの遺伝子をターゲットにするのではなく、どんな遺伝子異常の網膜色素変性症の患者さんでも効果のある治療法を見つけたい、という思いで研究を続けて参りました。
黄斑浮腫は、物を見る中心の黄斑部というところにむくみができて、視力低下を引き起こします。網膜色素変性患者における患者全体の10-50%を占めると言われております。どうしてそれが起きるのか、まだはっきり理由がわかっておらず、現状の治療薬では効果は限定的です。
そこで私たちが注目している線維芽細胞増殖因子(FGF)21は、全身の脂質代謝を制御する重要な因子です。私たちは以前、そのFGF21がマウスの網膜の病的血管新生の抑制や、機能を回復することを報告しております(Tomita et al, 2020,2021)。さらにFGF21はマウスの網膜色素変性モデルにおいても視細胞の機能保護効果を示すことを報告致しました(Fu, Tomita et al, 2021) 。また近年、欧米を中心に抗がん剤としてFGF受容体(FGFR)の阻害剤が多く用いられるようになっておりますが、副作用として黄斑浮腫が問題となっております。私たちはFGF21/FGFR系が黄斑浮腫の形成に強く関与していることを疑い、マウスの網膜色素変性モデルを用いて、FGF21/FGFRの病気への関与と治療薬の可能性を探索すべく研究を進めるつもりです。また、FGF21を体内で増やすフェノフィブラート等の薬剤の評価も同時に行う予定で、治療へのアプローチを多角的に行う考えです。近い将来、皆様に良い結果をお届けできることを目指し、新しい治療の可能性を開ければ幸いです。

カテゴリー: RP研究動向, お知らせ, イベント情報, ニュース, 世界網膜週間-世界網膜の日, 医療講演会, 情報公開, JRPS研究助成 パーマリンク

コメントは停止中です。