第26回研究助成者からのメッセージ③

小島 慧一 先生(岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(薬学系))
研究テーマ:「光異性化酵素の分子特性に着目した網膜色素変性症の発生メカニズム」………ライオンズ賞

このたび、JRPSライオンズ賞に選出いただきました岡山大学の小島慧一と申します。研究助成をいただけることを大変光栄に思っております。会員の皆様には心より御礼申し上げます。
私は大学4年生(2010年)のとき以来、これまで動物の視覚の研究を行ってきました。眼の網膜には、光を感受するタンパク質である視物質が存在しています。視物質は外界からの光を受け取り、電気信号を発生させ、その電気信号が最終的に脳までリレーされることで、私たちはモノを見ることができるのです。これまで私は、視物質の機能(=どのようにして光を吸収し、どのように電気信号を発生させているのか)を調べることで、ヒトを含む動物の視覚が成り立つ仕組みを明らかにしてきました。
視覚の成り立ちを理解していく中で、「成り立ちの理解に基づけば、視覚に関わる疾患を治す方法を見出すことができるのではないか?」と感じていました。網膜には視物質のみならず、視物質に類似のタンパク質である光異性化酵素も存在することが知られています。光異性化酵素は視物質が正常に働くことをサポートする役割を持つことが知られており、光異性化酵素の機能が正常ではなくなると網膜色素変性症につながってしまうことが過去の研究から示唆されていました。そこで現在、私は、光異性化酵素の機能に着目して、網膜色素変性症に対する新しい疾患低減技術を創出したいと考え研究を行っております。具体的には、光異性化酵素のどのような機能異常が疾患の原因となるのかを理解し、化合物や色素を活用して、機能異常を正常へと戻す方法を見つけたいと考えています。
私はこれまで主に基礎研究に取り組んで参りましたが、その中で明らかにした知見を医療や疾患治療法に還元したいと強く感じておりました。本研究によって患者の皆様のお役に立てるように、精一杯取り組みたいと考えております。(動画は、「会員の頁」にございます。)

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