JRPSオンラインセミナー2021(2回目:11月13日)ご報告

JRPSオンラインセミナー2021
~遺伝情報と網膜ゲノム医療・患者からのアプローチ~

【主催】公益社団法人 日本網膜色素変性症協会(JRPS)
【共催】NPO法人 オール・アバウト・サイエンス・ジャパン(AASJ)

第2回 テーマ:ゲノム医療推進と遺伝子診断

【日時】2021年11月13日(土)13時~16時

【プログラム】
13時   開会挨拶 有松 靖温(JRPS理事)

13時5分
講演1「遺伝子検査の前に考えてほしいこと
(動画は会員頁にあります。2022年2月13日までの期限付きです)

吉田 晶子(神戸アイセンター病院/京都大学大学院医学研究科
ゲノム医療学講座 特定助教)

13時45分
講演2「ゲノム医療と倫理的社会的法的課題
(動画は会員頁にあります。2022年2月13日までの期限付きです)

武藤 香織(東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授)

14時25分  質問・コメント 西川 伸一 (AASJ代表理事)

14時40分 休憩

14時50分 講演者・患者パネリストによる質疑・討論
(動画は会員頁にあります。2022年2月13日までの期限付きです)

15時55分 閉会挨拶 伊藤 節代

16時 閉会

【講演者プロフィール】
吉田 晶子:2008年京都大学大学院遺伝カウンセラーコース卒、
2016年より理化学研究所網膜再生医療研究開発プロジェクト勤務。
2017年12月からは神戸アイセンター病院も兼務。
2021年4月より、京都大学大学院ゲノム医療学講座にて学生の指導にも携わりながら、神戸アイセンター病院での勤務を継続

武藤 香織:1993年慶應義塾大学文学部卒。
1995年同大学院社会学研究科修了。
1998年東京大学大学院医学系研究科博士課程単位取得満期退学。
米国ブラウン大学研究員、信州大学医学部講師などを経て、
2007年東京大学医科学研究所准教授、
2013年より現職。

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吉田 晶子(神戸アイセンター病院/京都大学)先生講演要旨

■「遺伝子検査の前に考えてほしいこと」

吉田 晶子(神戸アイセンター病院/京都大学)

最近、JRPS会員の皆さまの間でも、遺伝子検査について話題になることが多いのではないかと思います。当院でも、知り合いから遺伝子検査について聞き、ご興味をもって来院される方がおられます。神戸アイセンターでは、遺伝子検査をご希望の患者さんには、検査前に遺伝カウンセリングをご案内しています。なぜ、遺伝子検査を受けたいと思っているのに、そのような場が用意されているのか、疑問に思う方も少なくないと思います。
網膜色素変性の遺伝子検査において、原因の遺伝子が判明した場合、原因が突き止められると同時に遺伝のタイプも明らかとなります。
遺伝カウンセリングで話題になることの一つは、患者さんの原因遺伝子が判明した時に、血縁者の誰に影響があるのかについてです。もしかしたら、誰にも影響がないかもしれませんし、思いもよらないご親戚が話題にあがるかもしれません。ご自身としては、とくに心配がないと思っても、専門的な視点から検討し、患者さんのお考えをうかがいながら、遺伝子検査でどこまでのことがわかるのか、すり合わせていく話し合いが非常に大切です。この話し合いが行われなければ、予想していたものと違うという結末になる可能性もあるのです。遺伝子の情報と新しい研究や治療との関連性も検討事項となっていますが、だからこそ、遺伝子検査前の話し合いや検討が大切になってきます。
当日は、遺伝カウンセリングの流れを追いながら、遺伝子検査の前に考えていただきたいことをお伝えしたいと思います。

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村上 晶(順天堂大学)先生講演要旨

■「これからの網膜色素変性への医療とケア」

村上 晶(順天堂大学)

 眼にかかわる遺伝子の働きと遺伝に関わる研究の進展は目覚ましく、網膜色素変性診療のなかでも遺伝学の重要性が増している。病気と関連する遺伝子の変化の同定と病気のしくみの理解が得られ、遺伝子を調べる検査(遺伝学的検査)は、患者さんへの適確な診断の助けになり、家族のケアや遺伝カウセリングのための情報を提供しうるものとなりつつある。
今後未解決例の割合を減らすために、より多くの患者さんの解析をするとともに、異なる方法を応用する試みが続けられている。細胞リプログラミング技術の進歩は、患者さんから提供された皮膚や血液などの細胞から人工多能性幹細胞(iPSC)を作って、網膜に近い性質をもった細胞を得ることが可能になった。このような細胞を使った、再生治療研究や、研究室の培養皿のなかで病気モデルを作り、新たな治療薬の探索をするような研究も進められ、その道筋もいくつかのものに収斂しそうである。
一方、急速な変化が起こりそうなこれからの社会での患者さんの健康管理と実生活における問題解決の仕組みづくりにはまだ明確な道筋が見えていないように思われる。患者さんとともに医療者や研究者も現存する難病対策、社会保障制度の仕組みを理解して研究成果をどう社会に実装していくか知恵を出し合うことが大切だと思う。

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西口 康二(名古屋大学)先生講演要旨

■「網膜変性に対する遺伝子特異的治療の進化」

西口 康二(名古屋大学)

 重症な小児発症の網膜色素変性類縁疾患であるレーバー先天盲を対象とした、アデノ随伴ウィルスを用いた初めての網膜遺伝子治療が2008年に報告されてから10年以上が過ぎた。この報告は、安全性の高いウィルスを用いて欠損遺伝子に対して正常な遺伝子を網膜に導入することで、それまでまったく治療法がなかった網膜ジストロフィにおいて、治療に、より光感度が改善し暗所での移動が向上することを示すものだった。
これをきっかけに、世界中で遺伝子治療の開発競争が始まり、今では網膜色素変性を含めてさまざまな網膜疾患に対して数多くの臨床試験が行われつつある。しかし、同治療に関する臨床データが蓄積されるにつれ、次第に無視できない課題も明らかになってきた。
本講演では、最初に遺伝子治療とは何か?という基本的なことを、歴史を振り返りながら解説する。次いで、さまざまな網膜ジストロフィに対して行われている遺伝子治療臨床試験の最新の結果をレビューし、同治療の今後の展望と現時点で何を考えるべきかについて考察する。

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JRPSオンラインセミナー2021(1回目)ご報告

~遺伝情報と網膜ゲノム医療・患者からのアプローチ~

【主催】公益社団法人 日本網膜色素変性症協会(JRPS)
【共催】NPO法人 オール・アバウト・サイエンス・ジャパン(AASJ)

第1回 テーマ:網膜ゲノム医療の近未来(その2)

2021年11月3日(水・祝)13時~16時

【プログラム】

13時
開会挨拶  長澤 源一(JRPS理事長)
趣旨説明 伊藤 節代(JRPS理事)

13時10分
講演1「網膜変性に対する遺伝子特異的治療の進化
(動画は会員頁にあります。2022年2月13日までの期限付きです)
西口  康二 先生(名古屋大学医学部眼科学教授)

13時50分
講演2「これからの網膜色素変性への医療とケア
(動画は会員頁にあります。2022年2月13日までの期限付きです)
村上  晶 先生(順天堂大学大学院医学研究科眼科学教授)

14時30分
質問・コメント
西川 伸一 先生(AASJ代表理事)
(動画は会員頁にあります。2022年2月13日までの期限付きです)

14時45分  休憩

14時55分
講演者・患者パネリストによる質疑・討論
(動画は会員頁にあります。2022年2月13日までの期限付きです)

15時55分
閉会挨拶 森田 三郎(JRPS理事)

16時 閉会

【講演者プロフィール】
西口 康二 先生:
1997年名古屋大学医学部卒。2005年同大学院医学系研究科修了。2007年同附属病院眼科助教。スイスローザンヌ大学(遺伝医学)、英国UCL(遺伝子治療学)を経て、2014年東北大学視覚先端医療学准教授。2020年10月より現職。2015年JRPS研究助成受賞。

村上  晶 先生:
1981年 順天堂大学医学部卒。同眼科学助手。1988年 米国眼研究所研究員。1989年 マイアミ大学眼科研究員。1992年 防衛医科大眼科講師。2000年 順天堂大学医学部講師。2003年 より現職。

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「遺伝情報と網膜ゲノム医療」連続オンラインセミナーのご案内

遺伝情報と網膜ゲノム医療
連続オンラインセミナー2021開催要項[詳報]

患者自らゲノムとゲノム医療について理解を深めるため、昨年に続き、連続オンラインセミナーを開催します。

【名称】JRPSオンラインセミナー2021
~遺伝情報と網膜ゲノム医療・患者からのアプローチ~

【主催】公益社団法人 日本網膜色素変性症協会(JRPS)

【共催】NPO法人 オール・アバウト・サイエンス・ジャパン(AASJ)

【形式】オンラインセミナー:パソコン・スマホで全国どこからでも視聴できます。
締め切り日時までに申し込みをされた方には、事前に参加用URLをお知らせします。

【対象】遺伝性網膜疾患患者・家族、研究者・医療従事者、一般市民の方

第1回 テーマ:網膜ゲノム医療の近未来(その2)

【日時】2021年11月3日(水・祝)13時~16時

【プログラム】
13時 開会挨拶 長澤 源一(JRPS理事長)
趣旨説明 伊藤 節代(JRPS理事)

13時10分
講演1「網膜変性に対する遺伝子特異的治療の進化」
西口 康二(名古屋大学医学部眼科学教授)

13時50分
講演2「これからの網膜色素変性への医療とケア」
村上 晶(順天堂大学大学院医学研究科眼科学教授)

14時30分  質問・コメント 西川 伸一(AASJ代表理事)

14時45分  休憩

14時55分  講演者・患者パネリストによる質疑・討論

15時55分  閉会挨拶 森田 三郎(JRPS理事)

16時 閉会

【講演者プロフィール】
西口 康二:1997年名古屋大学医学部卒。2005年同大学院医学系研究科修了。
2007年同附属病院眼科助教。スイスローザンヌ大学(遺伝医学)、
英国UCL(遺伝子治療学)を経て、2014年東北大学視覚先端医療学准教授。
2020年10月より現職。2015年JRPS研究助成受賞。

村上 晶:1981年 順天堂大学医学部卒。同眼科学助手。
1988年 米国眼研究所研究員。1989年 マイアミ大学眼科研究員。
1992年 防衛医科大眼科講師。2000年 順天堂大学医学部講師。
2003年 より現職。

 

第2回 テーマ:ゲノム医療推進と遺伝子診断

【日時】2021年11月13日(土)13時~16時

【プログラム】
13時   開会挨拶 有松 靖温(JRPS理事)

13時5分
講演1「遺伝子検査の前に考えてほしいこと」
吉田 晶子(神戸アイセンター病院/京都大学大学院医学研究科
ゲノム医療学講座 特定助教)

13時45分
講演2「ゲノム医療と倫理的社会的法的課題」
武藤 香織(東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授)

14時25分  質問・コメント 西川 伸一

14時40分 休憩

14時50分 講演者・患者パネリストによる質疑・討論

15時55分 閉会挨拶 伊藤 節代

16時 閉会

【講演者プロフィール】
吉田 晶子:2008年京都大学大学院遺伝カウンセラーコース卒、
2016年より理化学研究所網膜再生医療研究開発プロジェクト勤務。
2017年12月からは神戸アイセンター病院も兼務。
2021年4月より、京都大学大学院ゲノム医療学講座にて学生の指導にも携わりながら、神戸アイセンター病院での勤務を継続

武藤 香織:1993年慶應義塾大学文学部卒。
1995年同大学院社会学研究科修了。
1998年東京大学大学院医学系研究科博士課程単位取得満期退学。
米国ブラウン大学研究員、信州大学医学部講師などを経て、
2007年東京大学医科学研究所准教授、
2013年より現職。

参加申込み方法
下記事項を記載し、メールにてJRPS本部事務局までお申込みください。
受付期間は2021年10月31日(日)までです。
①氏名(フリガナ)メールアドレス
③属性(1.患者、2.家族、3.研究者/医療従事者、4.その他)
④JRPS会員・非会員の別⑤事前質問(任意)
※事前質問を受付けますが、回答できない場合もありますのでご了承ください。

【申込み先】JRPS本部事務局 Eメール:info@jrps.org
※メールのタイトル欄に「オンラインセミナー申込み」とご記載ください。
問合せ:Eメールまたは電話(03-5753-5156)

講演要旨

■「網膜変性に対する遺伝子特異的治療の進化」 
西口 康二(名古屋大学)
重症な小児発症の網膜色素変性類縁疾患であるレーバー先天盲を対象とした、アデノ随伴ウィルスを用いた初めての網膜遺伝子治療が2008年に報告されてから10年以上が過ぎた。この報告は、安全性の高いウィルスを用いて欠損遺伝子に対して正常な遺伝子を網膜に導入することで、それまでまったく治療法がなかった網膜ジストロフィにおいて、治療に、より光感度が改善し暗所での移動が向上することを示すものだった。これをきっかけに、世界中で遺伝子治療の開発競争が始まり、今では網膜色素変性を含めてさまざまな網膜疾患に対して数多くの臨床試験が行われつつある。しかし、同治療に関する臨床データが蓄積されるにつれ、次第に無視できない課題も明らかになってきた。本講演では、最初に遺伝子治療とは何か?という基本的なことを、歴史を振り返りながら解説する。次いで、さまざまな網膜ジストロフィに対して行われている遺伝子治療臨床試験の最新の結果をレビューし、同治療の今後の展望と現時点で何を考えるべきかについて考察する。

■「これからの網膜色素変性への医療とケア」
村上 晶(順天堂大学)
眼にかかわる遺伝子の働きと遺伝に関わる研究の進展は目覚ましく、網膜色素変性診療のなかでも遺伝学の重要性が増している。病気と関連する遺伝子の変化の同定と病気のしくみの理解が得られ、遺伝子を調べる検査(遺伝学的検査)は、患者さんへの適確な診断の助けになり、家族のケアや遺伝カウセリングのための情報を提供しうるものとなりつつある。今後未解決例の割合を減らすために、より多くの患者さんの解析をするとともに、異なる方法を応用する試みが続けられている。細胞リプログラミング技術の進歩は、患者さんから提供された皮膚や血液などの細胞から人工多能性幹細胞(iPSC)を作って、網膜に近い性質をもった細胞を得ることが可能になった。このような細胞を使った、再生治療研究や、研究室の培養皿のなかで病気モデルを作り新たな治療薬の探索をするような研究も進められ、その道筋もいくつかのものに収斂しそうである。一方、急速な変化が起こりそうなこれからの社会での患者さんの健康管理と実生活における問題解決の仕組みづくりにはまだ明確な道筋が見えていないように思われる。患者さんとともに医療者や研究者も現存する難病対策、社会保障制度の仕組みを理解して研究成果をどう社会に実装していくか知恵を出し合うことが大切だと思う。

 

■「遺伝子検査の前に考えてほしいこと」 
吉田 晶子(神戸アイセンター病院/京都大学)
最近、JRPS会員の皆さまの間でも、遺伝子検査について話題になることが多いのではないかと思います。当院でも、知り合いから遺伝子検査について聞き、ご興味をもって来院される方がおられます。神戸アイセンターでは、遺伝子検査をご希望の患者さんには、検査前に遺伝カウンセリングをご案内しています。なぜ、遺伝子検査を受けたいと思っているのに、そのような場が用意されているのか、疑問に思う方も少なくないと思います。網膜色素変性の遺伝子検査において、原因の遺伝子が判明した場合、原因が突き止められると同時に遺伝のタイプも明らかとなります。遺伝カウンセリングで話題になることの一つは、患者さんの原因遺伝子が判明した時に、血縁者の誰に影響があるのかについてです。もしかしたら、誰にも影響がないかもしれませんし、思いもよらないご親戚が話題にあがるかもしれません。ご自身としては、とくに心配がないと思っても、専門的な視点から検討し、患者さんのお考えをうかがいながら、遺伝子検査でどこまでのことがわかるのか、すり合わせていく話し合いが非常に大切です。この話し合いが行われなければ、予想していたものと違うという結末になる可能性もあるのです。遺伝子の情報と新しい研究や治療との関連性も検討事項となっていますが、だからこそ、遺伝子検査前の話し合いや検討が大切になってきます。当日は、遺伝カウンセリングの流れを追いながら、遺伝子検査の前に考えていただきたいことをお伝えしたいと思います。

■「ゲノム医療と倫理的社会的法的課題」
武藤香織(東京大学)
難病領域でのゲノム医療について、国が主導して全ゲノム解析等実行計画が進められている。しかし、新型コロナウイルス感染症流行の影響もあり、ゲノム医療の進捗はほとんど知られていない。
本講演では、ゲノム医療をめぐる倫理的法的社会的諸課題のなかでも、インフォームド・コンセントや結果の取り扱い、さらに得られた遺伝情報の取扱いなどをめぐって話題提供する。

 

 

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あぁるぴぃ154号 目次

JRPSだより …………………………………………………… ……………………… 3
2022年版 カレンダー販売のお知らせ ………… …………………………  3

電話相談のご案内   ………………………………………… ……………………… 3

「遺伝情報と網膜ゲノム医療」
連続オンラインセミナー開催要項[詳報]………… …………………    4
第1回 テーマ:網膜ゲノム医療の近未来(その2)…………………  4
第2回 テーマ:ゲノム医療推進と遺伝子診断 …… …………………   5
参加申込み方法   …………………………………………………… ……………   6
講演要旨  …………………………………………………… ………………………   6
第25回研究助成受賞者からのメッセージ ………… ……………………  8
藤原 康太(九州大学病院眼科医局) ………… …………………………   8
木村 和博(山口大学大学院医学系研究科眼科学)…………………   9
倉田 健太郎(浜松医科大学眼科学講座)[ライオンズ賞]…… 10

QOL向上推進委員会(QOLC)通信  ……………… …………………… 11
第15回 65歳問題について ……………………………………… ………… 11

部会から全国の皆さまへ  ……………………………………… …………… 12
アイヤ会(阿部 直之) ……………………………………… ……………    12
RP児をもつ親の会(本部事務局)………………………… …………… 12
JRPSユース(西川 隆之)………………………… ………………………  13

新代表からご挨拶   …………………………………… ……………………… 13
豊田 恭二(奈良県網膜色素変性症協会)…… ……………………… 13
木村 健三(岡山県網膜色素変性症協会)…… ……………………… 14
野口 建(福岡県網膜色素変性症協会)…… …………………………  14

あぁるぴぃ広場 ~会員からの投稿~ …… …………………………  15
JRPS沖縄 長嶺会長ご逝去のおしらせ
(JRPS沖縄役員一同) ………………………………… …………………   15
母を想う(秋田県 高橋 順子)……………………… …………………  15
友だちと出会いに感謝(宮崎県 飯干 順子)…… ………………… 16
学校の福祉授業に感謝(千葉県 広瀬 富美子)… ………………… 16
心のアルバムに「ハイ・ポーズ!」(高知県 高橋 りつ)…… 17
我が家の息子(愛知県 加藤 茉与[旧姓:高橋]) ………………17
あたたかな小さい手のリレー(和歌山県 山﨑 浩敬)…………… 18

都道府県JRPS活動予定………………………………… ……………………… 19
北海道……19 宮城県……19 福島県……19 群馬県……19 栃木県……20
埼玉県……20 千葉県……20 東京都……21 神奈川県…21 新潟県……21
長野県……22 岐阜県……22 愛知県……22 三重県……22 滋賀県……23
京都府……23 奈良県……23 大阪府……24 和歌山県…24 兵庫県……24
岡山県……25 広島県……25 香川県……25 徳島県……26 愛媛県……26
高知県……26 福岡県……27 長崎県……27 大分県……27 熊本県……27
宮崎県……28 鹿児島県…28

専門部会の活動予定    …………………………………………………… …  28
JRPSユース  … …………………………………………………… …………… 28

編集局より    …………………………………………………… ………………  29
広告ページ   …………………………………………………… ………………  29
編集後記    …………………………………………………… …………………… 32

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第25回研究助成受賞者からのメッセージ③

倉田 健太郎先生(浜松医科大学眼科学講座)[ライオンズ賞]
受賞テーマ
「わが国のX連鎖性網膜色素変性患者に対する遺伝子治療を目指した原因遺伝子特定と長期自然経過観察研究」

このたび、JRPSライオンズ賞に選出いただきました浜松医科大学の倉田健太郎と申します。研究助成をいただけることを大変光栄に思っております。会員の皆さまには心より感謝申し上げます。
網膜色素変性症は、遺伝子の異常によって発症することが知られています。原因となる遺伝子は80種類以上が知られており、遺伝の仕方もさまざまです。そのなかでもX連鎖性と呼ばれる遺伝形式の網膜色素変性症(X連鎖性網膜色素変性症)は発症年齢が早く、また病状がより重篤とされています。X連鎖性網膜色素変性症は、主に男性に発症しますが、女性においても視覚障害がみられることがあり、無症状なものから重篤なものまでさまざまです。
現在、網膜色素変性症を対象とした遺伝子治療や創薬の治験が進んでいます。X連鎖性網膜色素変性症においても例外ではありません。遺伝子治療は、病状が進んでいない早期の段階で行うことでより良い効果が得られることが知られているため、早期に診断がなされることがとても大切です。さらに遺伝子治療の効果を判定するには、比較対象として病気の自然経過をよく理解していなければなりません。私どもの教室では、網膜色素変性症に対して、これまでに正確な遺伝子検査を行い、自然経過に関する報告を行ってきました。そして近年、12家系からX連鎖性網膜色素変性症の原因遺伝子を同定して、臨床像(発症年齢や視機能など)に関する報告を行いました。しかし、より詳細に検討するためにはさらに症例を積み重ねて調査が必要です。そこで私の研究は、さらに対象を蓄積することでX連鎖性網膜色素変性症の臨床像を明らかにし、長期にわたる病気の自然経過を調査することを目的とします。
本研究により自然経過に伴う視機能変化を予測できるようになります。それをもとに、患者さまにはより正確なカウンセリングを行うことができます。また、将来遺伝子治療が可能になった際には、その効果判定を正確に行うことが可能となります。
本研究によって皆さまのお役に立てるように、最大限の努力をしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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第25回研究助成受賞者からのメッセージ②

木村 和博先生(山口大学大学院医学系研究科眼科学)
受賞テーマ
「網膜色素変性症におけるグリオーシス形成の分子機序解明と新規治療薬の開発」

このたびは第25回JRPS研究助成に採択いただき、深くお礼申し上げます。選定いただいた審査委員ならびに、JRPSの関係者の方々に厚く御礼申し上げます。
我々は、これまで眼内における線維化発症のしくみとその新規治療法開発を大きな目標として研究を行ってきました。線維化とは、炎症によって組織障害が引き起こされた後、組織中のコラーゲンなどの結合組織が異常に増えて沈着する現象のことをさします。全身の多くの臓器で発生し、線維化を起こした臓器は、時として機能不全に陥ります。
一方で、脳や網膜などの中枢神経系では、線維化と似たようなグリオーシスをきたし機能障害をきたすことがあります。現状、組織障害後の線維化、グリオーシスを抑制する有効な治療法は未だ見つかっていません。
網膜色素変性症は、視細胞、網膜色素上皮細胞の広範な変性によって視機能が障害をうける病気です。それに加えて、網膜内でのグリオーシス形成や網膜上に二次的に形成されるグリオーシスを含む網膜前膜などが視機能のさらなる悪化を促す要因となっています。
今回の研究では、網膜色素変性症モデルマウスを用いて、網膜でのグリオーシスが形成される仕組みならびにその治療薬の足掛かりとなる因子を見出します。さらに、その結果から研究を発展させ治療薬につながる新たな薬剤を見つけ出したいと思っています。網膜色素変性症の進行を少しでも遅らせ、さらに残っている視機能を最大限維持できるような治療法の開発につながればと切に願っています。
微力ではありますが、今後も患者さまへ最良の医療を提供できるよう邁進してまいります。

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第25回研究助成受賞者からのメッセージ①

藤原 康太先生(九州大学病院眼科医局)
受賞テーマ
「網膜色素変性の個別化医療に向けたエビデンス構築」

このたびJRPS研究助成に選出いただきました九州大学の藤原康太です。研究助成をいただけることとなり、会員の皆さまには心より御礼申し上げます。
網膜色素変性は、遺伝子が原因で発症する病気であることが知られておりますが、その遺伝子と進行スピードとの関連は十分に分かっておりません。網膜色素変性の原因となる遺伝子の多くは視細胞である杆体細胞に関連するものであり、典型的には夜盲や視野狭窄で発症します。
一方で、もう一つの視細胞である錐体細胞が担う明所視や中心部分の見え方は初期では保たれる場合が多く、網膜色素変性が進行すると中心部分が見えにくくなります。この中心部分の見え方の変化には神経の炎症や酸化ストレス、エネルギー代謝などが関与していることが明らかとなっており、網膜色素変性は遺伝的な他にも環境的な要素が関係しながら進展すると考えられます。
私たちの施設にはたくさんの網膜色素変性患者さまが定期的に通院されており、その遺伝子の情報や中心の見え方の蓄積されたデータを解析することが可能です。我々の研究グループでは、網膜色素変性への神経の炎症の関与について世界に先駆けて着目し、網膜色素変性患者様の眼内で炎症を示す数値が上昇しており、中心の見え方やその悪化するスピードに影響していることを明らかにしています。
今回の研究で私が取り組みますのは、これまでの研究成果を土台としてデータを継続して収集し、環境要因を含めて網羅的に解析することで進行に影響する因子を明らかにします。さらに進行スピードに影響するそれぞれの遺伝要因や環境因子の関与の大きさを分かりやすくし、網膜色素変性の個別の治療法を確立することにつなげようと考えております。
患者さまは失明の不安のなかで過ごされており、いつまで見ることができるのか心配されていると思います。この研究が治療法開発に結びつき、皆さまのお役に立てるように研究に努めて参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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