QOL向上推進委員会(QOLC)通信(第7回)

このコーナーは、QOL向上推進委員会からの投稿を紹介しています。

第7回 視覚障害者の減災・防災教室 その4 「防災グッズ等」①

今回は災害に備えて携帯する物や避難時用に準備する持ち物などを考えましょう。

1)常時携行品
近所であっても家から出たときに地震等の災害に遭えば、正しい情報を得たり、晴眼の支援者を探したりして、確実に身を守るために何時でも携帯が必要なもの。
*保険証のコピー *予備の白杖 *所属団体連絡先
*身体障害者手帳 *笛(ホイッスル) *服用中の薬
*携帯電話と充電器 *家族連絡先リスト *手袋(種類)
*小型携帯ラジオ *家族の顔写真 *マスク
*その他に財布やカード類等個別に必要なもの

2)外出時携行品
歩いて帰宅するには困難場所や宿泊を伴う外出などは、常時携行品に加えて
*救急セット *携帯食 *ボトル入りの水
*マスク *携帯電話と予備電池 *電話用小銭かテレカ
*サバイバルシート *遮光眼鏡

3)避難時の持ち出しに関する注意
・避難時に物資を持ち出す時は安全のため、リュックなどで両手を空ける。
・身軽に避難できるように最低限のものだけを持ち出す。
・情報収集用のラジオや携帯電話、懐中電灯、非常食、軍手などを定期的に点検しすぐ持ち出せるようにする。
・避難時には自動車の使用はできるだけ避ける。
・道路の亀裂や、マンホールの蓋がずれているおそれがあるので注意する。
・身の安全を確保しながら避難所に行く。
・避難所の場所や危険箇所はハザードマップなどで確認し、下見しておく。
・「災害伝言ダイヤル」などで、家族にメッセージを残す。
・大規模な災害では、近所の人の協力による救助や応急手当が生死を分けるので、お互いの家族構成などを知らせ合い、ふだんからの交流を大切にする。
・建物が余震などで崩れることもあるので、自治体や気象庁発表の危険箇所に関する情報などに注意する。
・急な斜面や家屋にはできるだけ近づかないようにする。

※リストに記載した物はあくまでも一例です。一次持ち出し、二次持ち出し、在宅避難共に、災害の内容・規模・ライフラインの被災度・外部からの支援状況等で必要な物はそれぞれ違います。リストを参考に必要なものを適切に選択します。
※避難時の持ち出し品は次号に続く。

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Wings ひとくちコラム(第12回)

【1】阪大方式人工網膜治験の見通しについて:不二門尚先生にお尋ねしたところ、以下のご回答をいただきました。「安全性、安定性から言うと、阪大方式は普及する可能性があると思っています。電波法への対応などで遅れていましたが、2021年4月治験開始に向けて、順調に準備は進んでいます。今回の治験はNIDEK社の企業治験で、私はアドバイザー的立場です。実働は、阪大眼科西田教授の統括の下、森本壮准教授が行います」

【2】「JRPSワークショップ2018 in 神戸~網膜再生医療臨床試験・患者からのアプローチ~」の報告書頒布について:共催した日本医療研究開発機構(AMED)の研究班によって「共につくる臨床研究~患者と研究者の対話から~Ⅱ」と題する報告書が作成されました。高橋政代先生、武藤香織先生のご講演のほか、グループ討論での患者の生の声もまとめられています。希望者に頒布します。
①墨字版②音声デイジー版③PDFまたはテキストファイルの別を選択ください。
申込先は本部事務局
メール:info@jrps.org、Fax:03-5753-5176。
なおPDF/テキストファイルは東大医科研公共政策研究分野のホームページからダウンロードできます。

http://www.pubpoli-imsut.jp/

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あぁるぴぃ143号

もうまく募金へご支援のお願い                  3

JRPSだより                          3

千葉県を中心に被害の大きかった台風15号について          3

「網膜の日」記念日の広報についてのご報告               4

12月の相談予約のご案内                       5
「ピアサポート」電話相談のご案内               5

「働く世代のセミナー&懇親会 ~仕事を続けるために~」のご案内 5

「世界網膜の日in富山」開催のご報告                7

2020年の「世界網膜の日」は滋賀県で開催!          8

研究推進委員会(Wings)通信(第20回)           9

Wings ひとくちコラム(第12回)                                         10

あぁるぴぃ広場 ~会員からの投稿~               10
交流会に参加して(北海道 三本 悦子)             10
令和元年とJRPS(埼玉県 田村 彰之助)               11
同行援護に感謝(岐阜県 岡田 美幸)              11
人生は、人と人との交差点(兵庫県 酒井 智彦)         12
愛犬ゆうちゃんとの思い出(愛媛県 伊藤 茂美)         13
視覚障がい者になってからの私(大分県 家村 春美)       13

QOL向上推進委員会(QOLC)通信              14
第7回 視覚障害者の減災・防災教室 その4 「防災グッズ等」①    14

[新コーナー]若い世代はいま                 15

都道府県JRPS活動予定 16
北海道…16 / 岩手県…16 / 宮城県…16 / 山形県…17 / 福島県…17
群馬県…17 / 栃木県…18 / 千葉県…18 / 東京都…18 / 新潟県…19
長野県…19 / 福井県…19 / 岐阜県…19 / 愛知県…20 / 三重県…20
滋賀県…20 / 京都府…21 / 奈良県…21 / 大阪府…21 / 和歌山県…21
兵庫県…22 / 岡山県…22 / 広島県…22 / 香川県…23 / 徳島県…23
愛媛県…23 / 高知県…24 / 福岡県…24 / 長崎県…24 / 大分県…24
熊本県…25 / 宮崎県…25 / 鹿児島県…25

専門部会の活動予定        26
JRPSユース        …   26

編集局より               27

広告ページ              27

編集後記                  32

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講演③ 長谷川 智子先生(京都大学眼科)

長谷川 智子先生(京都大学眼科)

受賞テーマ:「網膜色素変性症の新規進行抑制治療薬としての分岐鎖アミノ酸の細胞保護メカニズムの解明」[ライオンズ賞](動画は、会員ページにあります)

この度は、「網膜色素変性症の新規進行抑制治療薬としての分岐鎖アミノ酸の細胞保護メカニズムの解明」というテーマで研究助成をいただき、誠にありがとうございます。大変光栄に思っております。
網膜色素変性症は、網膜の神経細胞である視細胞が変性して、視野狭窄などの症状が進行する疾患です。私たちは、現在までに、細胞内のエネルギーの不足が神経細胞の細胞死を引き起こすとの仮説に着目して、細胞内のエネルギー不足を防ぐことで細胞死を抑制できる可能性があるのではないかと考えて、研究を行ってきました。
分岐鎖アミノ酸は、食べ物から摂取することが必要な必須アミノ酸ですが、私たちは、細胞内のエネルギー源としての分岐鎖アミノ酸に着目して研究を行っています。分岐鎖アミノ酸は、ストレスを加えた培養細胞では、細胞内のエネルギー減少を抑制し、細胞死を抑制しました。また、網膜色素変性症のモデルマウスに対して、分岐鎖アミノ酸を投与したところ、分岐鎖アミノ酸は網膜の視細胞の変性を抑制し、網膜の機能の低下を抑制することが明らかになりました。私たちは現在、分岐鎖アミノ酸の網膜色素変性症患者さんでの効果と安全性を検討するため、70名の患者さんにご協力をいただき、医師主導治験を行っております。
医師主導治験により、網膜色素変性症患者さんでの分岐鎖アミノ酸の効果を検討し、また、並行して分岐鎖アミノ酸による細胞死抑制メカニズムの解明を進めていくことで、分岐鎖アミノ酸を用いた網膜色素変性症の疾患進行抑制薬の開発を進めていきます。現在行っております治験にも、多くの患者さんにご協力いただいており、患者さん方のご協力に感謝しております。一日も早く、多くの患者さんが使用することのできる、有効な疾患進行抑制薬の開発につなげられるように、頑張って研究を進めていきたいと思います。

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講演⓶ 朝岡 亮先生(東京大学医学部附属病院眼科学教室)

朝岡 亮先生(東京大学医学部附属病院眼科学教室)

受賞テーマ:「網膜色素変性症のベイズ推定による視野進行予測およびそれを利用した高速視野計測、眼底自家蛍光による視野予測モデルの構築・検証」(動画は、会員ページにあります)

今回「網膜色素変性症のベイズ推定による視野進行予測およびそれを利用した高速視野計測、眼底自家蛍光による視野予測モデルの構築・検証」という研究テーマで研究助成をいただくことになり、誠にありがとうございました。大変光栄に思っております。
網膜色素変性症では、慢性進行性の視野狭窄が起こりますが、緑内障でも同様です。緑内障においては視野の進行の速さを評価し、その速さに応じて治療が行われています。しかし視野検査の回数が少ないと正確な進行評価ができません。私は、ベイズ統計という方法を使って、これまでの方法よりも遥かに正確に視野進行を評価する方法を構築しました。この方法では網膜色素変性症でも同様に、少ない視野でも正しい進行評価を行うことが可能と考えられますので、そのことの検証を行っていきたいと考えています。
また、このベイズ統計と使った視野予測を用いることで、これまでよりも視野計測自体も短縮できるのではないかと考えています。実際に緑内障患者さんでの検証では、正確かつ高速な視野検査が可能でした。網膜色素変性症での有効性も、同様に検証してみたいと思っています。
また、網膜色素変性症では、「自家蛍光」という、特徴的な眼底所見を示します。私たちは、この自家蛍光と視野障害との間に密接な関連があることを明らかとしました。このことを利用して、眼底自家蛍光から、視野感度を推測する研究も行いたいと考えています。
精一杯取り組んで参りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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講演① 林 孝彰 先生(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター)

林 孝彰 先生(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター)

受賞テーマ:『全身疾患に合併する遺伝性網膜ジストロフィの病態解明を目指した分子遺伝学的研究』(動画は、会員ページにあります)

今回、「全身疾患に合併する遺伝性網膜ジストロフィの病態解明を目指した分子遺伝学的研究」という課題に対して、第23回JRPS研究助成金を受賞することができ大変光栄に存じます。私は長年網膜ジストロフィの専門外来・遺伝子研究に携わっております。目の前の患者さんの原因遺伝子を特定し、将来の治療法に結びつけたいという信念が私の診療・研究の信条でありミッションとなっています。最近のホットな話題として、iPS細胞からの再生医療に関して他家移植が成功し、いよいよ網膜色素変性の患者さんへの治療が期待される段階になりました。また、欧米で行われている遺伝子治療も日本でも行われる可能性があります。決定的な治療法がなかった遺伝性網膜ジストロフィに対する治療法の進歩・発展は目を見張るものがあります。
しかし、遺伝子治療の前段階として、原因遺伝子が特定されていることが条件となっています。網膜ジストロフィの中には、網膜異常に加え、眼外症状・全身的合併症を引き起こす病態が知られております。私たちはこれまでに先天黒内障に低身長、代謝異常症を合併した繊毛病(細胞の触覚と言われる繊毛を構成する遺伝子の異常によって発症する病気)の1つAlstrom症候群の新規ALMS1遺伝子変異(Katagiri et al, MolVis, 2013)を特定し早期の代謝異常に対する治療に結びつける役割を果たしました。また、先天黒内障とネフロン癆(小児期に腎不全になる疾患)を合併したSenior-Loken症候群に対して、病態解明につながる新たな原因として世界で初めてSCLT1遺伝子変異を特定しました (Katagiri et al Sci Rep,2018)。今回の研究では、小児科医、皮膚科医、電子顕微鏡専門研究者、分子生物学基礎研究者と連携し、希少疾患である繊毛病やライソゾーム病の病態解明に向け、これらの全身疾患に伴う遺伝性網膜ジストロフィの患者さんからDNAを抽出、次世代シークエンサを用いた全エクソーム解析を行い、原因遺伝子を突き止める研究を行います。この中で遺伝子変異と疾患表現型の関連性を明らかにし、酵素補充療法や遺伝子治療など将来の治療法へ向けた基盤研究に進展させたいと考えています。この度は、JRPS研究助成金を受賞でき、会員の皆さまに感謝申し上げます。

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Wings ひとくちコラム (第11回)

「医学研究・臨床試験における患者・市民参画(PPI)が始動」

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)ではいよいよ本年度から医学研究・臨床試験における患者・市民参画(PPI)の取り組みを開始しました。具体的には、2019年度新規研究費公募から、研究開発提案書及び成果報告書に、PPIの取り組みを記載する欄が設置されます。つまり研究者は患者・市民の知見・意見を参考にして研究を進めるように奨励されます。これまでにない取り組みなので研究者や患者・市民双方に参考となるガイドブックが作成されました。
https://www.amed.go.jp/ppi/guidebook.html

PPIを進めることにより実現されることとして次のことが想定されています。
・患者等にとってより役に立つ研究成果を創出する
・医学研究・臨床試験の円滑な実施を実現する
・被験者保護に資する(リスクを低減する)
患者と研究者の協働のため、われわれもいっそうの自覚と努力が求められています。(20191001)

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Wings ひとくちコラム (第10回)

「京都大学で新しいRP神経保護治療薬の治験開始」

報道等でご存知の方も多いと思いますが、京都大学眼科の池田華子先生らのチームが、RP患者を対象とした医師主導治験を本年3月に開始しました。池田先生らがかねてから準備してきた分岐鎖アミノ酸製剤による網膜神経保護治療で、動物実験の結果からRPの進行を遅らせる効果が期待されています。治験では1年半にわたって試験薬が患者に投与され、視力や視野の経過観察が行われます。大きな期待を寄せつつも、静かに試験の結果を待ちましょう。(20190326)

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◇学術研究助成受賞者は今(第12回)

第12回 西口 康二(2015年・第19回受賞)
東北大学医学部眼科 准教授

遺伝子治療は、遺伝性疾患の病気の原因である遺伝子の異常そのものを治すことを目的とした、根治的なアプローチです。JRPSの研究助成に応募したのは、ロンドンで網膜変性に対する先端的な遺伝子治療を勉強して、2014年に日本に戻ってきて少し経ったころでした。私は、もともと名古屋大学眼科に所属していたのですが、同大学では遺伝子治療に使うウィルスを使う実験環境を確保するのが難しい、という問題がありました。そこで、東北大学眼科の中澤徹教授と名古屋大学眼科の寺﨑教授にお願いして、帰国後はウィルスを使う研究環境が整っている東北大学に思い切って入局させていただきました。その新しい研究環境のなかで、初めて行う記念すべき網膜変性遺伝子治療研究テーマを「遺伝子治療による錐体系視覚再建と可塑性の解析」と定めて、JRPS研究助成に応募させていただきました。受賞が決まった時は資金的な研究基盤が特に弱く、助成いただけることになって、とってもありがたく感じたのをよく覚えています。同時に、自分の遺伝子治療にかける意気込みを審査員の先生方に評価していただいたのが大きな励みになりました。今振り返ると、最も難しいとされる研究の立ち上げが比較的スムーズに進んだ最も重要な要因の一つにこの助成があったのだと思います。
現在、研究助成を受賞して約4年が経ちました。今春、無事に助成研究の成果を論文として発表をすることができ、今は少しほっとしているところです。しかも、助成研究の実験結果は、当初の予測とは大きく異なり、予想外に「良好」でした。具体的には、「生まれつき視覚障害のある人に、大人になって遺伝子治療で眼だけを治療して本当に見えるようになるか」という「学術的な問い」に対して、マウスを用いた実験で出た答えは、「見える可能性が十分にある」という結果でした。生まれつき白内障で見えない赤ちゃんは、生後半年以内くらいに手術で白内障を治してあげないと、大きな視覚障害が残ることが知られています。実験結果は、それまでの常識とは大きく異なるものであったため、とても驚きました。しかし、うれしいことに、網膜色素変性の遺伝子治療開発にはとっては、予想外にポジティブな結果でした。本当にいろんな意味で心に残る助成研究になりました。
さて、この助成研究を行っているうちに世の中では「ゲノム編集」という新しい技術が大きく発展し、今では次世代の遺伝子治療を担う技術として世界中の注目を集めています。というのも、従来の遺伝子治療は比較的小さい遺伝子に病因変異がありかつ劣性遺伝形式の場合にのみ有効であり、しかも大きな遺伝子や優性遺伝の治療には不向きであるという欠点がありました。特に、日本人の網膜色素変性の病因遺伝子の頻度の高いものは、ほとんど治療対象になりにくい大きなものばかりで、遺伝子治療開発は大きな問題に直面していました。それに対して、ゲノム編集を用いると、遺伝型式や遺伝子の大きさによらず、治療できる可能性があります。そのため、ゲノム編集は日本人網膜色素変性にとっては極めて重要な技術と言えます。そこで、ここ何年かは、私もゲノム編集遺伝子治療の開発にも力を入れていました。最初はいろいろ苦労しましたが、最近では、かなりいい治療結果が出始めています。今後は、この開発研究をさらに発展させ、JRPS会員の皆様に還元できるように頑張りたいと思っています。(20190129)

研究助成者は今 目次

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第19回研究推進委員会(Wings)通信(20190730)

これまでインタビューした諸先生に、ご研究の進捗状況等をフォローアップ記事として随時ご寄稿いただいています。今回は池田華子先生に2016年9月発行の『あぁるぴぃ124号』に掲載されたインタビュー記事をフォローアップしていただきました。

■Wings研究者インタビューフォローアップ寄稿(3)
「分岐鎖アミノ酸製剤の治験開始とKUS剤治験の見通」
池田 華子(京都大学医学部附属病院臨床研究総合センター 准教授)

動物モデルで病気の進行を抑えることを確認し、治験にむけた準備を進めてきた分岐鎖アミノ酸製剤ですが、AMED(日本医療研究開発機構)の研究費をいただくことができ、2019年3月から治験を開始いたしました。今回の医師主導治験は、分岐鎖アミノ酸製剤を患者さんに内服いただき、その有効性と安全性を検討する、第Ⅱ相の試験となります。
70名の患者さんに、分岐鎖アミノ酸製剤またはプラセボ(偽薬:分岐鎖アミノ酸を含まない、見かけが同じ薬)を1年半、内服いただき、その間の視野の進行具合が治療群とプラセボ群で差があるかどうかを検討します。患者さんにも、私たち医師や医療関係者にも、どちらの薬を内服いただいているか分からない状況(二重盲検といいます)で、おおよそ3ヵ月に一度、視野検査および血液検査を行い経過観察します。この治験の結果、分岐鎖アミノ酸製剤内服群で、プラセボ群よりも視野の進み具合がゆっくりであることが明らかになれば、より多くの患者さんを対象にした第Ⅲ相試験を実施することになります。なお、今回の京大における治験は、すでに当院にてこれまでの視野の経過観察(治療前の自然経過)を行ってきた患者さんを対象に行いますので、新たな患者さんの募集は行っておりません。
一方、京都大学で開発を行ってきましたKUS剤(動物モデルで網膜色素変性症の進行抑制効果を確認)は、網膜中心動脈閉塞症の急性期の患者さん対象の第Ⅰ・Ⅱ相試験が終了しました。今回は、眼の中(硝子体)に直接注射にてKUS121を投与し、安全性に問題なく、神経保護効果も確認することができました。現在、網膜色素変性症など、慢性の疾患の患者さんに使用いただけるよう、点眼化の検討を進めております。点眼化の目途が立ちましたら、まずは正常な方を対象に第Ⅰ相試験を行い、安全性の検討を行った後、網膜色素変性症の患者さんを対象に第Ⅱ相試験を予定します。
実施中の治験には、遠方からも多数の患者さんにご参加いただいております。患者さま方のご協力に日々感謝するとともに、一日でも早く、治療薬を患者さんにお届けできるよう、引き続き頑張ってまいります。

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