⼩栁 俊⼈先⽣(九州⼤学眼科教室)【ライオンズ賞】

受賞テーマ︓
「定型網膜⾊素変性における包括的ミトコンドリア遺伝⼦変異解析」

このたびは、第24回JRPS研究助成をいただき誠にありがとうございます。⼤変光栄に思っております。
今回の研究テーマは、ミトコンドリアという細胞⼩器官の持つ遺伝⼦についてです。ミトコンドリアは全⾝の細胞の中にあってエネルギーを産⽣するはたらきを持っており、その障害は加齢に伴う臓器障害、糖尿病や神経変性疾患など、さまざまな疾患に関わっています。 ミトコンドリアの中には、細胞の核にある核DNAとは別に、独⾃のDNA(ミトコンドリアDNA)が存在します。
ヒト網膜の視細胞にもミトコンドリアは多数存在しており、このミトコンドリアDNAの塩基配列の変化は⼀部の網膜⾊素変性と 関わっていることがすでに知られています。ただ、網膜⾊素変性において遺伝⼦を調べる際に対象とされない場合も多く、今まで詳細に評価する取り組みが⾏われていませんでした。
私たちは今回の研究で、この病気の起こるしくみをミトコンドリアの障害という観点から考える際の基礎となるデータを作ることを⽬指しています。ミトコンドリアDNAの塩基配列が当疾患でどのように変化しているかを調べ、遺伝⼦の変化に由来するミトコンドリアの 働きの低下が網膜⾊素変性の起こるしくみとどのように関わっているかを検証していきたいと考えております。そして、このミトコンドリア遺伝⼦の変化が治療の対象となりうるかを考察し、将来的に患者さんへの新たな治療戦略の⼀つとなることを⽬指しています。 近年の遺伝⼦解析によって得られる情報は膨⼤で、その中から重要な情報を特定し、治療の⽷⼝となりうる知⾒が得られるよう⽇々研究に取り組んでいます。
今後ともご⽀援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

カテゴリー: RP研究動向, JRPS研究助成 パーマリンク

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