RP−net川柳会
「もやい傘」
[2023年2月の課題]




[更新日 : 2023年1月26日]



[2月の課題] 
  〜視覚障害者を主人公にした小説3作品〜

 著名な作家の手になる、視覚障害者を主人公にした小説3作品のあら筋をご紹介し
ましょう。

(1)宮尾登美子著 『蔵』 
 新聞連載時から反響が寄せられ、単行本になってからも大ベストセラーになり、舞
台化・映画化・テレビドラマ化された。
 失明のハンディを負いながら、造り酒屋の蔵元に成長する1人の女性の半生を描く

 話の舞台は、戦前の新潟県亀田町。大地主であり、酒造家でもある田之内家に9番
目の娘が生まれた。授かった子どもを次々に亡くしている父意造と母賀穂は、この子
の成長を願って「烈」と名付けた。しかし、烈も幼児期に夜盲症・視力低下を訴え、
網膜色素変性による失明の可能性を眼科医から冷たく宣告される。烈の病気平癒祈願
のための無理な巡礼参りによる母むらと賀穂の相次ぐ死、酒の腐造事故、後妻せきと
の間に生まれた長男の突然の死、自分の病による半身不随など、相次ぐ不幸に見舞わ
れた意造は、酒蔵の閉鎖を考える。しかし、失明というハンディキャップとジェンダ
ーの壁を乗り越えて、烈は意中の人と結婚し、家業の造り酒屋を継いで行く……。

(2)さだまさし著 「解夏」(げげ) [『解夏』の中の短編の1つ]
 シンガーソングライターの多才なさだまさしの作。映画化、『愛し君へ』のタイト
ルでテレビドラマ化される。
 東京で小学校の教諭をしていた高野隆之は、ある日、眼に違和感を感じて、友人の
眼科医に検査を受けた結果、徐々に視力が失われていく「ベーチェット病」という難
病と告知される。そして、病気が徐々に進行し、彼は教師を辞めて地元・長崎に帰郷
する。
 隆之には、仕事の都合で海外にいる婚約者・朝村陽子がいた。恩師でもあり、陽子
の父親でもある健吉に病のことを報告すると同時に、婚約解消を申し出る。しかし、
それを父親の手紙によって知らされた陽子は帰国を早め、隆之の元へ乗り込んで来る
。自分にも関係のある未来を相談もせず、勝手に決めないで、と怒りを露わにする。
 後日、冷静になった彼女は長崎を訪れ、隆之の目になって彼を支えたいと伝え、彼
の家族とともに暮らすこととなる。彼女の気持ちを嬉しく思う反面、迷惑をかけるこ
とを申し訳なく思う気持ちや、自分の不甲斐なさなどで葛藤する日々のなか、隆之は
新たな一歩を踏み出す……。

(3)浅田次郎著 「めぐりあい」 [『月島慕情』の中の短編の一つ]
 NHKラジオ「新・日曜名作座」でラジオドラマ化される。
 網膜色素変性症で目が不自由な女性。京大医学生の恋人の母親から、産婦人科病院
の跡を継ぐことになる息子と別れてほしいと手切金を渡そうとされる。彼女は受取り
を拒否して、彼に別れも告げず京都を去って東京へ。居場所を突き止めた彼からの電
話で、「僕は眼科医になる。帰ってきてほしい」と言われるが、彼女は泣きながら東
京を離れる。
 そして、山奥の温泉場で数十年マッサージの仕事を続ける。恋人との「めぐりあい
」を夢見続けることで生きている。そこに突然現れたなぞの男は一体誰なのか……。

 それでは、例によって上記の中から出題します。

■2023年2月(No.139) 
題:「迷惑」 (進 選) 
題:「娘」 (艶子 選) 
題:「都合」 (末次選) 
題:「学校」 (憲彦 選) 
 (各題2句出し)
 ◎今月の締切:2月24日(金) 正午必着




JRPS大阪のトップへ

All Rights Reserved Copyright (C) JRPS-osaka-2022