[3月の課題]
〜サトウハチロー作詞の「うれしいひなまつり」〜
3月3日は桃の節句です。
三月三日ふと口ずさむひなまつり 進
童謡「うれしいひなまつり」はサトウハチローの作詞です。皆さんも耳にしたり口
ずさんだりしたことがあると思います。「日本の歌百選」に選ばれた名曲ですが、歌
詞の中に二つの誤りがあるのをご存じでしょうか。次に歌詞を載せておきますので考
えてみてください。
■「うれしいひな祭り」 サトウハチロー・作詞 河村光陽・作曲
あかりをつけましょ ぼんぼりに お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓 今日はたのしい ひな祭り
お内裏様と おひな様 二人ならんで すまし顔
お嫁にいらした 姉様に よく似た官女の 白い顔
金のびょうぶに うつる灯(ひ)を かすかにゆする 春の風
すこし白酒 めされたか あかいお顔の 右大臣
着物をきかえて 帯しめて 今日はわたしも はれ姿
春のやよいの このよき日 なによりうれしい ひな祭り
誤りは見つかりましたか?正解は次のとおりです。
@歌詞の2番の♪お内裏様とお雛様♪の、「お内裏様」=男雛、「お雛様」=女雛
と思っていませんか。「お内裏様」は男女一対の雛人形を意味するのです。「お雛様
」は雛人形を敬い親しんで呼ぶ語で、三人官女や五人囃子などもお雛様です。したが
って、♪二人並んですまし顔〜♪というのは誤りです。
A歌詞の3番の♪赤いお顔の右大臣〜♪も誤りです。赤い顔をしているのは雛壇に
向かって右側にいる左大臣で、左にいる右大臣の顔は白いのです。向かって右にいる
雛人形を右大臣と誤ったのでしょう※1。
幼いころから慣れ親しんでいた童謡に、こんな誤りがあったとはびっくりです。
サトウハチロー※2(1903〜73)は、晩年まで間違いを気にしていて、彼の家では歌
うことも話題にすることもタブーだったそうです。大変流行して、「しまった!」と
思っていたのでしょう。しかし、愛娘を思う親心が横溢した詩は今も愛され歌い継が
れています。
※1 京都の内裏の中心に建つ紫宸殿(ししいでん)の前庭に、左近衛府(東側・左)
に桜、右近衛府(西側・右)に橘が植えられている。紫宸殿に向かっては、桜は右側
、橘は左側と逆になる。雛人形に飾られる左近の桜、右近の橘はこれに由来する。
因みに、川も流れる方向(下流)に向かって、左側が左岸で、右側が右岸である。
※2 『戦いすんで日が暮れて』で直木賞を受賞した作家の佐藤愛子(1923〜 )は異母
妹である。
それでは、例によって上記の中から出題します。
■2023年3月(No.140)
課題:「しまった!」(詠込み不可) (進 選)
課題:「人形」 (禮子 松延太郎 共選)
課題:「童謡」(童歌など) (豊 選)
課題:「タブー」(言ったりしたりしてはいけないこと) (航太郎 選)
(各題2句出し)
◎今月の締切:3月24日(金) 正午必着
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