[4月の課題]
〜視覚障害者の皆さん、リアル句会に参加しませんか〜
昨年私は、川端六点さん(番傘川柳本社同人)の後を受けて、日本視覚障害者団体
連合(日視連)の第49回全国視覚障害者文芸大会・川柳※の選者をお引き受けする
ことになった。
視覚障害者と侮ることなかれ! 晴眼者に勝るとも劣らぬすばらしい句がたくさん
投句された。課題は「椅子」と「傘」の2題で、合わせて3句まで投句できる。選者
は、西出楓楽さん(川柳塔社相談役、全日本川柳協会常任幹事)と山本進(RP−n
et川柳会「もやい傘」主宰)。応募は65名で、投句数は191句であった。
その結果は次のとおり。
第1位 荒波に乳母日傘が溺れそう 埼玉県 五十嵐静子
第2位 破れそう家族を守る母の傘 岩手県 千田米子
第3位 雨傘に日傘になって君守る 愛媛県 藤岡健次
人間諷詠の川柳は自然諷詠の俳句と異なり、自然を観察して写生する俳句に対して
、自分が属する人間界の出来事や、言動、喜怒哀楽を捉えて表現する文芸なので、視
覚障害者にはとても取っつき易い文芸である。
皆さんは各地で行なわれている一般のリアル句会に参加されたことはありませんか
。
選者さんが入選句を披講される時の緊張感やわくわく感、自分の句が披講された時
に大きい声で呼名する醍醐味を味わってみてください。きっと川柳がますます楽しく
なりますよ。
皆さんの句は、一般の句会でも充分に通用すると思います。ぜひ挑戦してください
。
※日視連発行音声広報誌「声のひろば」2024年1・2月号(1月発行)に掲載された山
本の声の一部
「私の選句ポイントは次の3点です。
第1に、句の独想性と明解性です。
手垢のついた四文字熟語などを使わずに自分の言葉で喜怒哀楽を表現し、一読明解を
よしとします。
第2に、句の流れ、リズムです。
五七五の定形や破調を問わず、声に出して読んでみると、句の流れがスムーズで、
リズムのよい句をよしとします。中八の句はリズムがよくないので決して採りません
。
第3に、句の形、バランスです。
川柳は五七五という器に、言葉をきれいに盛り付けることが大切です。
中八や下六の句は形がよくありません。上五は少し大盛りでも不細工ではありませ
んし、リズムが悪くなることもありません。
また、川柳では下五の止めが重用です。例えば、名詞+さ変動詞の「する」の連用
計「し」は、いわゆる「し止め」といわれますが、これは句の座りがよくありません
。下五の止めが川柳のカギを握っていると言えるでしょう。」
★番傘川柳本社同人で、視覚障害者の井本健治さん(大阪府泉南郡熊取町)が202
4年1月に、第9回「水府賞」を受賞されています。
五欲捨てやっとしがらみから抜ける
コツコツの努力血となり肉となる
葉脈のように絡んでくる嫉妬 など
なお、2019年1月には視覚障害者の川端六点さん(大阪府藤井寺市)が、第4回
「磯野いさむ賞」を受賞されています。
それでは、例によって上記の中から出題します。
■2024年4月(No.153)
題:「やっと」 (進 選)
題:「肉」(筋肉の肉) (艶子 選)
題:「器」(容器の器) (あせび 選)
題:「勝る」 (航太郎 選)
(各題2句出し)
◎今月の締切:4月24日(水) 正午必着
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