■2024年6月 (No.155)
〜日本一短い手紙と世界一短い手紙〜
「時」をテーマにした第31回日本一短い手紙のコンクール「一筆啓上賞」(福井県
坂井市、丸岡文化財団主催)の顕彰式が4月21日、たかむく古城ホール(同市丸岡
町)で開かれた。
●大賞(日本郵便株式会社 社長賞) 5編
「ママ」へ
ママがぼくを産んだしゅんかんに、
ぼくの時がはじまった。 埼玉県 山田 小太郎 10歳
「今年亡くなった祖父」へ
火葬場から帰る車の中、
膝の上に小さい爺ちゃんが居て、
あぁ昔と逆だなって思ったよ。 福井県 西野 日菜 25歳
他3編 (1通40字以内 応募総数34,067通)
日本一短い手紙として有名で、簡にして要を得た手紙の手本とされる「一筆啓上
火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」は、徳川家康の家来・本多作左衛門重次が天正
3年(1575年)の長篠の戦いの陣中から妻に宛てたものである。この文中の「お仙」
が越前丸岡藩4万石の初代藩主・本多成重であったことから、町興しの一環として19
93年(平成5年)に、「母」への手紙として「一筆啓上賞」の公募が開始されている
。
では、世界一短い手紙とはどんなんやろ、と思われる好奇心の強い方のために。
フランスのビクトル・ユゴー(Victor Marie Hugo 1802〜1885 詩人・小説家・劇
作家)が『レ・ミゼラブル』(Les Miserables ああ無情)※1を出版した時に編集者
に送った手紙=「?」である。「反響は?」と尋ねたのに対し、編集者もさる者で、
返信は「!」の一字。「すごい!」であった。
ところで、「パスカルの原理」※2を発見したフランスのBlaise Pascal(1623〜16
62 数学者・物理学者・思想家)はこんな逆説を述べている。「忙しいから短い手紙
は書けません」。「文章を短くしょうとすればするほど長い時間がかかる」という意
味である。
私たちも簡にして要を得た短い文章を書きたいものだ。毎月川柳を作ってそのトレ
ーニングをしているようなものだが。
※1 レ・ミゼラブル……大革命から王政復古へと激動するフランス社会を背景に、一
切れのパンを盗んだために投獄されたジャン=バルジャンの波乱に満ちた生涯を描く
長編小説。
※2 パスカルの原理……密閉した容器内で静止している流体の一部に圧力を加えると
、その圧力は同じ強さで流体のどの部分にも伝わるという原理。1653年にパスカルが
発見。
それでは、例によって上記の中から出題します。
■2024年6月(No.155)
題:「時」(時間の時) (進 選)
題:「手本」 (美幸 選)
題:「筆」(毛筆の筆) (艶子 静男 共選)
題:「パン」 (航太郎 選)
(各題2句出し)
◎今月の締切:6月24日(月) 正午必着
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